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Campfire Audioは製品モデルチェンジのスパンが非常に早く、ブランド立ち上げからまだ3年にも関わらず半数以上が生産中止となっているため、気になっても試聴できない機種もあるかと思います。他のレビューブログと合わせて並べて比較検討するとおおよその傾向が見えてくると思いますので、参考にして頂ければ幸いです。全モデルを一挙紹介するとともに今後新たに登場するモデルがあれば随時追記していこうと思います。

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LYRA

  • 発売:2015年7月
  • 定価:¥99,900
  • 構成:ダイナミック型

Campfireがブランドを立ち上げたきっかけとなったのがSENNHEISERのIE800、言わずと知れたダイナミック型の名機ですがCEOであるKen氏はこのモデルに感銘を受けて同じくダイナミック一発のLYRAをファーストモデルとしてブランドを確立させました。
私も発売直後にこのモデルを購入し愛用していた時期がありました。半年ほどでドライバー不良が発生し新品交換、同時期に購入したJUPITERもMMCX不良で交換となり、このメーカーからは手を引くことになったのですが、音に関しては好みの機種が多く、毎回買おうか買うまいか葛藤することに。
IE800をライバル視して開発されただけあって、どのファクターに着目しても不満が見当たらない優秀なモデルです。音質傾向としてはミッドローからミッドハイをじんわり強調してくれるカマボコ型。ボーカルは若干引き気味ですが、遠すぎることもな全パート横並びに楽器の音をメインで聴きたくなるタイプ。IE800とは傾向が異なるのでどっちが上と優劣をつけられなかったのを覚えています。
重低音は苦手ですがナチュラルで聴き疲れしにくく、音場も広めなのでどんなジャンルも無難に鳴らしてくれるのが最大の売り。一聴しただけではコイツの良さは感じ取りにくく、Campfire Audioにしてはスルメ系です。最近のモデルはどこか突き抜けた特徴を持っているので、LYRAが相対的に低く見られがちですが、買い換えずに使い続けているLYRAラブの人もかなり多いと思います。
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ORION

  • 発売:2015年11月
  • 定価:¥42,000
  • 構成:BA1基

初代LYRAから数ヶ月後にJUPITERと同時に発売となったモデルです。
2015年頃はドライバーを積めば積むほど付加価値が高くなると信じた各メーカーがこぞって多ドラ化が促進された時期でもあります。そんな時代だからこそ原点に立ち返ってシングルBAモデルを降臨させます。それがORION。
BAドライバーも手ごろになりつつあったので、量産的なダイナミックドライバーと比べると高価とは言っても数千円程度です。ORION/JUPITERは音導管を採用しないアコースティックチャンバー方式を採用しているとは言え、BA1基で4万超えは高すぎるとの声も大きかったと記憶しております。
音質傾向としてはフラットバランスで癖が少なく万人受けを狙った感じ。
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JUPITER

  • 発売:2015年11月
  • 定価:¥123,600
  • 構成:BA4基、Low*2-High*2

ORIONと同時に発売されたCampfire Audio初の多ドラ。こちらもアコースティックチャンバーが採用されています。音質傾向はドライバー構成そのままでローとハイに寄せているドンシャリ型です。後述するANDROMEDAと若干似ていますが、キラキラ感を抑えめにして低域と楽器の分離感を強めた感じ。インピーダンスが低く非常に音量が取りやすいので、ポタアンをかまして爆音出力してしまわないよう注意しましょう。

2018年8月時点では廉価版のCK(セラコート)仕様が店頭在庫限りの生産中止となっていますが、海外のオーディオストアやヘッドホン祭りなどで6万前後で出てくる場合もあるので欲しい方がいらっしゃれば、まだ探せば残っているので諦めないでくださいね。

ANDROMEDA

  • 発売:2015年5月
  • 定価:¥138,000
  • 構成:BA5基、Low*2-Mid*1-High*2

10万以上のモデルでおそらく一番売れているであろうモデル。発売から丸2年が経っているにも関わらず、新品価格はほとんど据え置き、中古も7掛くらいを維持しており、価格崩壊必至のポタオーディオというジャンルでは珍しく値崩れしていません。
JUPITERからBAドライバーを1つ追加した5基搭載、現状これよりドライバーを多く積んだモデルは存在せず、Campfire AudioのBAモデルといえばANDROMEDAという代名詞が確立しています。
このクリアさキラキラ感は狙って出すことはできないので、メーカーとしても奇跡の産物ではないでしょうか。次にBA多ドラを出すならば間違いなくANDROMEDA超えを要求されるでしょうし、好みはあれど一聴して「イイ音ダネ」と判断できる分かりやすさを持っている万能モデルなので、Campfire Audioにしては非常に珍しいロングセラーモデルです。
昨年秋頃はあまりの人気っぷりに市場在庫枯渇、メーカーストックなし、納期不明という状況が続いていましたが、欲しい人には行き渡ったのか新品在庫は潤沢の様子です。iPhoneやAndroidスマホでも問題なく音量を取ることができるため、DAP側の性能も合わせてハイエンドイヤホンをあれこれ選ぶよりもスマホ+ANDROMEDAというようなイヤホンに全振りしたような環境も大いにアリだと思っています。

