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ヘッドホン祭が終わり、一気に現実に引き戻された感があります。ちょっとの隙間時間ができれば音楽鑑賞にいそしみたいというのがオーオタたるもの、私も営業の合間の移動や休憩では欠かせないツールとなっております。

今日からしばらくの間は祭りで登場した新製品群の中で個人的に気になったモデルを随時投下していきたいと思います。色々戦利品の多い祭だったので、そちらの開封の儀やら実機レビューなんかも書きますが、そちらについてはもう少しじっくり聴き込んでからにしようと思います。需要があるかなんともなんともですが、少しだけお時間を下さい。

では早速本題に移りましょう。気になるモデルはいくつもあって、まずは株価の高いモデルから追っていきましょう。

今回はJVC WOODシリーズのフラグシップモデル"HA-FW10000"のスペックと音質傾向について、記憶の新鮮な内に1%の客観性と99%の主観でレビューしたいと思います。

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HA-FW10000概要

WOODシリーズ10周年を記念し、それまで培った音響技術を惜しみなく投入し妥協なき設計開発の末に完成したJVCの極地点とも言えるモデルが誕生しました。

「すべては音のために」

WOODシリーズの基礎として木材を使用した独特なサウンドが共通していますが、HA-FW10000では楓無垢材削り出しボディに漆多層塗り仕上げを施し、振動板には熟成ウッドプレート搭載、吸音材に和紙を、ケーブルの線材の中に絹を採用する事により、他メーカーでは絶対に作れないモデルに仕上がっています。

まぁスペックなんかは私がまとめずともメーカーホームページを確認するのが一番分かりやすくて間違いもないので、特筆すべきポイントだけ列挙しておきます。

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ドライバーユニットとハウジング

HA-FW10000で使用されるドライバーは、新開発のウッドドームカーボン振動板による11mm径ドライバーユニット。カバ材から独自の薄膜加工技術により薄く削り出した50umウッドドームを、カーボンコーティングしたPET振動板に組み合わせているそうです。

ハウジングとウッドスタビライザーには日本産の楓を使用。さまざまな木の素材の中から今回の商品開発で最も優れた木材が楓だったらしい。楓本来の響きを引き出すために、無垢材から精密に削り出し加工を行い、さらに硬度の高い漆塗りを施すことで響きを調整。吸音材には天然素材の阿波和紙と絹を採用することで、暖かみのある残響感を醸し出すことに成功。

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こだわりのパーツ群

ボディやケーブルにも厳選に厳選を重ねた天然素材を採用。熟練した漆塗り職人による表面仕上が施されています。

ドライバーケースには強度に優れるチタニウムを採用し音の雑味の排除を図った。さらに独自設計の"アキュレートモーションエアダンパー"により、振動板を正確に駆動させられます。

加えて駆動力とリニアリティを大幅に向上させたというハイエナジー磁気回路を搭載。軽量なCCAWボイスコイルによる振動板の正確な振幅が、繊細な空間表現を実現させるとのこと。

最後に、JVCスパイラルドットの技術を応用し、ユニット前面に不要な音を拡散するドットを配置した"アコースティックピュリファイアー"を採用。帯域バランスの調整と分解能の向上に一躍かっているらしい。

リケーブル

MMCX端子によるリケーブル可能。この部分だけ切り取ってもHA-FW10000は特徴的で、端子を独立したポッドに収納することで、ハウジングから分離する構造となっています。。通常MMCXなり2pinなり、リケーブル機構を本体内部に設けるとハウジング内の音響設計の自由度が下がってしまい、さらに端子部分の材質が近接するドライバーユニットに影響を及ぼしかねない(コンシューマ的にはぶっちゃけ音さえよければ何でもいいのですが笑)

あえてケーブル端子を独立させることで内部構造のゆとりを持たせ、さらに形状を0.1mm単位で調整することで徹底した音響設計を追求できたとのこと。

写真で見るとケーブル接続ユニットと筐体の間の強度が心配ではありましたが、実機を触ってみると思いの外頑丈で、通常使用においてこの部分がポッキリ折れてしまうなんてことにはならなさそうです。もし簡単に壊れるような設計ならJVCの叡智はその程度かと思ってしまいますし、この辺りの強度テストは万全に行っているでしょうから個人的には問題ないと思っております。

装着感

  1. カスタムIEMレベルの装着感。筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
  2. 装着していてストレスフリー、かつ遮音性も確保できている。
  3. 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
  4. 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
  5. 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。

フィット感ですが、これも見た目以上に良かったです。ケーブル端子部分が筐体と独立構造になっているため、イヤーピースよる微調整がしやすい印象。遮音性についてはeイヤホンやヨドバシカメラほど煩くない会場だったので、場を変えてみたら外音入りまくりで全然遮音性あらへんやんってなるかも分かりませんが、イヤピ合わせである程度改善できるでしょう。

筐体形状がqdcやAROMAのようなカスタムIEMの試聴機みたいな構造ではありませんが、筐体サイズが小ぶりなので耳に合わないって人は少ないのではないかと思います。

音質

最初からラストま常に何人かが待っている状況が続いており、長時間での試聴はできませんでした。こういった祭では5分以内でサクサク回ることを心がけているので、音質面に関してはファーストインプレッション以外の何者でもありません。改めて聴き直してみたらまた違った印象を受ける可能性は大いにあるので、「ほーん?」程度に留めて頂きたいです。

持ち込んだDAPはAK380SS+SSAMP。とりあえず初試聴なのでAMP込(ハイゲイン)で試してみます。

ウッド筐体の特性がモロに出ているというか低域のレスポンスが非常に良く心地が良いです。それでいて高域は刺さるところまではいかずとも比較的シャープな印象。全体通してみるとウォーム傾向で中高域がシャキシャキする鮮やかなタイプではありません。

奥行きに余裕のある表現力で、ボーカルは前面に来るものの楽器の音色と調和が取れています。解像感が高いのは当たり前ではありますが、スピード感のある曲調とゆったり目の曲調ならば後者の方が向いています。速いテンポでも無難に追いついてきますけど、私だったらバラード系を目を瞑りながら聴きたいと思いました。WOODシリーズの下位モデルはもっと低域に寄せているのでそれらと同じ感覚を期待するとあっさりしていると感じます。

同じダイナミックで比較すると金属筐体でカッチリと鳴らすDreamとは対照的。ATLASも中低域の情報量の濃密具合が段違いで比較できる音ではありません。RE2000とは若干似通っており、各パートの融和性と高域表現力はRE2000に譲りますが、逆に低域表現力はHA-WF10000の方が気にいるという方も多いと思います。またダイナミックらしい低域といえばXELENTOも評価が高いのですが、これとも性格が異なります。テスラとWOODなので違って当然ではありますが、弦楽器とドラムにフォーカスするならXELENTOの方が丁寧で、ピアノや吹奏楽、コーラスが入ってくるとHA-WF10000の方が強さを発揮できるのかなと感じました。

一聴して中庸そうに感じるサウンドでもこれ一本でオールオッケーと勧められるモデルでもないので、モニター寄りで尖る部分が少ない機種を愛用されている方はもしかしたらマッチするかもしれませんね。

価格と発売日

発売日は11月8日(木)で予約スタートという状況。

定価が約19万とシングルダイナミックにしては最高レベル。新しいものが必ずしも優れているわけでもないのですが、このサウンドクオリティであればストライクゾーンに直撃する人も一定数いそうです。ブースで話を聞いてみると祭当日だけでも数本予約が入ったみたいですね。2日でどれだけ成約したのか非常に気になりますね。

まとめ

前評判通りめっちゃ良かった、というのが一言で済ませられるファーストインプレッションではありますが、19万という価格であれば私は手を出しません。XELENTOくらいだったら余裕で候補に入ってましたね。テクノロジーとしてWOODをここまで精巧に加工できるのはすごいと思いますが、暖かみのある音であれば木材よりも真鍮の方が好みです。シングルダイナミックのハイエンド帯がますます群雄割拠状態になってしまったので今後他のメーカーがどのような独自性を出していくかが見ものですね。

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