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ツールドフランス2018が終わってしまいました。7月はW杯ロスに引き続きツールロスと2回のロスに襲われました。

今回のツールは要所要所でしか観戦することができませんでしたが、振り返ってみるとそれなりに見所の多い21日間だったのではないでしょうか。色々言いたくなる場面もありますが、トーマスが勝てた要因と他選手の動向についてまとめたいと思います。

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ツールドフランス結果概要

総合
1:ゲラント・トーマス(チーム スカイ/イギリス)in 83h 17'13''
2:トム・デュムラン(チームサンウェブ/オランダ)at 01'51''
3:クリス・フルーム(チーム スカイ/イギリス)at 02'24''
4:プリモシュ・ログリッチェ(チーム ロットNL・ユンボ/スロベニア)at 03'22''
5:ステフェン・クライスヴァイク(チーム ロットNL・ユンボ/オランダ)at 06'08''
6:ロメン・バルデ(AG2R/フランス)at 06'57''
7:ミケル・ランダ(モヴィスター チーム/スペイン)at 07'37''
8:ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ/アイルランド)at 09'05''
9:イルヌール・ザカリン(チーム カチューシャ・アルペシン/ロシア)at 12'37''
10:ナイロ・キンタナ(モヴィスター チーム/コロンビア)at 14'18''

優勝はSKYアシストのゲラントトーマス、2位はSunwebエースのデュムラン、3位はSKYエースのフルームと、UCIの現環境を如実に示す結果となっております。デュムラン・フルームはジロに引き続き表彰台、トーマスはフルームのアシストとして参戦したにも関わらず、あまりに調子が良すぎたため途中からエース待遇に変更、他チームのエースを完全に振り落とし、2位のデュムランに対しても2分弱のアドバンテージを獲得しての完全勝利を果たしました。

4位以下は妥当、ログリッチェはかなり頑張りましたし、クライスヴァイクも5位とロットNLユンボとしては表彰台は逃したけれども大成功ではないでしょうか。

それ以外のエース組はツール一本に絞った他エースの不甲斐なさと言ったらもう目も開けられません。トーマス優勝はまだしも、要所要所で魅せる走りをしたダンマーティンとログリッチェ以外はジロ連戦組に分単位でタイム差をつけられて敗北、調整不足なんて言い訳はできないでしょうなぁ。

ポイント賞
1:ペーター・サガン(ボーラ・ハンスグローエ/スロバキア)477 pts
2:アレクサンドル・クリストフ(UAEチームエミレーツ/ノルウェー)246 pts
3:アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ/フランス)203 pts
妥当も妥当、サガンに敵なしとはまさにこのこと。昨年は自身も落車しつつカヴェンディッシュの走行妨害の判定を受けて退場させられたため連続ポイント賞獲得記録が途絶えてしまいましたが、6勝目のマイヨヴェールを獲得。他のスプリンターが山岳でゾロゾロ死んでいく中、サガンだけは鉄の意志で制限時間内に完走しきれるだけの登坂力を持ち合わせているのが大きな違いですね。スプリントだけならガヴィリアが強すぎますし、グライペルも年齢を考えれば健在、キッテルはカチューシャに移籍した途端勝てなくなったので、トレインに身を委ねるペタッキタイプなのかな?と感じてしまいます。
山岳賞
1:ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ/フランス)170 pts
2:ワレン・バルギル(チーム フォルテュネオ・サムシック/フランス)91 pts
3:ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ/ポーランド)76 pts
純クライマーでもないアラフィリップが山岳賞を奪取することに成功しましたが、ポイント差を見ると圧倒的勝利ですね。
アラフィリップは何年か前のツールでトニーマルティンと二人で逃げて二人で敢闘賞を取ったシーンが印象的ですが、それ以降クラシックで目覚ましい成長を見せている期待の星です。直近だとフレッシュワロンヌ2018でバルベルデの5連覇を阻止して優勝。まだ26歳でクラシック完全制覇も目指せる逸材と個人的には思っております。
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マイヨジョーヌの変遷

今大会でマイヨジョーヌを着用したのは4名。初日はガヴィリア、2日目はサガン、3日目からアルプス決戦の10日目までヴァンアーベルマート、それ以降はアルプスを制したトーマスが最後まで袖を通し続け、自身初の総合優勝を果たしました。

ちなみに過去の大会では、

2017年は1~4日目がトーマス、5~11日目がフルーム、12~13日がアル、14~21日目がフルームと19/21をSKYが占める圧倒的勝利、

2016年は1日目がカヴェンディッシュ、2~4日目がサガン、5~7日目がヴァンアーベルマート、8日目以降はずっとフルーム、

2015年は1日目はデニス、2日目はカンチェラーラ、3日目ですでにフルーム、4~6日目はマルティンに奪われますが7日目以降はずっとフルーム

2015~2017の3大会のマイヨジョーヌ日数63日の内、37日はフルームが占拠しており、圧倒的王者感が漂いますね。

だからこそツール4連覇、5勝クラブ入りがかかった2018年も中盤以降の高い安定性を期待されたのですが、ジロからの連戦に夜不調と相棒のトーマスの調子の良さを総合的に判断して自身の勝利よりもSKYの勝利を優先したのでしょう。