NOVA

  • 発売:2016年11月
  • 定価:¥60,000
  • 構成:BA2基、フルレンジ*2

最も影の薄いモデル。(愛用している方にはゴメンナサイ!) 筐体形状はANDROMEDAやJUPITERと同じで、シルバーのセラミックコートが施されています。ドライバーはBA2基ですが、どちらもフルレンジという珍しい構成で、ローからハイまでしっかり鳴らせます。BA1基のORIONの強化版という印象ですが、際立ってORIONより良いかと言われると微妙でした。正直予算6万ならORIONでいいし、明らかなステップアップを求めるならもう少しお金を貯めてANDROMEDAやATLASにいきたいところ。
優れていると思える部分は中域の解像感と分離感はORION以上でボーカルにフォーカスを当てるならば選択肢としては悪くありません。いかんせん販売時期が短すぎで、1年足らずの2017年7月に生産終了してしまったのですが、今eイヤホンなどでストックされている中古個体は半値程度まで下がっておりORIONとの価格差が詰まっているので、聴いてみて納得できるならばNOVAに突撃するのもアリでしょう。個人的にはあまりオススメはできませんが。

LYRAII

  • 発売:2016年11月
  • 定価:¥85,000
  • 構成:ダイナミック型

初代LYRAは筐体にジルコニアを採用していましたが、この金属の取り扱いが難しすぎて1年足らずで生産中止。そこから半年後に、LYRAの正統後継モデルとして登場したのがLYRAIIです。こちらはもう少し処理方法を考えて、チタンよりも硬度が高いリキッドメタル合金を採用し、内部のドライバーもベリリウム製という点は共通していますが筐体材質の変化に合わせてチューニングを変えている別物です。
音質傾向としては初代LYRAの濃密な中域が若干薄くなり、その分高域の見通しが良くなっています。個人的には初代LYRAの独特な音場を気に入っていたので変な残響感が感じ取り難くなったのはマイナス点ですが、一般的に聴きやすいのはIIの方だと思います。クリアさはどっこいどっこいですが、情報量、分離感ともにIIの方が若干上で、音圧もIIの方が強めです。
このLYRAIIと旧フラグシップモデルVAGAの2種類の生産中止が決定し、流通在庫限りとなっています。直販でデッドストックが11月まで残っていればブラックフライデーセール行きになりそうなので、安く入手するなら待つという選択肢もありでしょう。

DORADO

  • 発売:2016年11月
  • 定価:¥123,000
  • 構成:ハイブリッド型 BA*2-DD*1

LYRAIIや後述するVEGAと同じタイミングで登場したハイブリッドモデルです。筐体のデザインはLYRAIIやVEGAと似ていますが、若干こちらの方がノズルが長く、耳の奥まで押し込むことになります。
ドライバー構成はBA*2基-DD*1基でLYRAIIのDDにANDROMEDAで採用しているBAドライバーの一部を合体させています。ハイブリッド型では、低域をDD、中高域をBAと得意な帯域をそれぞれ分割するネットワークを組みがちですが、このDORADOはDDを基本として、それだけではキツい部分をBAがサポートする形で独特な音場を形成します。
元の価格が高すぎたからか通常はほとんど売れず、セールで7~8万くらいまで下がったら狙っていた人が殺到していた印象です。2018年2月にJUPITER CKと共に生産終了、市場在庫もほとんどないため新品で入手できる機会がなくなってしまったのが残念ですね。

