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梅雨入りにより自転車を走る気分ではありませんが、UCI的には自転車のシーズン真っ盛りです。ツールドスイスにクリテリウムドーフィネ、そしてツールドフランス、ブエルタアエスパーニャとビッグレースが目白押し。

完全に主観によるランキングですが、現役ロードレース選手を独自の基準でランク付けしてみました。

今回はオールラウンダー編。意味合い的にはタイムトライアル、山岳、平坦、クラシックといったロードレース選手に求められる能力を全て高い水準で網羅している選手の総称ですが、ここでは総合リーダーとしてひとくくりにしたいと思います。

ランキングの基準

持久力

一般的なステージレースだと1週間、ツールドスイスで9日間、グランツールにもなると23日間を戦い抜けるだけの体力を有した上で、どのステージで攻撃を仕掛けるかのバランス配分を考えなければなりません。完走するだけでも大変名誉なことですが、トップ級の選手にもなるとライバルに付いていけるだけの耐久力が必要です。

爆発力

ライバルに付いていくことで少なくとも差を広げられることはありませんが、差を広げないことには勝てません。自身の脚の調子やライバルの体調、コースレイアウトやウェザーコンディションから総合的に攻撃を仕掛けるポイントを見極め、ライバルを置き去りにするようなアタック力があるとそれだけで武器になります。

独走力

近代グランツールでの勝ち筋としては大きく2点。平坦及び山岳ではタイム差を最小限に抑えることを考えて個人タイムトライアルでガツンとタイムを稼ぐ戦術が主流です。逆にタイムトライアルが苦手な選手はライバルにタイムトライアルで稼がれるタイム差を山岳、もしくは横風分断前提の平坦ステージで稼いでおく必要があります。

登坂力

グランツールの中でもジロデイタリア、ブエルタアエスパーニャは山岳ステージそのものが多く、かつ登場する山岳のカテゴリーレベルも高いことで必然的にクライマー寄りの選手が有利に設定されています。平坦ステージではタイム差が付きにくいことから山岳ステージで遅れるとそれだけで致命的なタイム差となってしまうため、総合上位を狙うならばライバルに付いていけるだけの登坂力が必要です。

ダウンヒル

ここ数年のレースを観戦していると、長い下り区間でタイム差がつきやすいように思えます。ダウンヒルスペシャリストという区分が生まれた様に、高傾斜を100km/hに迫るスピードで駆け下りていくことはプロでも難しく、落車した時のリスクを考えつつ安全マージンを持ちながらロスなく下りきるには高度な技術と天性の才能が必要です。

アシストパワー

ロードレースはチーム戦です。エース同士の力が拮抗しているならば最終的にものを言うのはアシストの差です。最終局面で3枚アシストを残しているフルームと裸単騎のデュムランならばどちらに勝ち筋があるかは一目瞭然でしょう。今回のランキングではこの部分でのポイントは考慮に入れませんが、参考までに属するチームのアシスト力も評価しておきます。

メカトラ、パンク、落車などなどロードレースにはトラブルがつきものです。いくら実力があっても、自分のせいじゃないのにリタイアを余儀なくされたり、続行不可能な深手を負ってしまったり、この辺りは本人だけではどうしようもない運の要素が大きいですね。

オールラウンダーTOP5

クリストファー・フルーム

なんだかんだ33歳になりますが、今最も強い選手はフルームです。賛否はあるでしょうが異論はないでしょう。

分かりやすく言うならばデュムラン並の独走力、コンタドール並の登坂力、ニーバリ並のダウンヒル力、全員エースを張れる面子が揃っているチームスカイと盤石過ぎます。

通常グランツールで勝つには

  1. 山岳では最低限ライバルに付いていきタイムトライアルで分単位のアドバンテージを取る。
  2. タイムトライアルで失うタイムを想定して山岳で大きなタイム差を確保しておく。

このどちらかに尽きるのですが、フルームに関してはどちらもトップクラスの能力を持っています。他の選手からすればタイムトライアルでもタイム差を付けられるし、山岳でも独走しようとしてくるから発揮してくるから手に負えない、というのが本音でしょう。登坂力があるので、山岳タイムトライアルを含むどんなコースにも対応できるので死角が見当たりません。

スカイ城が硬すぎてチームに守られて走っているだけじゃねぇかという声もありますが、フルームって好機があればすかさずアタックを仕掛ける好戦的な選手なんですよ。本体を守るアシストを全部剥がしても余りある登坂力でライバルに食らいついてくる上に、タイムトライアル力が高いので逃してしまったらおしまいという場面はこれまでのレースで何度も出てきています。

