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【レビュー】AZLA HORIZON(ホライゾン)をガッツリ試聴-サウンドステージが横に広いスルメ系イヤホン-

AZLAの第二弾HORIZON(ホライゾン)が話題を集めています。第一弾のAZLAは大ボラ吹きもいいところで、カスタムイヤーピースを前提とした装着感の悪さとIRIVER譲りの価格崩壊で今や半値以下の投げ売り状態。素のフィット感さえ何とかなればここまで悪評が立つこともなかったと思いますがぶっちゃけイヤーピース付きで8万なんて誰が買うのかと思うんですよ。賛否はありますが特定機種しか使えないイヤーピースに4万も払う気になれません。

まぁあんまりネガティブなことを長々と話しても仕方ないので本題へ。第二弾となるHORIZONはそんな初代AZLAとは違って「良い意味」で注目されています。今思うと初代は売名目的の炎上商法だったのかもしれませんね。

HORIZONのプロト機が初登場したのは今年春のヘッドホン祭り。私は祭には行けませんでしたが、タイムラインの盛り上がりを見る限りでは前評判が良く、概ねプラス方向に捉えている方が多いように感じました。発売も1週間延期したとはいえ発表から2ヶ月以内というスピード感です。(正式発売日は6月2日)

HOROZONがここまで好評だとやはり気になるので、人の少ないタイミングを狙ってじっくり聴き比べてきました。(多分1時間は聴いてたと思う) 私も初代AZLAはボロカスに批評していましたが、メーカー自体に恨みはないので良い製品は良いと言うし、ダメな製品はダメだと言います。著名な方は色々しがらみがあって大変そうですが、レビューを書いたところで私には一銭も入らないので思ったままに書かせて頂く次第でございます。

仕様・外観

カラー展開はブラックとレッドの2色。シンプルで気取っておらず良デザインと思います。ドライバー構成はダイナミック一発。シングルダイナミックは昨年だけでもfinal E2000/3000、NOBLE EDC velvet、beyerdynamic XELENTO、CAMPFIRE AUDIO VEGA、DITA Dream、HiFiMan RE800/RE2000などなどアンダー1万から10万超まで幅広い価格帯で新製品が登場し、かつどの機種も強みがあってマニアの耳にがっつり喰い込んでいます。BAドライバーよりも音質面・技術面での差別化が図りやすいのかもしれませんね。

HORIZONは技術的に言うと、DynamicMotionの同軸ハイブリッドドライバー技術をレンタルした初代AZLA以上に凝っていると思われます。具体程には大きく2点。ドライバ自体と筐体構造に独自開発の技術が盛り込まれています。

新開発ダイナミック型ドライバー”ARD™”

“Advanced Research Driver™”の略称。平たく言うと3層構造の振動板を採用したダイナミックドライバーです。3Dレーザースキャナーを用い、特に10KHz以上における分割振動モードを徹底解析。その精密なシミュレーションを重ね、3層構造46μ厚の振動板を搭載した8mm径ダイナミック型ドライバー「ARD™」を開発し採用に至りました。核となるアルミニウムダイヤフラムを覆うように2枚の樹脂層を加えることで振動板として最適な剛性を実現。磁気回路から伝達された振動を、中心の軽量アルミニウム層がロス無く受け止め、前後の樹脂層によるダンピング効果と相まって、全帯域に渡りフラットな特性を実現します。周波数特性の乱れや位相歪みのない、超高域までクリアなワイドレンジ再生が特徴です。

周波数特性の歪みを振動板周りを強化することで解決しようと試みたわけですね。振動板に着目した機種としてはRE2000も同じで(価格帯は全く異なりますが)、あちらはダイヤフラムに特殊な幾何学模様のメッキを施すことで周波数特性をコントロールしようとしたわけですが、ダイナミックドライバーは様々な着眼点があって面白いです。

