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ここ数日、直近で発売する新製品の中で私が気になっているモデルを取り上げているのですが、今回のテーマはSENNHEISER初の完全ワイヤレスイヤホン"MOMENTUM True Wireless"。

SENNHEISERのイヤホンと言えばかつてのフラグシップIE800がその代表とも言えるでしょう。発売したのは2012年12月、今から6年も遡ることになります。当時は今のような10万円以上のモデルがぽんぽん出てくるレッドオーシャンみたいな状況ではなかったのですが、一聴してその良さを体感できるハイエンドイヤホンの名を欲しいままにしてきました。リケーブルできない、ケーブルが硬化するといったマイナス要素もありますが、IE800が気に入りすぎてこのモデルばかり買い替えている人も少なくないでしょう。私の先輩でIE800を4本購入した猛者がいますが、1回は故障してジャンクにしてしまったものの、すぐに替えを用意して保管用に2本買ったそうです。「おめーは色んな味のモデルを買い漁っているけど俺にとっちゃあIE800こそ至高の逸品なんよ」と語っているのを聴いて、まさにその通りと思いました。そこまで好きになれるモデルが見つかったら趣味としては最高レベルと私は思っております。

前置きが長くなりましたが、IE800で一時代を築き上げたSENNHEISERが今回新たに挑戦するのは"完全ワイヤレス"というジャンル。左右の筐体が連結しているワイヤレスモデルに加えて、ここ2年くらいで左右独立型のいわゆる完全無線タイプも増えてきております。

街中見渡しても大学生やビジネスマン、綺麗なお姉さんから主婦の方まで幅広い世代で完全無線型を装着している人を見かける頻度が上がった気がするのですが、音質は70点あればいいから利便性の点数を満点近くしたいというのが大多数なのでしょうかね。私のように95点の音質を追い求める層って実際100人中3人くらいしかいなさそうで肩身が狭いんですが、リアルの同志が見つかったら嬉しいことこの上ありませんよね。

すいません、また話が脱線しそうなので本題に移りましょう。

発売前ではありますが、祭会場で試聴して実感できたMOMENTUM True Wirelessのスペックと音質レビューを簡単にまとめます。

MOMENTUM True Wirelessの仕様

ドライバーは自社開発、SYS7と呼ばれる7mm径ダイナミックドライバーをシングルで採用。振動板もドイツの自社工場で設計から生産まで一貫しています。ブラックの樹脂ボディの側面にシルバーのメタルプレートを合わせており、見た目も触り心地も高級感があるデザインに仕上がっていました。

対応するBluetoothオーディオコーデックはaptX、aptX LL、AAC、SBC。メインどころは押さえているのでDAP側とコーデックが合わなくて使えない、なんてことにはならないでしょう。

内蔵マイクで集音した環境音を音楽を聴きながらモニタリングできるトランスペアレンシー機能も搭載。ノイズキャンセリング機能ではないので注意。

駆動時間は連続4時間、ケースの内蔵バッテリーと合わせて12時間まで再生可能。半日持てば十分ですし、完全無線だけで連続再生4時間も使う場面ってそんなにあるか…?と考えを巡らせるとそんなに多くはないと思います。どっしり座れる長距離移動なら有線ですし、室内でも完全無線である必要性はありませんし、私の用途的にはバッテリー的には必要十分と感じます。

充電用端子はUSB-Cによる急速充電に対応しているので、万が一屋外でケース内蔵バッテリーも枯渇したとしても汎用的なモバイルブースターで給電可能なのは嬉しいポイント。

装着感

  1. 筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
  2. 装着していてストレスフリー、かつ遮音性もそれなりに確保できている。
  3. 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
  4. 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
  5. 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。

完全無線モデルは有線よりもフィット感に優れるものが多いのは気のせいでしょうか。MOMENTUM True Wirelessもこれといった不満はなく、ちょっとした移動中に使用する分にはケーブルの煩わしさから解放されて非常に快適になると思われますが、この部分はMOMENTUM True Wirelessに限らず、多くの完全無線モデルにも言えることなので、実際の使用感は"購入後"に細かく書きたいと思います。

ペアリングと使用方法(簡易版)

一般的な完全無線モデルと似通っていますが、起動までの手順をまとめると

  1. 再生側のBluetooth設定をON
  2. 耳に装着し左右のフェイスプレートを5秒長押しするとParingのアナウンス
  3. それ以降は再生側の動作に合わせて起動・停止

本体でできる動作としては

  • 右側長押しでで音量UP、左側長押しで音量DOWN
  • 左側を1回タップで「再生」
  • 左側を2回タップで「曲送り」
  • 左側を3回タップで「頭出し」
  • 右側を1回タップで「通話開始」
  • 通話状態で右側を1回タップすると「通話終了」
  • 右側を2回タップで「Transparent Hearing」をON/OFF
  • 耳から筐体を外すとオート再生停止

音質

DAPはAK380SSを使用。有線で接続する場合と比べてステンレスらしさは感じ取りづらく無印でも大差ないと思います。試聴時間に限りがあったので10分程度しか聴けませんでしたが、要点を絞ったプレイリストでサクサク特徴を掴んでいきます。

傾向としては低音寄りでありながら、ギター全般、ピアノにほんのり残響感が掛かってくる面白いサウンドです。有線でも似たような音ってあまりないかもしれません。キックの存在感が光る他、ベースやトロンボーン、バリトンサックスなどの低音楽器も活き活きとする一方で、高域は然程伸びないのでヴァイオリンやフルートなど表現力と余韻が重量なサウンドには合わないと感じました。音源的には低域ゴリゴリのロックやジャズ系が相性良さげ。打ち込み系は分離感を重視するならばイマイチかも。

まぁでも細かい音質は置いといて「完全無線ってこんなに音良いの?」という驚き。ワイヤレス自体が過渡期のジャンルですから、音に対する不満なんて抱くだけ無駄無駄と思っていたところ、このMOMENTUM True Wirelessは世に溢れる類似モデルに埋没しないよう音質クオリティをしっかり確保しており、流石は老舗、抜かりがないというポジティブな印象を受けました。

価格・発売日

国内定価は3万円後半、12月中旬の発売を目指すとのこと。

現地価格は€299(€1=¥130換算で¥39,000)なので内外価格差は小さいですね。もっとも海の向こうでは11月末に発売するそうですが。

まとめ

有線であれば3万円前後の価格領域は超激戦区と言えるくらい各社力を入れてきておりますが、ワイヤレス市場で約4万というのはかなりお高い部類。利便性重視のマジョリティを網に掛けるというより、私のようにもともと有線の泥沼に嵌っている層の一部をワイヤレスに寄せる一本釣り作戦なのかもしれないとふと思いました。

完全無線の最大のメリットは利便性なのですから、音質面であれこれ不満が出ても「ワイヤレスが故に目を瞑るしかない」という思考になってしまうのがもどかしくなりますね。利便性を享受するだけならば1~2万くらいのモデルでも十分ですが、混雑した地下鉄内や渋谷のスクランブル交差点などの喧騒の中でもブチブチ途切れることなく使えるならば私としてはこの値段でも納得できます。安い買い物でもないので発売直後の人柱になるつもりもありませんが、ノイズや接続切れなどの問題がないなら一本入手したいですね。

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