またレース結果に大きく影響するようなトラブルも少ないように思えます。2016年ツールでは前代未聞のランニング事件が起きましたが、タイム差が付いていないので考慮外とします。サルブタモール問題が解決していませんがこれに関しては何かしらの罰を受ける必要があると私は思います。それがドーピング、というわけにはならないでしょうが、ルールのけじめはつけないとあきませんよね。

タイプ     クライマー型クロノマン
持久力     ★★★★★★★★★★
爆発力     ★★★★★★★★★★
独走力     ★★★★★★★★★★
登坂力     ★★★★★★★★★☆
ダウンヒル   ★★★★★★★★★☆
クラシック   ★★★☆☆☆☆☆☆☆
アシストパワー ★★★★★★★★★★
運       ★★★★★★☆☆☆☆

ヴィンチェンツィオ・ニーバリ

近代グランツールにおいてフルームや引退済のコンタドールほど大きく目立っていないが故にこそっと優勝してしまう「しれっとモンスター」感がどうしても否めません。

しかし実力がないとグランツール制覇などできませんし、ミラノ-サンレモ2018ではニーバリ向きのコースだったということもあって名だたるスプリンターを差し置いて独走勝利を飾ります。グランツールレーサーの中ではクラシックも対応できる真のオールラウンダーなのはフルームにはない強みです。

イタリア人レーサーでツールを制覇したのは2014年、パンターニ以来となる16年ぶりの優勝で、かつこのツール優勝でグランツール制覇という大快挙を成し遂げました。ライバル勢に噛み付くかのようにべったりマークし、好機が訪れるとダウンヒルで逃げ切る姿からメッシーナの鮫と呼ばれていますが普段の性格は謙虚で目立たないことを好みます。大崩れすることが少なく、グランツールは概ねトップ5圏内は安定、クラシックもミラノ-サンレモやジロディ・ロンバルディアの2つのモニュメントレースで優勝を飾っており、ワンデイレースにも強い傾向です。

またブエルタ2014ではチームカーに捕まって長距離ワープ(通称 魔法の絨毯)したために失格となっており、アスタナの汚さに拍車がかかります。もともとアスタナというチームはメカトラアタックなど紳士協定に反する行為がやたら目立ちますが、現在は心機一転バーレーン・メリダで絶賛活躍中です。

タイプ     ダウンヒルスペシャリスト
持久力     ★★★★★★★★★★
爆発力     ★★★★★★★★★☆
独走力     ★★★★★★★★★☆
登坂力     ★★★★★★★★★☆
ダウンヒル   ★★★★★★★★★★
クラシック   ★★★★★★★★☆☆
アシストパワー ★★★★★★★★☆☆
運       ★★★★★★★★☆☆

トム・デュムラン

ジロ2016でニーバリ、キンタナを抑えて優勝したグランツールレーサーです。ロードレースの次世代を担う1990年世代で、最も近いライバルはキンタナとなる選手でしょう。

デュムランはもともとタイムトライアルスペシャリストでした。桁外れの独走力で各種レースで頭角を現してきたのが2014年頃。フルームやニーバリもタイムトライアルが得意ですが、彼らに匹敵するほどオールラウンドに全てをこなせるわけではありませんでした。

好機が訪れるのはブエルタ2016、タイムトライアルスペシャリストでありながら険しい山岳が立ち並ぶブエルタで終盤までマイヨロホを守り抜くという大健闘の走りを見せます。チーム力が乏しく、この時ライバルだったファビオ・アルを擁するアスタナの総攻撃を受けて順位を落としますが、「俺、もしかしたらグランツールレーサーになれるんじゃ…?」って思ったことでしょう。最終順位は5位で終え、ここから山も登れるタイムトライアルスペシャリストとしての立ち位置を固めていっています。

今でこそ登坂力がかなり付いてきていますが、通常は出力・ケイデンスを一定にするマイペース走法を得意としている反面、10km/8%ほどの登りであればガツンとアタックし山岳で独走することもあります。ライバル勢の攻撃も即対応するのではなく後から追いつく場面も見られ、こちらから攻撃できない時は「とにかく一定ペース」を徹底しています。

現チームはサンウェブ。このチームもトータルバランスが良いのですが、スカイやアスタナ、モビスターほどグランツールの総合リーダー向けとは言えません。悪いチームじゃないけど終盤アシストがほとんどいないってデュムランを勝たせる気があるのかと思ってしまいます。デュムランは今後のツールやブエルタで総合優勝できる地力があるので、チーム戦術を含めた戦い方をしてほしいですね。