アルミニウムとポリカーボネートのハイブリッド構造

コアとなるARD™ドライバーに、超精密切削加工を施したアルミボディを採用。アルミブロック削り出しで2つのパーツを組み合わせて筐体を形作っています。外側のハウジングにはトップグレードのトップグレードのUVコーティングポリカーボネートを採用。ここで登場するのが独自エアフロー技術”Infinity sound technology”。大型のベントポートを設けたドライバーを密閉型のハウジングで覆うことでダイナミック特有の開放的な音場と密閉型特有の高い遮音性を両立させるエアフロー技術です。

これらを全て一纏めにモジュールとしてOEMとして他社に供給することも可能です。一体モジュールとしての名称は”Infinity ARD™”。ダイナミック型でしか実現し得ない音場の広さと沈み込むような低音の表現力を持ちながら高い遮音性と音漏れ防止を両立させています。

装着感

初代AZLAとは天と地ほどの差があります。HORIZONの装着感はめちゃくちゃ良好で、ハウジングの形状もさることながらHORIZONのために開発したイヤーピース”SednaEarfit(セドナイヤーフィット)”が優れています。このSednaEarfitはAZLAブランドの創立準備の段階から、約2年間の期間をかけて研究を重ね誕生しました。共振による音質劣化を抑え、特に中高域帯の音を鮮明に表現してくれるイヤーピースです。単体販売もされておりますが入荷してはすぐに品切れになってしまい入手困難な状況が続いています。

ユニバーサル機の中でフィット感に定評のある機種はqdc NeptuneやAROMA Witch GielなどのカスタムIEMもどきの筐体が挙げられますが、HORIZONはハウジングサイズが小さいのでそれらとは別方向。NeptuneやWitch Girlなどは筐体自体が万人の耳に合いやすいようにできているのに対し、HORIZONは筐体をイヤーピースにより内側からホールドさせるタイプなのでイヤーピースのサイズや素材による変化を捉えやすいと思います。

音質

装着感が初代AZLAとは違いすぎるので前作との比較はできません。ご了承願います。

プレイヤーはAK380SS+SSAMP、音源ジャンルはエレクトロ(電子音楽)、ポップス、ゲーム/映画サントラ(オーケストラ)メイン。

初めに思ったのは「言うほどでもない」ということ。期待値が高すぎるが故に「なんだ普通じゃねーか」と思ってしまったあたり、自分の耳が肥えているんだろうなと。しかしそんな中でもHORIZONがHORIZONであるがための特色を聴いて感じ取れました。

HORIZONのポップ広告を書くなら「サウンドステージが横に広いスルメ系イヤホン」としたいです。尖っているポイントがほぼなく、聴き疲れすることのないバランスの良さがまず挙げられます。悪く言えば音質面での特徴が薄い、ということになるのですが、しばらく聴いてて「こんなもん聴いてられるか」と思わない時点で良機種と判定できます。低域がボワボワだったり、ボーカルが遠すぎたり、ハイが刺さったりするなどのアバレポイントがあるような機種だと良い方向にも悪い方向にも転びますので、ある人には「神」と評されるけれど別の人には「クソ」と一蹴されるのでその機種の特徴が浮き彫りになりやすいんですよね。やかましいほどの低域が好きな人に中高域がスッキリするような機種を聴かせてもストライクゾーンが違いすぎるのでヒットするはずがありません。

そこでHORIZON。自分の聴く限りでは悪目立ちするポイントが感じられませんでした。強いて言えば高域が弱い。この部分はNeptuneやE5000などのライバルに譲ります。反面、低中域では分離感強く立体的に表現することができるのは評価できます。中低域が強めなのに聴き疲れしにくいというのは、それだけ質が高いから、ということに他なりません。サウンドステージは横方向に広がるイメージで縦はあまり伸びません。随所で言われている伸びのある煌びやかな高域そんなに出てるかな〜?と感じましたが、音源やプレイヤーの違いによるものと考えましょうか。

そうそうプレイヤーと言えば上流側の影響を受けやすいからか、ステンレスならではのクッキリカッチリした音の輪郭ははっきりしているように感じました。AK380SSは低域の質感がサッパリしているタイプにも関わらず、過不足なくグイグイと出ていたので低域が強くなるようなDAP(例えばWM1Aなど)との相性は悪いかもしれません。もしかしたらプレイヤーの特性を反映しやすいのかも、、

