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ATLASのレビューはこちら!

みんな大好きCampfire Audioから2種類のステンレス筐体モデルが登場しました。一つはシングルBAのCOMET、もう一つはシングルDDのATLAS。COMETだけ先に発売しており、ATLASは夏頃までにリリースするとのことですが発売日未定の状況。他にも新製品が目白押しで試聴が追いついていませんが、COMETのスペックと音質レビューをババッと書きたいと思います。

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外観・仕様

筐体材質は高級時計とやらに使われるステンレス。イヤホンでステンレスを使用しているモデルといえばfinalが有名ですね。(あちらはCOMET程ギラギラしていませんが)

材質が音に与える影響も大きく、一概にこの材質だとこんな音とひとくくりにすることができませんが、個人的にステンレスといえば解像感高めでスッキリした音という印象を受けます。

COMETのスペックとしてはシングルBAドライバー、生産終了したORIONと同じですが筐体形状も使用されているドライバーも全てが異なります。周波数特性10Hz〜19000Hz、感度97dB、インピーダンス48Ωとやや駆動力を求められます。JUPITERやANDROMEDAがすこぶる鳴らしやすかったのでそれらで聴く音量の1.3倍増しくらいにする必要があるかと思います。

技術的にはこれまでのモデル同様T.A.E.C.(Tuned Acoustic Expansion Chamber)が採用されています。音導管を使用しない音響設計技術で、BAドライバーが持つ本来の周波数特性を正確に再現するとのこと。

リケーブル端子は旧製品同様MMCX、これまでのモデルで付属したケーブルを流用することができますね。

付属ケーブルはALO Litz Copper Earphone Cable 3.5mm、リモートコントローラー・マイク付きのものが1本のみ。ぶっちゃけこれだけで2万円ほどしますから本体がおまけのような事態となっています笑

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装着感

Campfire Audioの機種はこれまで2通りの筐体デザインを使い分けていました。BAモデルORION/JUPITER/ANDROMEDAは角ばった大きめのアルミニウム筐体、DDモデルLYRA/VEGAは流体金属を素材とした耳に収まるコンパクトな形状。ハイブリッド型についてはDORADOはDD型と同形状、POLARISはBA型のアルミニウム筐体と定まっていません。

そこで今回のCOMET/ATLASはそれぞれBA型/DD型ですがそれぞれ形状が若干異なるステンレス筐体。装着もSHURE掛けではなく素直に下から装着する設計に基づいています。金属を使っているためカスタムIEMもどきの人間工学的に最良な形状にはできなかったのでしょうか、フィット感の良し悪しにかなり個人差があるように思えます。ANDROMEDAのようなアルミニウム筐体は蓋をするようにSHURE掛けしますが、こちらはカナル奥に押し込む必要があり、内耳のカーブが急だとフィット感が良いと感じられないかもしれません。私の耳はカナルがストレートなのでイヤーチップ次第では高い装着感と遮音性を得られましたが、万人共通で優れるものではありません。

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価格帯

本国の価格が$199に対して日本での定価は¥25,000程。まぁこんなものでしょう。祭り特価などで2万くらいになれば御の字と言ったところ。

Campfire Audio的にはこれまで多数のモデルを出してきましたがその中でも最も安いグレードに位置します。シングルドライバーとはいえステンレス削り出しでかなりコストが掛かっているにも関わらず2万円代という定価は破格だと思います。こっちで価格を抑えた分ATLASの方にコストが乗せられている可能性は否めませんが、2万円代でここまで高級感溢れるモデルは他にないのではないでしょうか。

音質

BAドライバに穴を開け中低域を増幅させる技術自体は8年ほど前にFinal Audio Design(現final)が確立していました。モデルはFI-BA-SS、シングルBAにして11万のフラグシップモデル。生産終了しているので入手困難ですが、今でも通用する名機です。これと似たような技術にCampfire特有のチューブレス機構にステンレスのガワを合わせつつ、価格もかなり抑えているので技術の進歩って凄まじいなと思います。

音質は中低域はドライバーで調整し、高域はチューブレスにすることで伸びやかになっている印象を受けます。ANDROMEDAのような煌びやかさがあるわけでもVEGAのようなパワフルな低音を醸し出せるわけでもないので一聴しただけで分かる凄みはないかもしれませんが、BAでありながらベントを開けているおかげでダイナミックに近い低音を実現しているところが特徴で、それでいて中高域はBA特有のクリアな音色でハイブリッド型に近い音質だと感じました。

3万前後という価格帯は今年に入って超激戦区になりつつあります。それぞれ良い面・悪い面がありますので、普段手に取らないメーカーの機種も合わせて聴き比べてみると新しい発見があるかもしれません。

qdc Neptuneとの比較

装着感と遮音性は断然Neptuneの方が良好。Neptuneのカスタムもどきの筐体形状は賛否両論ですが、個人的にあそこまで万人の耳にフィットするユニバ機は他にないと思っています。音質面ではCOMETの方が中低域がやや強め、Neptuneは中高域寄りですのでどちらが上位互換ってことはありません。低域がバスバス鳴るような機種が好みの方がこれらを選ぶことはないと思いますが、COMETは最低限の低音は確保できているので全体をバランスよく聴きたいならCOMET、低域を捨てて中高域をスッキリ聴きたいならNeptuneです。

final E5000との比較

日本vsアメリカの新製品対決。ともにステンレス筐体です。ドライバーがE5000はダイナミック型なので一概に同格と扱うことはできませんが、予算3万としてイヤホンを選ぶなら確実に候補に入ってくることでしょう。E5000はケーブル含め本当に2万円後半で売っていいのかと思う音質クオリティで、随所で絶賛されています。(それを言うならCOMETの付属ケーブルも大したものですが) 私がDDの鳴響き方が気に入っているからか、音質的には断然E5000の方が好み。この価格帯ならば粗を探そうにも隙が見当たりません。ただし悪い意味でE5000は見た目がしょぼいので所有欲ではCOMETの方が勝りますね。

まとめ

バランスドアーマチュアにしろダイナミックにしろドライバー一発で理想の音が出せるならばそれに越したことはありません。シングルドライバーではどうしても限界があるからマルチドライバーで調整することを良しとしたためにどのメーカーこぞって高額路線の製品を出しまくった結果潜在的な需要を失ってしまったのだと私は思います。私の周りでイヤホンに何万もかけるユーザーってほとんどいませんから、このまま先細りする一方なのかなと思いきやここ最近多くのメーカーが「これではいけないよね」ってことでシングルドライバーに回帰しつつあります。Campfire Audioも最初こそイヤホンはシングルドライバーこそ至高と言いながらダイナミック一発のLYRAをファーストモデルとしてブランド化に成功しましたが、それ以降はJUPITER、NOVA、ANDROMEDA、DORADO、POLARISなどマルチドライバーを主軸として、結局ダイナミック以外は多ドラだらけじゃないかというラインナップになってしまいました。もちろんシングル一発のORIONは当時それなりに受けたのでしょうが、その時の流行りはドライバーがある程度積まれている方が音質が良いと考えるマニアが一定数存在したのも大きな影響を及ぼしたのでしょうが。

今回のCOMET/ATLASは筐体の形状・材質から見直し、原点に立ち返ってBA、DDそれぞれ一発しか積んでいないけど出せる全力を出し切っていると思います。中華系の業者含めメーカーが乱立していることで開発期間を確保できない事情はありますが、設計から製造までを一気通貫でできる土台がCampfire Audioにはあるので今後も良製品を作っていってほしいと思います。

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