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気になっている機種は沢山あるのですが、香港のAROMAの機種はどれも面白い音を聴かせてくれるので注目しております。 最近ではMusical Boxシリーズが登場して全8機種も段階的に出すとかなんとか。昨年末に発売となったのは、下からEarly、Twins、Yaoの三機種。残りは開発中っぽいことをヘッドホン祭りでお聞きしたので、2018年の各種イベントで登場することが分かればいち早く試聴したい。

前シリーズのWitch Girl3機種と合わせて最新のMusical Box3機種の仕様(メーカーサイトより引用)と聴いてきた雑感をまとめます。

Witch Girlシリーズ

Witch Girl S

ドライバーユニット構成 高域:1バランスドアマチュア型ドライバーユニット
中域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
低域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
感度 122dB/mW
インピーダンス 48Ω
周波数特性 20-20kHz
付属ケーブル OCC 1.2m 3.5mmステレオプラグ
リケーブル対応(2pin)
※2017年7月末出荷分よりカラーがクリアからブラックに変更。
定価/中古 ¥92,000/¥60,000前後(2018年1月現在)
付属品
※変更する場合がございます
・ハードケース
・収納袋
・シリコンイヤーチップ S/M/L
・ウレタンイヤーチップ S/M/L
・Acoustuneイヤーチップ S/M/L

 

1つのダイナミックドライバーを用いる設計から発展していったイヤフォンの歴史。
Witch Girl Sは低域、中域に2つずつ、高域に1つの計5つのBAドライバーによる設計となっています。ダイナミックドライバーに対してBAドライバーは周波数レンジが狭く、過入力に対して弱いという欠点がありますが、圧倒的に低歪みであるという利点もあります。

Witch Girl Sでは、周波数レンジが狭いという欠点に対して、帯域を3つに分割してそれぞれ適したドライバーを振り分け、音楽の上でレベルの大きい低域、中域に対してはドライバーの数を2つに増やす事で、BAドライバーの欠点を克服しました。使用したドライバーはKnowles社製の最新モデル。年々技術向上が見られる中でWitch Girl Sはその最先端に居ます。

オールBAドライバーによって生み出される統一感のある音色は、周波数レンジの広い楽器のソロを聴くと実感できます。例えばピアノの低音弦から高音弦のハーモニー、マリンバの音板と共鳴管から発せられる豊かな響きなど、同じ原理を持つドライバーによるマルチウェイ設計ならではの自然な音が楽しめます。

また、Witch Girl Sは「フィット感・つけ心地」にもこだわりを持っています。
音がどんなに良くても、つけ心地が悪ければ意味がありません。Witch Girl Sはオールハンドメイドで、シェルとフェイスプレートのつなぎ目に一切の切れ目がありません。数え切れないほどのトライ&エラーを重ね、カスタムイヤホンと同等のフィット感、長時間つけていても疲れないシェルの形状を開発できました。

Witch Girl Pro

ドライバーユニット構成 高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
中域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
低域:2ダイナミック型ドライバーユニット(口径8㎜)
感度 118dB/mW
インピーダンス 16Ω
周波数特性 20-20kHz
付属ケーブル OCC 1.2m 3.5mmステレオプラグ
リケーブル対応(2pin)
※2017年7月末出荷分よりカラーがクリアからブラックに変更になりました
定価/中古 ¥125,000/¥80,000前後
付属品
※変更する場合がございます
・ハードケース
・収納袋
・シリコンイヤーチップ S/M/L
・ウレタンイヤーチップ S/M/L
・Acoustuneイヤーチップ S/M/L

 

音楽的に見て自然なユニット構成となると、どのような効果があるのか。これは実際にWitch Girl Proを聞いていただくしかありませんが、その時は是非ダイナミックレンジの大きい楽曲を聞いてみてください。バスドラが強いビートを刻む楽曲では、どのようなボリューム位置でもピークで崩れて聞こえてしまうことはないですし、低域のニュアンスが常に安定して聞こえることにより音像や音場も自然なものとなります。また、グランカッサのホールを揺るがすような音も強烈なアタックからホールに響き渡る残響を含め正確に鳴らします。

一方でイヤフォンのハイブリット化、特に低域にダイナミックドライバーを2つ積むことによって、問題もあります。プレイヤー/アンプに強力な駆動力を求めてしまうということです。いかにイヤフォン側で低域を正確に発音できると言っても上流側の性能が劣ってしまってはそこがリミットになってしまいます。ハイブリット化という音楽再生において妥協を排した故の非常なる選択によって、Witch Girl Proは至上の音質を目指しました。