また私の普段聴く音楽に偏りがあるので一概には言えませんが、クラシック以外のどんなジャンルにも使えそうです。音を放った後の余韻が強いというわけではないのでクラシックには向いていません。男性ボーカルだろうが女性ボーカルだろうがオールオッケー、音数はそこそこ多い方が聴き応えがあります。エレキ、ベース、ヴァイオリンなどの弦楽器が多数共生するハイテンポサウンドはアバレ系イヤホンで長時間聴くと頭が痛くなってくるのですが、HORIZONでは長時間聴いていても問題なさそう。(スパイスがなくて物足りなくなるという逆の問題は出てきそうではあります)

音単体で捉えるならば連続して音を出し続ける弦楽器やアコーディオンやオルガンに代表される鍵盤楽器は伸びやかではないけどロスなく力強く聴かせてくれるという点で面白い響き方をすると感じました。逆に手数で攻めるパーカッション系は余韻を醸し出してくれないと凡庸になるのでドラムやコントラバスの音は特筆するものがありません。

またダイヤフラムに手を加えているのでエージングによる変化が期待できそうです。この部分は実際に購入してからでないと断言できませんので記述できませんが、低域が落ち着いて高域が伸びるようになるならばアンダー3万の中でも有力な候補になり得るのでは、と思います。現状音質だけならfinal E4000/5000が一歩抜きん出ていると感じるので、HORIZONが音質でも隙がなくなったら装着感が良い分こちらを推したくなります。

リケーブル

本体側の端子はMMCX。初代AZLAは2pinだったのでより汎用性の高い端子に変更を加えました。

ケーブル自体もHORIZON専用開発しており、芯材として高い強度と衝撃吸収性を持つケプラーと高純度銅線で構成されています。Effect Audioほど柔らかくはありませんが、反発するほどの硬さもないので取り回しに困ることはなさそうですね。

同価格帯の競合機種

HORIZONの初動価格は約3万。ポータブルオーディオ戦国時代を生き抜くべく、イヤホンであろうがヘッドホンであろうがプレイヤーであろうが価格をかなり抑えたモデルを各社用意してきています。少し前までは10万、20万が当たり前でしたが、その中のヒット製品は極々僅か。売れないハイエンドを作るよりとっつきやすいミドルクラスで妥協しない機種を作った方が双方にとってプラスだと自覚したんでしょうね。

今3万円の予算で有線イヤホンのおすすめを聞かれたら、final E4000/5000、qdc Neptune、Campfire COMET、Sennheiser IE80S、SONY EX1000、NOBLE EDC velvetあたりをとりあえず聴いてみればOKと答えます。

まとめ

同価格帯のライバル機種が分かりやすく良い部分と悪い部分がはっきりしているので、HORIZONはあまり目立たないかもしれません。「結構騒がれとるけど普通やないか」と。ある程度予算を出すならばオールマイティな機種よりも何かしらに特化している方が注目されやすいというのは事実ですが、アンダー3万、装着感良好、聴き疲れしにくい、音場広めで比較的クリアといった好材料が揃っております。現状、普段味付けの濃ゆい機種ばかり揃えているマニアにこそ聴いてほしい機種という位置付けになるのかなぁと思いますね。

個人的には残念だと思っているのはMMCXに変えてしまったところ。ここだけは埋め込み2pinでお願いしたかった。経験上MMCXって耐久に難がありすぎるんですよね。使い方云々の問題ではなく数回抜き差ししただけで接触不良を起こしてしまう個体がどれほど存在するか、この辺りは人柱様にお願いして、購入は保留。T8iEの悲劇は忘れません。

とはいえ屋外での遮音性を試すことができ、それでも問題なければ真っ先に購入したい機種として我が買い物リストを更新しました。いずれ手中に納めたら音質面での気づきをもっと細かく記そうと思います。それでは!

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