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トーマスが勝てた要因

今大会のトーマスの安定感は凄まじく、フルームのアシストでありながらアルプスではライバルのデュムランを刺しての勝利、メカトラ・落車も回避し、さらにバッドデーを隠し通し、最終日の個人タイムトライアルまで一切遅れることなく総合勢(特にデュムラン)を徹底的にマークしてアタックを自ら封殺できたことが大きな要因でしょう。

正直のところ、トーマスは2週目にピークを持ってきて3週目は全力のフルームにバトンを渡す流れになると思っておりました。そうでなくともトーマスって何かしらのアクシデントでツールを最後まで走りきった場面をほとんど見たことがなかったので、ここまで調子が良いと、ジロ2018みたいなスーパーイェーツな展開になるのではないかと終始ヒヤヒヤしたものです。

実際には3週目も問題なく走りきることができ、フルームもデュムランと僅差ではあるもののトップのトーマスから分単位で遅れてしまったこともあり、フルームに渡そうと思ってあえて遅れたとしたら、フルームにマイヨジョーヌを渡すこともできるが同じくジロ決戦明けのデュムランもセットでついてきてしまうという状況化だったからこそ、トーマスが自力でもぎ取ったリードを堅守しようという動きになったのだと思います。実力もさることながらデュムランがあの位置についていたという状況が味方したのは間違いないでしょう。

デュムランが頑張っていなければ、トーマスはフルームに難なくジャージをパスできたでしょうが、SKYとしては他の総合陣を総ナメ、観客としても出来レースのような展開を見せられてブーイングどころの騒ぎでは収集がつかない事態に発展した可能性までありますから、SKY一強の中でデュムランは本当によく食らいついたと感心しています。

他の総合勢の動向

実際SKYとまともに勝負できた総合リーダーはデュムランとログリッチェの2名のみ。

トリプルエース体制のモヴィスターは完全にお通夜状態、17ステージでリーダーの一角であるはずのキンタナがステージ優勝しましたが、フルームもトーマスもチェックしなかった点に鑑みるにライバルとしてマークされていない証明です。総合成績的にはランダがトーマスから7分半遅れで7位、キンタナが14分遅れで10位という有様で、チーム戦術もクソもへったくれもあったもんじゃありません。別にジャージいらないし表彰台も別にって言うならばそれでもいいですが、そろそろ監督の首も危うい気がします。いかに強いメンツを集めようとも各人の方向が異なればSKYどころかデュムラン単騎にも太刀打ちできないのが分かってしまいましたね。

ロットNLユンボも大きく目立つことができたチームの一つで、好調だったロクリッチェに加えてクライスヴァイクも5位と大健闘。クライスヴァイクは数年前のジロで不運の落車でマリアローザを失うどん底を味わいましたが、徐々に調子を取り戻してきている感じで今後も期待できますね。ログリッチェもTT系のオールラウンダーですが、この選手は特に下りの技術が最高レベルに達しているため、同じくTTが鬼速いデュムランよりも、ダウンヒルスペシャリストのニーバリに近い印象です。

バルデやザッカリンは毎度おなじみって感じですし、ポートの2年連続落車は呪われているとしか思えません。まぁほとんど自滅のような事故だったので最後までリーダーとして走りきるポートを来年こそ観てみたいですね。

ニーバリも落車で去ってしまったのが悔やまれますが、メッシーナの鮫も今年34歳とフルームの一つ上の年齢ですから、そろそろグランツール総合優勝も厳しくなってきました。ニーバリの場合、クラシックでも勝ちにいけるタイプのオールラウンダーなので、バルベルデのように年齢は関係ネェ!とどこまでも突き進んでほしい気もします。

ツールで勝つには

近代グランツール、特にツールドフランスの場合はジロで言うゾンコラン、ブエルタで言うアングリルのような20%超えの山岳が少なく、山岳トレインを戦術に組めるSKYがどうしても目立ってしまいます。SKY対策をしようと人数を減らしたりパヴェをコースに加えたり極端に距離を短縮しても、SKYも同じ条件で走るわけで、ただでさえついていけていない選手・チームが勝てる見込みがあるとは到底思えません。

実際今大会のトップ4はいずれもTTを得意とする選手で見事に固まっており、

  • TTが速いパンチャー(トーマス)
  • TTが速いペースメイカー(デュムラン)
  • TTが速いクライマー(フルーム)
  • TTが速いダウンヒラー(ログリッチェ)

というように本来細分化される脚質に加えてTTでアドバンテージを取れる、言い換えると少なくともライバルから遅れないスキルが必須になってきているように思えます。

本来クライマーは山岳でライバル勢からタイムを奪わなければなりませんが、TTの速いライバルがそれについてきてしまっては勝ち目がありません。どんなに強いクライマーでもアタックすれば瞬間的には距離を取ることができますが、延々とそのペースを持続することはできず、一瞬リードするためにデッドラインを超える出力で走ることは無駄無駄、どうせ追いつくんだからと一定ペースを刻むデュムランのような走りが安定するのは当たり前です。

キンタナも優秀なクライマーですが、様子見アタックが多すぎて何がしたいのかよく分からない場面があります。同じ山岳アタックするにしても、後ろを気にせず突っ走り集団をかき乱す爆発力を秘めているポートや引退したコンタドールがいたらどうでしょうか。ちょっとやそっとじゃ追いつけない差を一瞬でつけられたらさすがにデュムランでも焦るはずですし、各チームリーダーのアタックの撃ち合いのスマブラ状態になればTT能力が多少劣ろうとも勝ち目はあるのかなと個人的には感じております。

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