タイプ     クライマー型クロノマン
持久力     ★★★★★★★★★★
爆発力     ★★★★★★★★☆☆
独走力     ★★★★★★★★★★
登坂力     ★★★★★★★★★☆
ダウンヒル   ★★★★★★★★☆☆
クラシック   ★★★☆☆☆☆☆☆☆
アシストパワー ★★★★★★☆☆☆☆
運       ★★★★★☆☆☆☆☆

ナイロ・キンタナ

最強クラスの登坂力を持っているのがキンタナです。平地での独走力は上記3人に譲りますが、それでも近年改善の兆しが見えてきており期待できます。

完全なるクライマーなので主戦場は山岳のみ。ペースを刻むこともできますがインターバルを仕掛けてライバルの脚をゴリゴリ削る戦い方を好みます。後からフルームやデュムランに追いつかれてそのまま抜かれる場面もありますが、10%超えの激坂で何度もアタックを仕掛けられたら付いていく方はたまったものではありません。

チームメイトもフェルナンデスやカラパス、ミケルランダといった強力な山岳アシストが多数存在している他、37歳の大ベテラン"アレハンドロ・バルベルデ"が専属でアシストしてくれます。ジロ2018は見送ったのでツール2018に向けて全力調整をしている最中ですが、"強調性"という面でかなり不安が残ります。モビスターはキンタナ、ランダ、バルベルデのトリプルエース体制で臨むようですが、他のメンバーも我が強い性格が多く、「みんなバルベルデの言う事しか聞かない状態」だと空中分解する恐れがあります。

ただツール2018のコースプロフィールが選手達の中で賛否両論だった傍、一番に喜んだのはキンタナです。山岳多めでTTは山岳でさらに激坂に強い山岳アシストでチームが固まっており、昨年辛酸をなめた経験もあって闘志がメラメラ燃えていることでしょうな。

タイプ     ピュアクライマー
持久力     ★★★★★★★★★☆
爆発力     ★★★★★★★★★★
独走力     ★★★★★★☆☆☆☆
登坂力     ★★★★★★★★★★
ダウンヒル   ★★★★★★★★☆☆
クラシック   ★★★☆☆☆☆☆☆☆
アシストパワー ★★★★★★★★☆☆
運       ★★★★★★★☆☆☆

リッチー・ポート

ポートはもともとチームスカイでヴィギンスやフルームのアシストをしていた選手です。本人は総合上位に絡める力があることを分かっていたので2015年にスカイを離れ、BMCレーシングに移籍しグランツールレーサーとして起用されています。

特徴としては高い登坂力に独走力も兼ね備えているコンタドールタイプ。彼ほど攻撃的ではありませんが、ダンシングを多用する点も似通っています。フルームやデュムランがもともとクロノマンであるがゆえに登坂での独走力も付いてきたのに対して、ポートは登坂力の爆発力が高い上に平坦での独走力もタイムトライアル上位に割り込める力があります。同じオールラウンダーでもポートはクライマー寄り!

キンタナと同じく山岳ではインターバルを仕掛けて高い負荷をライバルにも強いる登り方を得意とします。山頂ゴールだと残り数km地点からドカンと加速し逃げ切りゴールを狙うことが可能です。

チーム力も上々でティジェイ・ヴァンガーレデンやローハン・デニスといったタイムトライアルを得意とするオールラウンダーを始め、ロッシュ、カルーゾ、デマルキといった優秀なクライマーが揃っている。ツール2018はチームTTをトップ通過、平地はクロノマンが引っ張り、山岳ではトレインを組んでポートを山頂手前まで運び発射、安定的にタイムを稼ぎ悲願のツール優勝を飾りたいところ。

一つ気になるのはポートの運のなさ。メカトラ、パンク、落車、クラッシュの頻度が他の総合上位陣と比べて多いような気がします。気のせい?昨年ツールでも第9ステージで可哀想になるくらい悲惨な落車し、後続のダニエル・マーティンと接触し大怪我。大会離脱を余儀なくされ、この年はツールで見せ場を作ることができませんでした。この辺りはメカニックの調整とウェザーコンディション次第なのでなんとも言えませんが、今年のツールはトラブルなく持ち前の爆発力を発揮してくれるといいのだが。

タイプ     クロノマン型クライマー
持久力     ★★★★★★★★☆☆
爆発力     ★★★★★★★★★★
独走力     ★★★★★★★★★☆
登坂力     ★★★★★★★★★★
ダウンヒル   ★★★★★★★★☆☆
クラシック   ★★★☆☆☆☆☆☆☆
アシストパワー ★★★★★★★☆☆☆
運       ★★★★☆☆☆☆☆☆

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