また、多ドライバー化では筐体が大きくなりイヤフォンの付け心地が悪いという問題もありますが、Witch Girl Proはオールハンドメイドによる筐体製作によりこの問題を克服しました。シェルとフェイスプレートのつなぎ目に一切の切れ目がありません。カスタムイヤホンと同等のフィット感、長時間つけていても疲れない筐体の形状となっています。

Witch Girl 12

ドライバーユニット構成 超高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
中域:4バランスドアマチュア型ドライバーユニット
低域:4バランスドアマチュア型ドライバーユニット
感度 122dB/mW
インピーダンス 48Ω
周波数特性 20-20kHz
付属ケーブル 銅銀合金 1.2m 3.5mmステレオプラグ
リケーブル対応(2pin)
定価/中古 ¥269,000/¥180,000前後(※中古はほぼ出回っておらず)
付属品
※変更する場合がございます
・ハードケース
・収納袋
・シリコンイヤーチップ S/M/L
・ウレタンイヤーチップ S/M/L
・Acoustuneイヤーチップ S/M/L

Witch Girl 12の小さなシェルには、その名の通り12個のBAドライバーが組み込まれています。
構成は低域x4、中域x4、高域x2、そして超高域x2です。

イヤフォンが多ドライバー化する理由の一つに、低歪化があります。BAドライバーは過入力に弱く、あまり大きな音を出すと歪が増えてしまいます。そのため、複数のドライバーを搭載し、更に帯域分割をすることで1つ1つが低歪で動作できるようにしたのです。Witch Girl 12もそれを狙い低域、中域に各4つのドライバーを使っています。

そうして多ドライバー化をたどるイヤフォン開発の中であまり着目されていなかったことがあります。それは意外にも高域の再現性です。特に超高域は今までBAドライバーでは出すことが難しいという現実がありました。しかしながら、高域、超高域は音楽を聴く上で欠かせない要素であることは間違いありません。ハイレゾ音源とCD音源を聴き比べれば、CD音源は空間の広がりや音像のスポット感などに乏しいというのがはっきり聞き分けられます。

Witch Girl 12ではKnowlesの超高域まで再生できるようになった最新ドライバーを、贅沢にも高域に2つ、超高域に2つ割り当てています。16kHz以上を担当する超高域ドライバーは空間描写、正確無比なアタック描写(ドラムやパーカッションなどのアタック音は超高域まで含まれています)において多大な貢献をしています。Witch Girl 12はアーティストとエンジニアがスタジオで確認したマスターフォーマットの音源をあるがままに再生するという、まさに真の原音忠実性を実現しているのです。

また、ドライバーが多くなることで筐体が大きくなりイヤフォンの付け心地が悪くなるという問題を、Witch Girl 12はオールハンドメイドによる筐体製作により克服しました。Witch Girl S/Proからドライバー数は倍以上に搭載しているにも関わらず、ほんのわずかに大きくなったのみです。シェルとフェイスプレートのつなぎ目に一切の切れ目がありません。カスタムイヤホンと同等のフィット感、長時間つけていても疲れない筐体の形状となっています。

Witch Girl 試聴レビュー

まずはProから。早速耳にはめ込んでみると、一年以上前の試聴時に印象に残っていた通り完璧にフィットする。ドライバーが詰まっているので筐体は小ぶりとは言えないが、数多くの耳型サンプルを採って文字通りユニバーサルに使えるように研究されている。

DAPはAK240+Hugo。試聴曲は私が普段よく聴くジャンルからいくつかピックアップした。主となるのはポップス、ロック、エレクトロ、ヒーリング。

まずは中高域ボーカルの代表として”夢幻(水樹奈々)”を選んだ。とりわけボーカル帯が最前面にくるかまぼこタイプ。息遣いまで聴こえてきそうな生々しさはあまり感じられないが、低域に埋もれず霞むことなく聴かせてくれる。ロック部門から”刃(THE BACK HORN)”。ドスドス唸りをあげる低域に合わせてヘッドバンギングしたくなる。バスドラのようなメリハリある一撃当たりの勢いが大事な低域が得意。ボーカルも程よく近いところに位置し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムのシンプルな4ピースバンドが相性が良い。

次、”満天(Kalafina)”。女性ボーカルという点では水樹奈々と被るが、一聴して「あぁコレコレ」と頷けたのはこちら。音の構成はハイ寄りのボーカル、ドラム、ヴァイオリンがメインでその裏でベースがしっかり土台を築き上げているタイプ。ピアノやストリングスが主体かつ女性ボーカルだとProの持つ空間表現力を余すとこなく発揮できる。

