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【紳士靴の基礎知識】革靴の縫製方法によるスタイル分類

一言に革靴と言っても実に様々なスタイルがある。

現代のファッション的・機能的ニーズによって、ある程度は定まっており

シューメーカが革靴を新たに作る時もそのスタイルをベースとすることが多い。

これから紹介するスタイルをベースとしない新しいタイプの靴はファッション的に履きこなすのが難しいため、まずは歴史的に踏襲されてきたスタイルを揃えることをオススメする。

オックスフォード

17世紀中頃に、イギリスのオックスフォード大学生がブーツに反対し、紐で締め付けて履く短靴を履き始めたことに起源がある。

「紐締めの短足」を総称して「オックスフォード」と呼ぶ。

その中で代表的なスタイルが写真のような”内羽根キャップトゥ”で、革靴の中でも最もフォーマル度が高い。披露宴や礼服に合わせるのは”黒の内羽根キャップトゥ”、式典などで着用するタキシードには”エナメルの内羽根キャップトゥ”というのが基本マナー。

黒や濃茶などダークカラーはビジネスシーンで、薄茶やグレーなどライトカラーはカジュアルシーンと様々な場面で応用が効くタイプである。

 

Edward Green (エドワードグリーン) CHELSEA(チェルシー)

Church’s(チャーチ) Lamport(ランポート)

 

ダービー

19世紀初頭に、ナポレオン率いるフランス軍に対抗するプロイセン軍のブリュッヘル将軍が、脱ぎ履きしやすく、あらゆる人の足にフィットさせられるということから”外羽根式”の靴を軍靴にしたことに起源がある。

語源としては、イギリスで競馬を始めたことで有名なダービー伯爵が身につけていたこととされる。

当初はハイカットの編み上げ靴を指していたが、現在は短靴も含める。「外羽根式のシンプルなもの全般」を「ダービー」と呼ぶ。

プレーントゥのダービーは色さえ注意すればビズネスシーンやカジュアルシーンまで幅広く馴染ませることができ、日本でも非常に人気のあるスタイルである。

 

Edward Green (エドワードグリーン) DOVER(ドーヴァー)

SANTONI(サントーニ) 外羽根パンチキャップ

ブローグ

ウイングチップにメダリオンとパーフォレーションが施され、パーツの切れ目がピンキング(ギザギザ加工)された短靴の総称である。

メダリオンとはアッパー表面に大小の穴を規則的に並べた紋様型の装飾で、パーフォレーションとはアッパーの縫い目に穴飾りを入れることである。

穴飾りを総称して「ブローギング」と呼び、”隼之介”のような通常のブローグ靴を「フルブローグ」、”カドガン”のようにウイングチップではなくストレートチップに同様の装飾を施した靴を「セミブローグ」、セミブローグからメダリオンを取っ払ったものを「クォータブローグ」、さらにキャップトゥ部分以外のパーフォレーションを取っ払ったものを「パンチドキャップトゥ」と呼ぶ。下記写真を比較してもらえば違いは一目瞭然だ。

ややカジュアルチックであるが、独特な華やかさに魅了される人も多く、ビジネスシーンやパーティシーンでも活躍する。

 

山陽山長 隼之介 (フルグローグ)

Edward Green (エドワードグリーン) CADOGAN(カドガン) (セミグローグ)

MAGNANNI(マグナーニ) オパンケ クォータブローグ

Edward Green (エドワードグリーン) BERKELEY(バークレー) (パンチドキャップトゥ)

モンクストラップ

甲をストラップとバックルで固定する方式の短靴である。

歴史は古く15世紀頃の修道士(Monk)が考案したストラップ付きのサンダルを起源とする。

装飾は控えめであることが多く、バックルが一つの場合は「シングルモンクストラップ」、バックルが2つなら「ダブルモンクストラップ」と呼ぶ。

バックルの金属部分がカジュアルな印象を与えるので、披露宴やパーティなどのドレッシーな服装には合うが、葬祭などの畏まった場所では控えることが無難である。

 

CHEANEY(チーニー)JOSEPH(ジョセフ) (シングルモンクストラップ)

John Lobb(ジョンロブ) William(ウィリアム) (ダブルモンクストラップ)