VEGA

  • 発売:2016年11月
  • 定価:¥159,000
  • 構成:ダイナミック型

ATLASが登場するまでダイナミックのフラグシップの座に君臨していたモデルがVEGA。LYRA→LYRAII→VEGAは筐体の材質こそ違えど、形状は同等で耳への収まりは非常に良好でした。
Campfireの中でも好みが分かれそうなモデルで、初代LYRAの音場と低域を強化して、中高域を少しクリアーにしたような感じ。パワフルな低域が合わなければこんなもん使ってられるかと言われそうな変態モデルです。音場が広くボーカル含む各楽器の合わせ方が非常に上手いですね。ユニバーサルイヤホンの中でもトップクラスに低域の質が高く、中高域に重ならずそれを際立たせるような空間を創ってくれるのが特徴です。それなりにパワーを求められるので使用するならばポタアンとの併用を推奨します。低域の沈み込みが全然違うので、環境次第で良いようにも悪いようにも化けてしまいます。
流体金属を採用した最後のモデルで、LYRAIIと同じタイミングで生産終了になったため市場在庫限りとなってしまいます。生産終了の要因としては初代LYRA同様に素材処理の問題が大きそうではありますが、定価15万のモデルで中古は7~8万台、直販でも10万を少し超えるくらいでANDROMEDAほど価格を維持できていないのも理由の一つと思われます。ダイナミックドライバー1基のモデルは各社力を注いでいるジャンルで価格帯に関係なく競合バトルが激しいため今後はATLAS一本にシフトしたものと思われます。

POLARIS

  • 発売:2017年9月
  • 定価:¥70,000
  • 構成:ハイブリッド型 BA*1-DD*1

2017年秋口に登場したハイブリッドモデル。LYRAIIやVEGAと共に早くも生産終了の告知がなされました。
ドライバー構成としてはBA*1-DD*1のハイブリッド型でBADDマルチは昨年のテーマでもありましたね。MACBETHがそれなりに成功しているのを横目に「ワイもやったるで!」と意気揚々よ参入したもののイマイチ売れずに撤退した感が否めません。DORADOも価格が高すぎで売れませんでしたし、この辺りの価格設定は強気だな〜と個人的に思っています。
音質傾向としては中低域の味付けが強く万人受けするタイプではありません。低域が横に拡げ、広範囲にどっしり腰を据えているのでベースやエレキの低域を主体とする強調がマッチします。VEGAほど駆動力は求められませんが、アンプを噛ませれば量の少なかったミッドハイ以上が途端に元気になるのも特徴です。それでも高域は残響感なくスッとたち消えてしまうためピアノやヴァイオリンなどは不向きです。
2018年はアンダー3万が潤沢になりつつありますが、メーカストックがブラックフライデーにて5万以下くらいで解放されれば悪くないと思います。

COMET

  • 発売:2018年5月
  • 定価:¥25,000
  • 構成:BA1基

ORIONに続くシングルBAが2018年春に登場。
現地価格は$199、国内25,000とかなり頑張っており、これまでのCampfire AudioならばORIONと据え置きにしそうなものですが、採算度外視で群雄割拠のアンダー3万に切り込んできた印象。ステンレス筐体で製造に手が込んでいるデザインで、この文のコストが新フラグシップのATLASに乗っかっていそうな気がします。
筐体形状も一新しており、LYRAやVEGAなどの流体金属型、ANDROMEDAやPOLARISのアルミニウム型とは異なり、耳掛けせずに下から装着するコンパクトなサイズ感。イヤーピースによる調整がしやすく、そのフィット感によっては感じ取れる音質も大きく変化するタイプです。
COMETでもアコースティングチャンバー方式を採用しており、フルレンジドライバーではありますが音導管を排除することで伸びやかな高域を得ることができました。Campfire AudioといえばどうしてもANDOROMEDAがちらつきますが、価格帯が全く異なりますからここで比較するのは野暮でしょう。
音質としてはシングルBAにしては低域がどっしりしていますが、同じ価格帯のfinal E5000やAZLA HORIZONなどのダイナミック型と聴き比べると分離感は強いですが音場は狭目に聴こえます。同じくシングルBAのqdc Neptuneは低域よりも中高域のクリアさを重視しているので、下を厚くするならばCOMET、上に寄せるならNeptuneと使い分けができそうです。

ATLAS

  • 発売:2018年6月
  • 定価:¥165,000
  • 構成:ダイナミック型

昨年5月に登場した最新モデルで定価16万超え。BAモデル、ハイブリッドモデルを含めてもCampfireで最もハイグレードな位置付けです。
採用されているドライバーはVEGAのA.D.L.C(アモルファス・ダイヤモンド・ライク・カーボン)を一回り大きくした10mm径のものが使用されています。COMETと同じく筐体にステンレスを採用し、VEGAまでのデザインを一新し、この価格帯の機種にしては珍しく耳掛けではなく下から装着する設計に変更されました。耳掛けできなくもありませんが、カナルの曲がり具合によってはケーブル端子部分を痛める可能性が高いです。
音質は流石の一言で、中域の情報量が多くパワフル。随所で「ANDROMEDAのキラキラ感とVEGAの沈む低音を併せ持つANDROVEGA」と称されていますが、ATLASが真価を発揮するのは比較的聴き取りやすい300-5000Hzくらいの中高域で、このエリアの解像感・分離感が凄まじいです。とにかくエネルギッシュで、情報量が多すぎるからこそ聴き疲れしやすいデメリットもありますが、詳細なレビューを書きましたので合わせてご確認頂ければ幸いです。

