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キングオブシューズ”John Lobb(ジョンロブ)”、革靴の中でも最高峰と言われるで紳士靴ブランドで、同じく英国ノーサンプトンの”EDWARD GREEN”と双璧をなす存在です

知名度的には言えば、革靴に興味のある人間しか知らないと思います。履ければなんでも良いと考える人はおそらく知らないかもしれません。

もし周りに革靴好きのマニアックな方がいれば「最高の革靴ブランドってどこ?」と聞いてみて下さい。

必ずこの名が挙がってくるはずです。革靴に拘りがあって”JohnLobb”を知らないならばそいつはモグリと言って差し支えありません。それくらいスゴいシューブランドなんです。

この記事では”JohnLobb”の成り立ちについてお話ししたいと思います。

歴史

1858年、ロンドンで革靴の修業を積んだJohn Lobb氏が当時英国王室の支配下にありゴールドラッシュに沸いたオーストラリアで自身の名を宛がった『JohnLobb』を創業した。

この地で鉱夫向けのカスタムメイド靴を造ったのが大当たり。その後、ロンドンに戻りさらなる技術を習得し、現在も主流の所謂”クラシックな英国靴”を完成させた。

1862年英国万国博覧会で金賞を受賞すると、翌年イギリス皇太子に乗馬靴を献上し、店を構える前から『ロイヤル・ワラント-英国王室御用達-』の栄勲を賜る。

それから3年経ち1866年、ロンドンに第1号店をオープン。

シューメーカーとしての”JohnLobb”の噂は瞬く間に広まり、上流階級や政治家に向けたビスポーク靴(フルオーダー靴)の受注を開始した。

ロンドンでの成功を受け、1902年にJohn Lobb氏の息子であるWilliam Lobb氏が仏国パリ支店をオープン。

ここから現在でも最高峰の既成靴である” WILLIAM(ウィリアム)”や”LOPEZ(ロペス)”が誕生するも、1976年に経営難に陥る。

当時展開していたショップを閉店させるかどうかの瀬戸際に、世界一の皮革ブランド”HERMES(エルメス)”が”ブランド商標権”と”パリ支店”を買い取ることで存続。

エルメスはジョッパーブーツ等の革靴を作っていた経緯がある。革靴の質を見抜く選球眼に優れていたこともあり、「JohnLobbほどのシューメーカーが消滅するのは世の中にとっても損である」と一役買って出た。

JohnLobbがHERMESファミリーに加入して間もなく、限られた特権階級の顧客に向けたビスポークに加え、既成靴の需要拡大戦略が取られた。

エルメスの指揮により、1981年にレディメイド-既製靴ライン-が誕生した。ここで明確にロンドンの本家とパリの分家といった関係が確立する。

 

余談になるが、もう一つの双璧”EDWARD GREEN(エドワードグリーン)”も1980年代に同じく経営不振に陥っていた。

当時の”EDWARD GREEN”はJohnLobb(HERMESファミリー加入済)”のOEMを手掛けていたこともあり、これが親元のHERMESの目に留まった。

HERMESは“JohnLobb”の不振時と同じように手を差し伸べ、フランス展開を目論んでいた”EDWARD GREEN”はこれを快諾。

“EDWARD GREEN”として状況は良くなるかと思われたが、結局は展開失敗に終わってしまう。

交渉は決裂し”EDWARD GREEN”は工房と究極のラスト202を没収されてしまうが、独立メーカーとして他のシューメーカーに委託製造してもらったり新ラストをいくつも開発することで力を取り戻すことができた。

もしJohnLobbと順序が逆だったら、”EDWARD GREEN”もHERMESの傘下に入っていたかもしれないし、”JohnLobb”は消滅していたかもしれない。

こうした経緯があり、”JohnLobb”は世界的に有名なブランド集団に加入することでその命を取り留め、方や”EDWARD GREEN”は「できる最高の品質に拘る」ことで独立メーカーとして最高の地位を得ることになった。

2つの”JohnLobb”

さて上記の成り立ちで”JohnLobb”はパリのHERMES傘下となってしまいました。

しかしロンドンに籍を置いている1号店に関しては独立したまま存続しています。

これを明確に区別するために、HERMES傘下をジョンロブ・パリ(ロブパリ)、ロンドンの1号店をジョンロブ・ロンドン(ロブロンドン)と銘打たれています。

我々が目にすることのできる”JohnLobb”は全てロブパリの方で、全てのレディメイド(既成靴)とイギリス以外の国からのビスポークは全てパリのものです。

日本国内で販売されているものは全てMade in Franceで英国製ではないのです。

JohnLobbの一族に託された本家本元のロブロンドンはイギリス国内のビスポークを受注し、ビスポーク専門ブランドとして革靴界トップとして君臨し続けています

 

こういった違いがあるので、ロブロンドンのビスポーク靴を見かける機会はほぼないと言っていいのですが、かといって分家のロブパリがそれに劣るわけでは決してありません。

HERMESが関わっていることもありレディメイドであってもビスポークであっても最高品質です。

具体的に言うと、ほぼ全てのモデルに「フルグレインレザー」を使用しています。

この革は体毛を取り除いただけで一切加工していない動物の最も外側の皮で、自然な質感を持つだけでなく耐久性が高く、履くごとに馴染んでいく最高の素材を活用しています。

さらに皮の部位にも拘ります。一般的にどの動物もお尻周りの皮が質が高く、首回りの皮がそれよりも質が悪いです。首回りには皺が入ってしまい、なめして”革”に変換した時にうっすら模様が入っていることがあるのです。

他のメーカーだったら気にしないポイントかもしれませんが、品質に偏りの出る部分は最初から使用しない品質に対する鋼鉄の意思を感じさせます。

 

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