ローファー

スリッポンの一種で、甲を横引きしたベルトが特徴的なスタイルである。

スリッポン自体は古くから存在していたが、1930年代に米国で「ローファー」の名称で販売され流行したことが定型化された。

当時、学生の間でベルトの切れ込みにコイン(ペニー)を挟むことがはやったことから、「コイン(ペニー)ローファー」とも呼ばれる。

サドルに金属の装飾を入れ込んであれば「ビットローファー」、タッセル付きは「タッセルローファー」と派生系が存在する。

日本ではカジュアルシューズと見られるが、ジャケパンスタイルに合わせられる人気スタイルの一つとなっている。

 

Allen Edmonds(アレンエドモンズ) KENWOOD(ケンウッド)

サドルシューズ

ヴァンプを横にまたぐ馬の鞍のようなパーツが、靴の前後を二分割するスタイル。起源は英国だが、サドルとその前後が色違いだったり、素材違いだったりする米国式が定番で、アメカジに合わせる靴として一部のファンから熱い支持を得ている。

動きやすいことからゴルフやボーリング等のスポーツシューズとして用いられる。

 

REGAL(リーガル)  PERIGUEX(ペリグー)

COLE HAAN × fragment design(コールハーン×フラグメントデザイン) ルナグランド

チャッカブーツ

くるぶしが隠れる程の丈で、靴紐を通すアイレットが2~3組の外羽根式ブーツである。

バンプとクォーターのツーピースで構成されることが多い。

短靴でもなければハイカットの完全なるブーツでもないが、フォーマル感のあるカジュアルシューズの一つとして、様々なファッションに合わせられるのが強みである。

日本でも人気があり、ビジネス使用もオッケーだったりする。

 

Alden(オールデン) 1339

SCOTCHGRAIN(スコッチグレイン) 5600BL

カントリー

歴史上、上流階級や貴族階級の中で発展した紳士靴ではなく、一般庶民の文化で発展したそう作業や狩猟をする際に用いられた靴の総称である。

短靴の場合は「カントリーシューズ」、ブーツ型の場合は「カントリーブーツ」と呼ぶ。

防水性・防塵性・耐久性を重視した造りで昨日性に優れるのが特徴。

 

Tricker’s(トリッカーズ) Monkey Boots(モンキーブーツ)

Tricker’s(トリッカーズ) BOURTON(バートン)

ジョッパーブーツ

英国の軍隊が乗馬の際に履いていた靴が起源である。

ショート丈のブーツでヴァンプはトゥまで一枚皮で作られクォーターまで覆うような形になっている。

くるぶしの周りを一周するようにストラップが付けられバックルで固定するスタイルが特徴。

ビジネスでもパーティでも使用されることはないが、スポーティなファッションに合わせると足回りをシャープに引き立ててくれる。

ちなみに本格乗馬用のひざ下丈のロングブーツは「ライディングブーツ」と呼ぶ。

 

EDWARD GREEN(エドワードグリーン) GRESHAM(グレシャム)

Schnieder Boots(シュナイダーブーツ)  ジョッパーユニオン

サイドゴアブーツ

20世紀中頃にヴィクトリア女王に献上するために作られたのが起源で、

脱ぎ履きしやすく着用時のフィット感を高めるようにサイドにゴアを付けたブーツである。

シンプルなプレーントゥはスーツやジャケットスタイルにマッチするし、適度な装飾があればカジュアルにも使える汎用性の高いスタイル。

坂本龍馬が履いている靴もサイドゴアブーツであるという説がなされている。

 

Orobianco(オロビアンコ) LUCCA BRANDY(ルッカブランデー)

まとめ

代表的なものだけでもこれだけのスタイルが存在しており奥が深い。

革靴は欧米諸国の歴史に因むものがほとんどで、馴染みのない形状もあるだろうが、

その奥深さに取り憑かれてしまうと集めたくなるのがマニアというもの。

同じ内羽根キャップトゥでも、シューメーカーが違えば見た目も履き心地も全然異なるので、

「革靴などなんでもいい」と思われていれば、百貨店などのしっかりした紳士靴売り場を覗いてみて試着されてみてはいかがだろうか。

その場では違いは分からなくとも、使用するに応じてそのメーカーの思想を感じ取れると思う。

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