Rhapsodioは今までノーマーク、というか、それほど音も好みじゃないしあえて追う気になれなかったメーカーだったのですが、最近登場したZonbieを聴いてそのイメージが覆されました。
音質面でのレビューも少ないので、毎度のことながら私の主観でどの様なサウンドだったか、近しい価格の他モデルとの比較をサクッとまとめたいと思います。
Rhapsodioとは
Rhapsodioは香港のオーディオメーカー。日本では宮地楽器が代理店を務めております。
これまでBA10基のSolar、DD一発のGalaxy、そしてBA20基を搭載したInfinityの3モデルが現存。いずれも10万超えでInfinityに至っては30万オーバー。基本的にワイドレンジで解像感高めのチューニングがこのメーカーの特徴ですが、悪く言うと尖った部分が少ないというのが注目されない理由の一つでしょうか。どうせ20万も出すなら八方美人な音は不要、どこかしら他モデルにはない突き抜けた特徴が欲しいというのがイヤホンスパイラルに陥ったオタクの本音というものです。
私もその様な印象をずっと持っていたのですが、この8月にZonbieなる新作を投入。これがなかなか悪くなくて、評価に関しては賛否両論でしょうが、強烈な個性を有しているのは事実で嵌る人にはとことん嵌る、そんなモデルに仕上がっていると思います。
Zonbieの仕様
これまでの3モデルはBA多ドラかシングルダイナミックのいずれかだったのですが、今回登場したZonbieはBA8基+フルレンジダイナミックドライバー1基の合計9基から成るハイブリッド構成です。
筐体材質は銀。ドメスティックメーカーK2Craft社製の銀製ハウジングを採用しています。それなりに重量感がありますが、装着したら耳の中が重いということはありません。
ケーブルはRhapsodio純正の6Nグレード/シルバープレート"Dark Knight"が付属。端子はカスタム2pinです。このケーブルは現地価格で定価$250なので円換算すればだいたい3万ほどになります。取り回しも良くて特にリケーブルする理由もないかと思います。
装着感
- カスタムレベルとまでいかないが筐体が耳にマッチしており収まりも問題なし。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
- 装着していてストレスフリー、かつ遮音性もそれなりに確保できている。
- 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
- 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
- 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。
金属筐体なのでアクリル系よりも防音性が高いのでしょうか、過去モデル含めてRhapsodioの中では一番装着感が良く、遮音性も確保できております。痛みを伴うこともありませんでしたし、イヤーピースでホールドしている分カスタムIEMより遮音性が高いとすら感じました。耳掛けが苦でない方ならばフィット感良好と感じる人も多いと思われます。
音質
試聴環境はAK380SS+SSAMP。イヤホン側は銀ですし金属三昧の構成となっております。音源は歌詞入りだとKalafina、ラルク、Perfume、歌詞なしだと映画・ゲームサントラ(ロック、バラード、オーケストラなど多ジャンル)
早速聴いてみるともっと高域がギラギラするのかと思いきや、低域が強烈でビビりました。シルバーってなんとなく高域がギラつくイメージなのですが、それとは裏腹にスピード感アリアリ、VE6X1の低域を更に増大したような感じ。低域が強いので音像が捉えにくい、そんな事はなくベースやキックの解像感が高いので低域が中域以上をマスクしてしまう場面も少ないのが強みです。
反面高域の伸びはそれほど強いわけでもなく、低音の波が押し寄せてくるタイプなのでヴァイオリンやピアノの余韻感はかき消されてしまいます。低域のパワーと高域の残響感のバランスの取り方が難しいところではありますが、好みの分かれ目でもあるので、試聴してご判断願います。
ボーカルはロックやメタルだとやや遠目、バラードだとそれよりも近くなる気がします。女性より男性ボーカルの方が迫力が増すので、ロックバンド+男性ボーカルの組み合わせで聴きたい一本でした。
このモデルが真価を発揮するのは声無しでベースラインがハッキリしていてヴァイオリンやギターを多用する音調との相性抜群。Legend XやNemesisほど低域の支配力が低いので、音粒のはっきりしたキレのある低音を楽しめる、というのがZonbieならではのアイデンティティでしょうか。
価格
定価で¥198,000。高い!以上!
と終わらしたくなるところですが、最近出た予算20万前後のモデルだとMAVERICKII Re;、RE2000、ATLAS、KATANA、KSE1200、この辺りが選択肢に入ってきそうです。音質面では低域がやかましいレベルにあるのはATLASとも似ておりますが、中域の情報量はそこまで多いわけでもなく、差別化は十分図られていますし、Zonbieの音こそ志向!という方がいても全然おかしいことではありません。むしろ最近のモデルって中域がブライトだったり高域が煌びやかなモデルが多いので、低域が強いけど篭りにくいモデルというのはある意味貴重かもしれませんね。