Equinox

Campfire Audio初となるカスタムIEM。秋のヘッドホン祭にて20名限定抽選でオーダー会が開催されました。今のところ通常オーダーを受け付ける予定はなく、年2回、春と秋にそれぞれ1回ずつ、なんらかのオーディオイベントに合わせて受注会を開催するとのことで、試聴すらままならない状況が続きます。
仕様としてはカスタムIEMにしては珍しいドライバーはダイナミック一発。直径10mmの新A.D.L.C(アモルファス・ダイヤモンド・ライク・カーボン)ドライバーが採用されており、これはATLASでも用いられているものと似通っております。筐体は3Dプリンターによって製造され、内部にはEquinoxのチューニングに最適化されたアコースティックチャンバーが搭載。
デザイン性についてはカスタムIEMでありながら一パターンしかなく選択の余地がありません。アートワーク、フェイスプレートオプションなどは存在せず、写真通りのデザインとなります。
日本価格はMixwave経由で188,000(インプレッション込)。
使用されているダイナミックドライバー的にATLASっぽさが垣間見られるんだろうなぁと思っておりましたが、確かに中低域が強めで迫力のあるサウンドです。Head-Fiのレビューで「AMDROMEDAとATLASを合わせたような音(ATLAS寄り)」という情報がありましたが、私はANDROMEDAっぽさは感じられず、ATLASをベースにチューニングいじったような音。
カスタムモデルなのでデモ機から実機になった時にどう変化するかなんとも言えませんが、私自身カスタムIEMを3機種持っているのでおおよそこんな感じになるんだろうなぁと補正すると、ATLASの低域を丸くしたようなサウンドで、レスポンスも速くキックの連打が正確で面白いですね。ボーカルも近く、女性だと艶らしさ、男性だと力強さを付与できますが、ピアノやヴァイオリンなど繊細な楽器の表現力はいまひとつでした。

ANDROMEDA S

  • 発売:2018年10月
  • 定価:¥138,000
  • 構成:BA5基、Low*2-Mid*1-High*2

ANDROMEDAのステンレス.ver。ANDROMEDAは他にもWhite、IceBerg、Blueといった地域別の限定カラーが存在しますが、ステンレスモデルに関しては中域のドライバーを変更しチューニングもいじっています。
日本ではヘッドホン祭の前日に発売、世界2000個限定で日本に入ってきたのは400本でした。半数しかなかったIcebergでさえ発売後数ヶ月保っていたのですから、その倍の数が用意されてるならじっくり試聴する猶予があるものと踏んでおりましたが、実際には瞬殺で発売日に在庫のほとんどが枯渇する異常事態。私は発売日当日に試聴して判断した上でギリギリゲットすることができました。無印よりこちらの方が好みです。
無印と比較した時に最も異なるポイントは高域のキラキラ感。ANDROMEDAがANDROMEDAたりうる最大の特徴はどこまでも澄み渡る高音楽器の煌びやかさであることは一聴すれば明らかなのですが、こちらのモデルは中低域全般の厚みが増したために相対的にキラキラ感が薄れてしまっています。無印最大の特徴を失った代償として手に入れたものも当然あって、中低域のクオリティが格段にアップしています。解像感、音場はあまり変わりませんが、Sの方が低域がどっしり構えている分、音場広めに感じます。無印が好みだからと諸手を挙げてステンレスも推奨できるものではありませんが、両者比較してみると明らかに別物と分かるので、試聴できるチャンスがあれば是非とも聴いてみてほしいモデルです。

SOLARIS

  • 発売:2018年12月~2019年1月予定
  • 定価:¥180,000前後
  • 構成:ハイブリッド型、BA*3-DD*1

Campfire Audioの次なるフラグシップモデル。本国では発売済ですが、日本では12月末〜1月に発売予定。
これまでのCAでは聴かれなかったサウンドで、音場が広く全帯域整っており、ストレートに音を伝えてくるタイプ。ANDROMEDAよりもATLASの空気感に若干近い印象を抱きました。総合すると全く別物ではあるのですが中域の濃密さはやや似通っています。高域のキラキラ感はあまり感じられず、無印のANDROMEDAの音が好きな人には合わない可能性大。ATLASの濃密さともANDROMEDA Sの落ち着いた中低域とも違って、楽器の音色を鋭く聴かせてくれるため、若干聴き疲れするかもしれません。試聴機ではやや中高域が前へ前へ来ようとするように受け取られ、低域が少し寂しいと思ってしまったので、エージングによってどうなるかが全く読めません。
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