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ソニーストアに今年の新作が並んでいると聞きまして、早速試聴に赴きました。

今回のテーマはIER-M7とIER-M9の2モデル、試聴段階で感じたことと同価格帯のライバル機種との比較を交えてレビューしたいと思います。

これら2モデルの詳細な仕様についてはこちらでまとめておりますが、当記事でもサクッとおさらいしましょう。

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IER-M7とIER-M9の仕様

IER-M7

まずIER-M7の方から。こちらはBA4基を搭載したモデルでハウジングは樹脂、内部ハウジングにはマグネシウム合金が採用されています。IER-M9で採用されているマグネシウム合金振動版のスーパーツィータやクロスオーバー回路に用いられるフィルムコンデンサは不採用ではありますが。形状は全く同じで装着感は同等です。付属するケーブルのグレードに違いがあり、M7の方が取り回しが若干悪いです。それでもDITAやFitEarと比べるとM7でも十分柔らかいので困ることはないと思います。

再生周波数帯域は5Hz~40kHz。インピーダンスは24Ω、感度は103dB/mW。

IER-M9

一方IER-M9になるとBAドライバーがもう一つ追加され合計5基を採用しております。M7との違いはあちらが樹脂ハウジングだったのに対してM9ではマグネシウム合金を採用している点、内部パーツにもマグネシウム合金振動版のスーパーツィータやクロスオーバー回路に用いられるフィルムコンデンサが搭載、さらに極めて取り回し良好な無酸素銅銀メッキケーブルが恭順付属するなど、共通点はあれど明確に上位に位置付けられているモデルでございます。

再生周波数帯域は5Hz~40kHz。インピーダンスは20Ω、感度は103dB/mWとM7に比べて若干インピーダンスが低いのも特徴

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装着感・遮音性

  1. カスタムIEM相当、筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
  2. カスタムレベルとまでいかないが装着していてストレスフリー、かつ遮音性も確保できている。
  3. 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
  4. 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
  5. 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。

IER-M7もIER-M9も筐体形状が同等なので、このファクターは一纏めにします。

装着感は見た目に反してかなり良く、カナルに吸い付くようにフィットしてくれます。これまでのSONYイヤホンで一番ストレスフリー。ちょっと緩めのカスタムIEMと似たような感じで内側から圧がかかるようなタイトさはありませんが、この辺りはイヤーピースで微調整すればよいでしょう。

遮音性も高く屋外使用も問題ないレベル。試聴時は小さいお子様の泣き声がフロア内に響き渡っていましたが、再生中はほぼ完全にシャットアウトできており、地下鉄内やカフェマダムの騒音も気にならないレベルと思われます。

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IER-M7の音質

まずは廉価版のIER-M7から聴いてみることに。

プレイヤーは例のごとくAK380SS+SSAMP、試聴音源はラルク、UVERworld、Kalafinaです。

展示機はWM1Aのバランスに挿さっていたためスタッフに確認して3.5mmプラグのケーブル付の個体を出してもらいました。

上位のM9と比べると比較的低域が強めなチューニング。ドスの効いた重低音が得意と言うより、横方向に広い音場と不快にならない程度に留めた分離感を両立させています。ベースやコントラバスといったストレングスの響き方が秀逸で、空間表現に優れておりますが、パンチ力重視のキックはあまり存在感がありません。ブリブリ系の低音ではなく心地よい低音を求めるならかなりオススメ。

高域はそれほど伸びやかでもないが低音がマスキングされないので相対的にクリアに感じます。ヴァイオリンやアコースティックギターのストレングスの残響感よりもピアノの余韻の方が鮮明で、鍵盤を多用するジャズ調、バラード調のサウンドと相性良し。

中域はかなり分厚め。通常のバンド形態もいけるし大編成のオーケストラも難なくこなせる器用さがあります。楽器を気持ちよく聴かせてくれるので声なしの方が得意と思いますが、ボーカル自体は案外前の方に出て来てくれる。これも低域に被さらないのでボーカルホンとしても活用できそう。

IER-M9の音質

続いて上位のIER-M9を試してみます。プレイヤーは同じくAK380SS+SSAMP。

M7に比べてこちらは低域の量感を抑えて中高域にフォーカスが当たっております。高域はM7より伸びやかでフルートやオーボエ、サックスなど吹奏楽の高音の残影がうっすら感じられる他、キーボードやシンセサイザーのハイも電子楽器らしからぬナチュラルさが売り。キラキラ感は控えめではありますが、どんな音源にも対応できるオールマイティ型のブライトサウンドと言えそう。

付属ケーブルは上述した通り、無酸素銅体に銀メッキというスペックで取り回しが非常に良好。Effect Audioのようなぶっとい鎖みたいな存在感はありませんが、単体1~2万で2pinや汎用MMCXも売ってくれるならばケーブルだけでもいくつか揃えておきたくなりました。

またM9に関しては前評判を見ていると「Campfire Audio ANDROMEDAと似ている」との声がちらほら聴こえましたが、個人的には似ても似つかない別物の音と感じました。価格帯もBA数も構造も似てはいるものの、M9がそこまで煌びやかかと言われるとチョット違う気がします。

鳴らしやすさ

どちらもそれなりに能率が求められるタイプで SSAMP3.5mmで音量70/150くらいでジャストでした。

静寂環境ならもう10ほど下がるでしょうが、低域の存在感を表に出すためにはこれくらい必要。

展示されていたWM1A/1Zのバランスでも音量メモリの半分近いところまで上げないとパワーが出ないと思います。

価格

  • IER-M9 約¥140,000
  • IER-M7 約¥80,000

フラグシップのIER-Z1Rはまだ発売日も価格も決まっておりません。IER-M9とIER-M7はいずれも10月6日(土)発売。

事前に判明していた海外価格に対して、もう少し安くなるかな〜と推測していたのですが、シンガポールのソニーストア価格より高くなるとは想定外でした。なかなかに強気で来たなという印象です。

まとめ

低域寄りで音場が広いのがM7、フラットながら分離感が若干強いのがM9

個人的に買うならば断然M7。同価格帯にライバルが少ないので、こちらの方が多く売れそう。M9は同価格帯にXELENTOANDROMEDA、ATLASMAVERICKIIOriolusRTwinsなどなどの競合が多すぎるため一強にはなれなさそう。個人的に10~15万くらいの価格帯ならばXELENTOとATLASが一つ頭を抜けておりM9購入の選択肢はありません。私がDDモデルが好きというのもありますが、突き詰めていくとシングルダイナミックに帰結するオタクはけっこう多いと思っております。

ただまぁ、それでもM9は一定のファンを惹きつける地力はあるので、SONYからこの価格帯の良モデルが出たことは非常に喜ばしいことです。知名度に優れる大手が磨きにかけたハイエンドモデルを出すと、中小メーカーの技術力も底上げされます。価格のインフレは勘弁願いたいところですが、良モデルがひしめくアンダー3万のように10万前後の価格帯も群雄割拠状態になると、これまでなかった音を奏でてくれる機種が今後どんどこ登場していくことと期待できますので、まだまだオーディオ趣味は尽きませんね。

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