音質
使用DAPはSE100。また店側ではWM1Zのバランス接続で用意されていたのでそちらも試してみました。
インピーダンスがそれなりに高くDD2基搭載されているからか、比較的音量が取りにくいです。SE100アンバランスでボリューム90/150くらい、WM1Zバランスで50/120辺りまで上げると気持ちよく聴けました。参考までにSE100ではVE5がアンバランス35/150、ATLASがアンバランス50/150くらいのボリュームで丁度いい感じです。普段音量を取りやすいモデルやそれほど音量を上げる必要のないカスタムIEMを使用している方は、要求される駆動力の違いを体感できると思います。
デモ機がどれほどエージングが施されているのかスタッフに確認すればよかったのですが、聴いた感じでは2基のダイナミックドライバーがまだまだ本調子ではないという印象を受けました。独特な帯域バランスで 音の粒立ちを感じられます。どちらかといえば中高域にまたがるBAドライバーの影響が強そうで、分解能が高く、エレキギターやシンセサイザーのような電鳴楽器との相性良好。また低域が比較的強めでベースのうねり、ドラムのビートが心地良く、ロック系の音源にも合うと感じました。ボーカルは比較的前の方に出てきてアーティストの強みを伸ばせるタイプで、パワフルな声質だと力強く、繊細な技巧派だと表現力の高まりをより感じられるのが強みの一つになろうかと思います。
メーカーが推している音場や空気感が感じられるかと言われると、別にそれほどでもっていうのが正直なところで、ヘッドホンのような広大な音場を醸し出せる"Legend X"以上のインパクトはありませんでしたし、20万クラスの他モデルをまとめて蹴散らせる程の凄味はないというのが率直な感想です。ただ選択肢の一つとして考えると悪くありませんし、これこそ最善という方も多数現れると思います。待たされた期間が長すぎるので期待しない方が無理かもしれませんが、キワモノを試しに取ってみるような感じで試聴した方が発見も多いでしょう。
買いか否か
一回聴いただけで評価できるものではなく、DDのエージングによってまだまだ化ける可能性を秘めているだけに、自分で手に取ってみて育てる楽しみ方もありかもと思い至っています、資金さえばあればソニーストア保証付きでポチってしまいたいところですが、生憎財布の中が空っぽなのでどうにかして資金調達を急がねばなりません。
今日からソニーストアで試聴可能となり、 Twitterを見る限りでは絶賛レビューも少なければ、ネガティブインプレッションもあまり見られません。期待値が高かったとは言え、総じて無難、もしくは面白みに欠けるといった声が多いのが意外でした。JVCの"FW10000"も当初は「ダイナミック最強!!」「20万クラスではこれ一択」っていう声は少なくていざ発売したらバックオーダーが続いているので、発売以降じんわりと評価されていけばSONY的にはそれで良いかと思います。
他モデルをぶっ放せる音質ではないものの、同価格帯の選択肢に入れるポテンシャルは秘めているので、定点観測を続けて購入するか否かを検討します。