スポンサーリンク

一時よりもブームが去った感がある「カスタムIEM」

2015~16年あたりのオーダーラッシュは凄まじく、Twitterを見る限り毎日どこかで完成報告がなされていました。今でも新規需要はそれなりにあるのですが、有名ブランドの多くは海外がメインです。日本ブランドだと須山(Fitear)が大半でたま〜にCANAL WORKSを見かけますね。国内ブランドをオーダーする分には、各メーカーのホームページから直接オーダーすればいいのですが、海外ブランドだとそうもいきません。

カスタムIEMがここまで広まる以前は、本当にコアなオーオタがアメリカのUEやWESTONEなどに直接問い合わせをして入手していたと聞きます。今でもメーカー次第では直販を行っているところも存在するのでやろうと思ったらできるのですが、eイヤホンやミックスウェーブが代理店を務めているため直販NGというメーカーも増えてきました。

今からカスタムIEMを作る方がどれほどいるかは分かりませんが、直販OKのメーカーに限り、国内代理店を通す場合と自分で輸入する場合のそれぞれのメリット・デメリットを比較したいと思います。どこが直販できるかは公にはしませんが、気になるメーカーがあるならば本国のホームページのお問い合わせフォームから「直販OK?」と聞いてみると一発です。

カスタムIEMオーダーの流れ

まずは、すでに購入するモデルが決定している前提で代理店通しの場合と直販の場合のオーダーの流れを比べてみましょう。

国内代理店通しの場合

  1. 最寄りの補聴器屋でインプレッション(耳型)を採取する。
  2. 店頭でオーダーシートを記入、特約説明を受ける。もしくはネットでオーダーシートを提出。
  3. 料金先払いでインプレッションを渡す。
  4. 完成報告を待ち、受け取りにいく or 自宅配送してもらう。

直販の場合

  1. 最寄りの補聴器屋でインプレッション(耳型)を採取する。
  2. ネットでオーダーシートを記入し、クレジット(PayPal)で支払い。
  3. インプレッションをEMSなりDHLでメーカー直送。
  4. 完成報告を待ち、出来上がったら自宅へ配送してもらう。

国内代理店を通そうが、メーカー直接オーダーしようが流れは全く同じです。直販の場合はインプレッション発送料も掛かってきますが、せいぜい2000~3000円くらいのものです。配送事故などの不運も考えられますがそんなことは滅多にありません。

海外メーカーと直でやりとりするのが難しいと考えてらっしゃる方が多いと思いますが、オーダーするだけならば中学レベルの英語の読解力さえあれば誰でもできます。と言うかググれば英語も何とかなりますから、全く英語できなくても可能は可能です。

それよりも完成した後にリフィットが発生したりすると直販の方がやや難易度は上がりますが、現物にマーキングして「この部分をこうしてほしい」という説明ができれば大概解決するでしょう。詳細は後ほど説明します。

国内代理店のメリットとデメリット

メリット

  • お金を支払うだけで出来上がりを待つのみの状況を作れる。
  • リフィットなり不具合が発生しても「日本語で」やりとりできる。

デメリット

  • マージン乗っかるので直販より高い傾向にある。
  • 納期が直販より長く掛かるメーカーが多い。
  • 経過報告が一切ない。

マージン発生は当然、納期も通常より長く掛かる場合があり、予定納期を過ぎても一切の経過連絡がありません。この辺り代理店ならもう少し何とかならないのかなーと思うのですが、直販価格同等か、むしろ直販よりも安くなるようなモデルもあり、一概に代理店を否定できません。何にせよ不具合が起きた時は直接店に持って行って相談できるのもメリットになるので、この辺りの安心感が欲しいから多少割高でもいいという方もいるでしょう。

直販のメリットとデメリット

メリット

  • 為替によっては代理店価格より大幅に安くオーダーできる。
  • メーカーによっては納期が爆速。
  • 進行状況を確認できるメーカーもある。

デメリット

  • リフィット、不具合時に英語でやりとりする必要がある。
  • オーダー時のインプレッション発送はもちろん、リフィット時、修理依頼時の送料は自己負担

オーダー価格を抑えられ、かつ納期も代理店通りよりも短くなるケースが多いです。出来上がったら直接自宅に配送してくれるので受け取りまでのリーディングタイムを短くできるためですね。価格面で優位性があるならば大いに価値あり、リフィットなり修理が発生したりしても保証期間内であれば代理店通しと同じような対応を受けられるでしょう。逆に価格面で優位でなければ代理店通しと比べてメリットが少なくなります。為替による影響が大きいため、現在のような円安傾向だと活用しにくいですよね。

セールに関して

海外はブラックフライデーの風習があり、ここ数年日本でも11月下旬に大手小売を中心にセールが行われています。残念ながら日本のブラックフライデーは売れ残り、在庫一掃セールと化しているので定着する気配は全くありませんが、本場のブラックフライデーはハイブランドも何十%OFFもの破格値で販売されることもザラです。1年間貯金してこのタイミングで全開放する消費者も沢山います。

オーディオも例外ではなく、メーカーによっては15~25%程度のディスカウントを受けることが可能。64 AudioやJomo Audioは昨年15~20%OFF、JH Audioは普段からJHクルーで20%OFFになりますが、これは2本目以降から。ブラックフライデーは1本目でも20%OFFになっていたのでここで1本目を入手すれば以降いつでも全て割引を受けらるようになります。Empire EarsやHeir Audioなんかは30%OFFとかなりの大盤振る舞い、カスタムIEMではなりませんがSHUREやSENNHEISERといった大手はモデルによっては半額ととにかく割引率がすごいです。