ボーカルなしからChaosTheory、映画サントラのようなダンスミュージックで、ジャンルはEDM。Hugoの影響によるものと思うが、ハイハットに鋭さを持たせているものの低域は刃と同様に存在感が強い。エレクトロ部門から”Florting Colours(Mare Et Monti)”。ゴリゴリのサウンドではなく気持ちいい目のヒーリング系の曲調でピアノとベースが主体。キラキラ感も余韻も強くなく、これは少し合わない。”満点”のヴァイオリン系統の方が横に広い音場を感じられた。

次にBA5基のSを取ってみる。形状はProとニアリーだがDドラが入っていないことから筐体サイズはやや小さい。Proと比べて情報量を抑えてよりマイルドなサウンドに仕上げている。傾向として同じくかまぼこタイプだが、スッキリ聞けるのはSという印象。“夢幻”を聴くとボーカルが色っぽく前面に聴かしてくれるのはこちら。と思いきや”刃”のようにゴリゴリ攻めるサウンドは、いきなりイントロからビートを刻み、まったりとした曲とは裏腹に激しいロック調にも対応できることが伺える。スピードが速すぎると追いつけずに音が潰れる場面もあるが些細なものなので気にするほどではない。そしてProで鳥肌が立った満天だが、Sではバックミュージックはほどほどにボーカルを前に出してくれる。

最後にBA12基の12。さすがにドライバーが倍ほど詰まっているのでサイズ感は大きいが、耳に合うのはSやProと変わらず非常に快適。音質はさすがに各帯域全てにマルチドライバーとしているおかげか低域・中域・高域のどこをとっても不満が見当たらない。 Proと比べるとあちらはダイナミックドライバーを2基搭載したハイブリッド型なので音質傾向としては別物で、Sのあとちょっとっていうことろをカバーしているような印象を受けた。そのためにSの3倍出せるかという問題になるが、マルチBA型で解像感を取るなら選択しても良いような気もする。ただRE2000やDreamといったダイナミック型に犯された私の耳では"自然な鳴り"かどうかは疑問が残る。この価格帯になると音が良いというのは当たり前で、もう一味何か欲しいと思ってしまった。

Musical Boxシリーズ

Early(アーリー)

ドライバーユニット構成 高域:1バランスドアマチュア型ドライバーユニット
低域:8㎜ダイナミック型ドライバーユニット
感度 100dB/mW
インピーダンス 10Ω
周波数特性 20-20kHz
付属ケーブル OCC 1.2m 3.5mmステレオプラグ
リケーブル対応(2pin)
定価 ¥75,000
付属品 ・ハードケース
・収納袋
・Acoustuneイヤーチップ S/M/L
・付属ケーブル(ブラック)

 

Musical Box Earlyは1BA+1DDというシンプルなハイブリッド構成ではあるものの、エントリークラスではあるまじき音質を実現しています。

イヤフォンではどうしても筐体とドライバーサイズの制限から低域の再現というのは難しいものがありました。特にエントリークラスで比べるとイヤフォンはヘッドフォンの低域に見劣りしがちです。Musical Box Earlyは低域に8㎜ダイナミックドライバーを割り当てることで、クラス、種別を越えた低域再生を可能にしています。最新のKnowles製BAドライバーの繊細な表現と豊かな低域の組み合わせは、エントリークラスという概念を覆します。

Musical BoxシリーズはWitch Girlシリーズの大きな特徴であった付け心地の良さを引き継ぎ、更にイヤフォン筐体の制振特性に着目しました。小さな筐体にドライバーを複数備えるマルチドライバーイヤフォンでは、今までの音響工学ではなかった新たな視点の発想が求められます。Musical Boxシリーズはフェイスプレートにステンレスを採用し、見目麗しいだけではなく、極めて濃密で滑らかな音質を実現しています。

Twins(ツインズ)

ドライバーユニット構成 超高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
中域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
低域:1バランスドアマチュア型ドライバーユニット
感度 114dB/mW(スイッチ位置:上)
111dB/mW(スイッチ位置:下)
インピーダンス 24Ω(スイッチ位置:上)
32Ω(スイッチ位置:下)
周波数特性 20-20kHz
付属ケーブル OCC 1.2m 3.5mmステレオプラグ
リケーブル対応(2pin)
定価 ¥225,000
付属品 ・ハードケース
・収納袋
・Acoustuneイヤーチップ S/M/L
・付属ケーブル(ブラック)

Musical Box Twinsは最新のKnowles/Sonion製7BAドライバーにクロスオーバー切り替えスイッチを搭載し、様々な音源に対応できるようにしました。

音楽と一口に言えど、実際には帯域バランスから音量、編成まで音色にはとても広い幅があります。全てをカバーするのは難しく、場合によってはEQを使用しなければならないこともあります。AROMAの新たな提案はドライバーのクロスオーバーを切り替えることで対応するということです。Twinsには2組のキャパシターが内蔵されており、スイッチによって切り替えることで低域と高域のバランスを変えることができるのです。

Musical BoxシリーズはWitch Girlシリーズの大きな特徴であった付け心地の良さを引き継ぎ、更にイヤフォン筐体の制振特性に着目しました。小さな筐体にドライバーを複数備えるマルチドライバーイヤフォンでは、今までの音響工学ではなかった新たな視点の発想が求められます。Musical Boxシリーズはフェイスプレートにステンレスを採用し、見目麗しいだけではなく、極めて濃密で滑らかな音質を実現しています。

Yao

ドライバーユニット構成 超高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
高域:2バランスドアマチュア型ドライバーユニット
中域:4バランスドアマチュア型ドライバーユニット
低域:4バランスドアマチュア型ドライバーユニット
感度 113dB/mW
インピーダンス 26Ω
周波数特性 20-20kHz
付属ケーブル 銅銀合金 1.2m 3.5mmステレオプラグ
リケーブル対応(2pin)
定価 ¥325,000
付属品 ・ハードケース
・収納袋
・Acoustuneイヤーチップ S/M/L
・付属ケーブル

Musical Box YaoはWitch Girl 12が採用した12ドライバーの構成はそのままに、最新のBAドライバー、ステンレスフェイスプレートを採用しました。Musical Box Seriesの中でもトップエンドに位置する名実ともにリファレンスイヤフォンとなるべく開発されました。

Musical Box YaoではKnowlesの超高域まで再生できるようになった最新ドライバーを、贅沢にも高域に2つ、超高域に2つ割り当てています。超高域の再現にまで焦点をあてた4way構成が生み出す音色は濃厚であり、見通しが良いという一見相反した要素を兼ね備えています。音場表現は左右の広がりだけではなく、高さ、奥行きと3次元方向までしっかりと描き分けます。音源にこめられた楽器のパルシブな感触やハーモニーをあるがままに再現します。

Musical BoxシリーズはWitch Girlシリーズの大きな特徴であった付け心地の良さを引き継ぎ、更にイヤフォン筐体の制振特性に着目しました。小さな筐体にドライバーを複数備えるマルチドライバーイヤフォンでは、今までの音響工学ではなかった新たな視点の発想が求められます。Musical Boxシリーズはフェイスプレートにステンレスを採用し、見目麗しいだけではなく、極めて濃密で滑らかな音質を実現しています。

Musical Box 試聴レビュー

この三機種はすでに発売済みですが試聴機がまだ店に上がってきていないので、発売直前のヘッドホン祭りでの試聴メモから思い出しながら記載しています。

EarlyはBA1基、Dドラ1基のハイブリッド型。三機種の中で一番聴きやすいリスニング型。しっかりボーカルが近く楽しく聴ける。昨年はこの構成のハイブリッドイヤホンが増えたが、その中でも低インピーダンスでどんなDAPでも対応できそうなスペック。濃密な音ではないがドッシリ腰を据えたサウンドで、この三機種の中では一番好きって人も多そう。TwinsはBA7基の2-2-2-1構成。JomoのSEOが7ドラは論外と言っていた気がするが、確かに7ドラってあまりない。悪名高いStereo Pravdaが7ドラだったが、他にBA7基の組み合わせは見かけない珍しい機種。こちら、低域ブースト、高域ブーストの付いたスイッチモデルで、スイッチを上げると高域特化、下げると低域特化。どちらも極端。上はハイが刺さるし下はベースがうるさいくらい。好みが分かれることこの上なし。高域特化のギンギンに刺さる感じは好きだけど、いずれにせよ聴き疲れしそう。Yaoはフラグシップの立ち位置。BA12基で2-2-4-4構成で同じくBA12基のWitch Girl 12とは同じドライバー構成。深みのある低域を醸し出し空間表現が得意。Twinsのインパクトが強すぎてあまり印象に残っていないのが本音。

装着感、遮音性はWitch Girlと同じく非常に良好。お値段的にはEarlyが8万弱、Twinsが23万弱、Yaoが33万弱。Earlyはともかく他2つはお値段的にナシですわ。ただTwinsのスイッチをどっちに倒してもグイグイ来るドSな音は気に入りました。試聴機が出てきたらもう少しじっくり聴いてまとめ上げようと思います。

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