対して日本のカスタムIEMセールは本当にしょぼい。以前はヘッドホン祭やポタフェス等のイベント時に多くのブランド、モデルで20%ほど割引されていましたが、需要が上がって下げる必要がないと判断したからか「インプレッション代無料」「オプション一部部無料」「本体価格1万円引」みたいな全く惹かれないものばかりです。最近ではNoble Audio代理店のオ◯イデがヘッドホン祭りで自社ケーブル合わせ売りで少しお得になるセールを打ち出していましたが、諸々の対応が酷すぎるところから見直してほしいものです。

直販できるメーカーならば上記の通りブラックフライデーで国内でオーダーするよりもかなりお得にオーダーできるので、安くなった頃合いを見計らってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

直販する際の注意点

大きく4点あります。代理店通しの場合は表示価格+インプレッション代以上が掛かることは基本的にはありません。(リフィットの回数制限に達した場合は料金が発生する可能性はあります) 対して直販は海外通貨での支払いとなり、かつ日本へ送ってもらった際に8%の消費税を税関で取られる可能性があります。このあたりを見逃す人が多いので、直販する際、費用面での注意点をザッとまとめておきます。

  • インプレッション発送費用 ¥2000~3000円
  • 為替レートの暴騰による円安で損する可能性
  • 完成後、日本への発送時に税関でオーダー価格に対して8%の消費税が課税される
  • リフィット、修理が必要ならばその都度配送費を自己負担

インプレッション発送費用 ¥2000~3000円

送り先、運送会社にもよりますが、梱包サイズも小さいことから大体3000円程度に収まると思います。

参考までにEMSでシンガポールまで送った時の費用は1800円ほどでした。

為替レートの暴騰による円安で損する可能性

PayPal 円建てなら4%の手数料でその時点のレートを適用することができますが、現地通貨決済ならばクレジット会社の手数料(1~2%)を適用可能。ただしクレジット会社で処理するまでに2~3日のタイムラグが発生します。その間にレートが急激に上がってしまい、損をすることをは頭の片隅に入れておきましょう。

例えばクレジット会社手数料1.64%、$1=¥100、$2000のモデルをオーダーしたら

2000*100*1.0164=203.280 ですが

オーダー直後にトランプ大統領がものすごく良い政策を打ち出して$1=¥110のドル高になってしまったら

2000*110*1.0164=223.608 とレート増減に応じた価格差が発生します。

逆に円高になる可能性も無きにしも非ずですが、なるべく世界が平穏な時にオーダーすれば予想外の高騰は避けられるでしょう。

完成後、日本への発送時に税関でオーダー価格の6掛に対して8%の消費税が課税される

決済が済んでも油断できません。海外通販は全て税関を通り、革や宝石、織物などは国が定めた関税を納める必要があります。オーディオ製品は関税は掛かりませんが、オーダー価格の60%に対して消費税8%は発生してきます(どんな製品も消費税は掛かってきます)

クレジット会社手数料1.64%、$1=¥100、$2000のモデルが日本に到着し、税関のチェックが入ってしまったら

2000*100*1.0164=203.280

203.280*0.6*0.08=¥9,758 もの消費税を受け取り時に支払わなければなりません。

ただし毎回この消費税が発生するかと言われればそうではなく、本来支払わなければいけないはずなので関税通知が入っていないケースも多々あります。ロードバイク製品を仕入れる時も消費税が掛かったり掛からなかったり、運送会社によってもマチマチです。日本郵政に委託される場合やUPSは高確率で徴収されるのですが、Fedexはこの辺りがゆるい気がします。あくまで体感ですけど。

なお購入価格が¥16,666以下の場合(つまり6掛して1万円未満となる場合)は関税及び消費税は免除されます。

直販で得をしようと思ったら、この辺りの費用も念頭に入れておくとよいでしょう。消費税込みで代理店価格とトントンになってしまったら直販する意味はほとんどないのですから。

リフィット、修理が必要ならばその都度配送費を自己負担

カスタムIEMは高確率でリフィットが発生するものなんですが、一発で完全なフィット感を得られるとは限りません。代理店通りの場合は条件付きでリフィットが無料になりますが、直販の場合は最初にインプレッションを送った時と同様自己負担です。1回で済めば良いけれど、2回も3回も送っていると送料だけで結構いい金額になってしまい、最終的に代理店通しと変わらなかった、というケースも考えられます。

代理店通しでオーダーしてもいいと思える価格差

以上のことから直販でも予期せぬ費用が掛かってくる可能性があることはお分り頂けたと思います。1~2万円程度の価格差ならば一瞬でチャラになりますから、それくらいの価格差ならば素直に代理店通しでOKと思います。直販するメリットはマージンをぶっこぬきたいだけなので、そこで優位性がないならやる意味は皆無です。

ただしこの価格差が5万も6万も出てくると、送料3回分、消費税徴収1万が掛かったとしても3~4万は浮かせられます。この辺りの判断は各々異なるでしょうが、個人的に3万以上安くなるならば直販も視野に入れたくなりますね。慣れていないと労力と感じるかもしれませんが、メーカーとの英語でのやり取りもやっているうちに楽しくなってきます。浮く金額とトラブった時のリスクを天秤にかけて判断いただければ幸いです。

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう