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AK380をこよなく愛する私が数ヶ月前に思うがままに書いたこちらの記事が中々好評でした。製品自体は良いと思っているのに、どうしてこうなっちゃうのかなぁと甚だ疑問でしかなかったので、「客観的にどれくらい暴落しているのかまとめたらおもろそうやん」って思いついたのがきっかけです。これを受けて「製品が値下がるのは仕方ない」「中小メーカーだから仕方ない」といった擁護の声も聞かれ、問題提起としては悪くないと思いました。今回はすでに生産中止となった第三世代までの各種モデルのおさらいと各種グレード揃った第四世代の価格推移をチェックしていきたいと思います。

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第二世代から第三世代までのモデル

前回の記事でぶわーっと書いたので簡単にダイジェストだけ。

2014年1月発売:  AK240
2014年12月発売:AK240 BlueNote
2015年7月発売:  AK380
2015年12月発売:AK320

AK380は3年以上前、AK240に至っては発売してからもうじき5年が経過するモデルです。当時は今のように20万を超えるハイエンドDAPを出すメーカーも少なかった(ほぼなかった)ため、IRIVERが高級音楽プレイヤー市場を開拓したと言っても過言ではありません。

もちろんハイエンド帯が生まれると、そこと差別化を図るべく下の価格帯で勝負するメーカーも生まれ、結果的にDAPの選択肢が増えたというプラス方面の効果もあったでしょうが(無論IRIVERだけがその要因ではありません)、そのセールスマーケティングに対しては疑念を抱かざるを得ないものです。まぁ第二世代が出た頃からIRIVER=ふっかけ商法というイメージが付き、第三世代のやり方から「1年で30~40%OFF、2年で50~60%OFF」というのは界隈の常識というか、そういうメーカーなんだなという認識が付いてしまっているのが実情。

プレイヤーをグラボやスマホなどガジェットと捉える方ならば「値下がり上等、その時の最高峰を買う」という前提の下納得して購入されるでしょうが、いくらなんでもこの下落幅はおかしいんじゃないの?っていうのが以前の私。

IRIVERだけ執拗に攻撃するのもどうかと思ったので、擁護するわけでもありませんけど機械製品全般はモデルチェンジで大幅にプライスダウンするのは家電界隈をチェックすると明白です。大手量販店の決算セールで40~50%OFFってのも見かけますし、モデルチェンジを増やすことで価格のリセット回数を多く持つというのは経営としては理解できる範疇です(消費者的にはふざけんなって話ですが笑)

それが"機械物"としてのマクロ的な側面。もっとミクロにDAPに限った傾向を見るとどうなるのか、それが重要です。

主要なDAPメーカーを挙げると、SONY、COWON、Questyle、Audio-Opusなどなど。

これらのメーカーと比較するとメーカーごとの傾向が浮き彫りになるので、代表モデルを2機種定めて視覚化してみます。

  • SONY→WM1Z , ZX300
  • COWON→PLENUE 2 MKII , PLENUE R
  • Questyle→QP1R , QP2R
  • Audio Opus→Opus#3 , Opus#1S
  • IRIVER→AK380 , AK70MKII

Cayinも加えたかったのですがハイエンドであるN8が出たばかりなので今回は比較対象としません。

またLotooはハイエンドかエントリーかモデルの位置付け幅が大きすぎるため除外としました。特にPaw Gold 2は受注生産品なので他メーカーのロット品と一概に比較できません。

まずはこちらのグラフを参照下さい。(初値以降の価格は各種セール価格参照)

どう見てもIRIVERの下落率がひときわ際立っています。本当にありがとうございました。

いやまぁ他メーカーもそりゃ多少下がってますよ?Questyleなんかも初値は高めに設定して1年くらいしたら結構安くなりますから、待てるのであれば待った方がお得なメーカーです。Audio Opusについてはここでは引合に出していませんが、#2はもともと20万近くのモデルだったのですが、発売後まもなく5万円値下げのアナウンスがなされたと記憶しています。(確かこの時は買い替え割で4~5万引になっていたので、そこまでするなら定価自体下げちまえっって話だったと思います) #3、#1Sについても少し下がっていますが、こちらは別に特筆すべきものでもありません。

SONYは大きな変動がありません。企業規模が違いすぎるので同列に語ることはできませんが、30万のハイエンドでも価格を維持しています。安易な値引きを許さない傾向はLotooにも通じますね。

COWONも幅広い価格帯のDAPを出していますが、発売1年くらいでは多少下がるくらいで大きな変動はありません。こちらはゲリラセールで結構安くなるので、メリハリがはっきりしております。

ではIRIVERについてはどうでしょうか。まずAK70MKIIは上記で並べたメーカーのモデルと被る価格帯ではありますが、こちらは比較的おとなしめです。7~8万くらいの価格帯なので下がっても3~4万程度ならすぐ買うよ!って方がいてもなんら不思議ではありません。そして前フラグシップAK380に関しては角度がおかしい。販売時期が比較的長かったことを考慮に入れても、初年度でドカンと落ちています。AK70MKIIが半値になるのとAK380が半値になるのはわけが違うということを言いたい。

他メーカーも同じような急流滑りを描いていたら、ここからの記事展開は「結局どこのメーカーも同じでした、IRIVERばかり叩いてスマン」で締めくくろうと思ったのですが、やっぱやめです笑

本題に入ります。

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IRIVER主要モデルの価格推移

前回作ったものを改良してしただけですが、AK240BNが縦軸(価格)を大幅に伸ばしてしまうため削除しました。

追加項目はAK70系統、SR15、SP1000Mです。

AK70系統を含まない第三世代までの主要モデルについては詳細は冒頭のリンクから以前の記事に飛んでもらえればよく分かると思います。

グラフ的にはデータ量が増えることで煩雑になってしまいますが、全体的な傾向を捉えるには絶好のデータとなったのであえて一枚にまとめてみました。

第四世代のモデルを一つずつチェックしていきましょうか。

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A&ultima SP1000

2017年末に登場したAK380に代わる新フラグシップでステンレス版とカッパー版の2種類が同時に登場。AK380と比べると癖がありますが、それまでのAstell&Kernという冠を捨て全く新しい音作りの末に誕生したモデルです。

初値はAK380と同じく45万で登場。価格暴落のイメージが悪すぎるからAKの名を捨てたものと私は思っていたのですが、案の定と言いますか、現在進行形でメキメキ下がっております。

今年の7月頃にヨド○シカ○ラが店舗限定のゲリラセールをしたことで一つ谷ができてしまっていますが、おそらくこれはヨド○シが勝手に先走ってしまったことによる事故です。将来的にそうなるとは言ってもそのタイミングで他店舗より10万近く安くしてすんなタコというお達しがあったものと個人的には思っています。実際ヘッドホン祭りではそこまで安くならず、ギリギリ30万を切るライン。そして廉価版であるSM1000Mを投入したことで大元のSP1000SS/CPの値下がりも多少は緩和されそうな気がするので、今後の予測も緩めにしてみました。SP1000Mと共倒れになっては無意味なので、多分代理店さんは双方スイッチしながら下げていくのかな〜なんて思ったり。

A&fitura SE100

今年の5月に登場したセカンドラインA&futuraの第一弾。音質面でSP1000系統と差別化されているので、こちらの方が好みという方も多いと思います。実は私もSE100はいずれ欲しいと思っているのですが、現状AK380で必要十分なのでしばし待機とさせてもらっています。

初値は22万、直販だと最初から10%OFFになり20万、ヘッドホン祭りの特価で17万とこちらもジワジワ来ております。SE100は世界200台限定のらくがき猫M.Chatモデルも存在し、こちらの限定版については希少価値的に中古でもそこそこ高くなりそうですね。価格帯的にはAK320と似たような動きになるのではないかと思っているのですが、来年春のヘッドホン祭りあたりで14万とかになれば大方予想通り。

A&norma SR15

Aシリーズ三本柱の最廉価モデルは今年7月に登場したSR15。画面が斜めということで話題になりましたが、手に持ってみると案外馴染みます。こちらも音質面では上位モデルと大きく異なり、ボーカルを中心とした中域がググッと前に出てくるリスニングタイプ。サイズ感も手頃でありながら操作性は第四世代共通でかなり使いやすいモデルです。

初値は約10万でしたが、ヘッドホン祭りで8万までプライスダウン。現地価格としてはAK70MKIIと同じ$699なので日本価格が割高なのですが、AK70MKIIと同じ末路を辿るとすれば来年の今頃には4万円台になっている可能性がありますが、その頃にはAK70MKIIは退場していると思われるので、アンダー10万がSR15一択となったら値下がりペースは落ち着くかもしれません。

A&ultima SP1000M

SP1000シリーズの廉価版で、材質を見直し小型化・軽量化したモデル。10月末に発売したばかりです。

個人的にはSE100とスペック的にかぶっているところもあり音質面でもSP1000Mはどこか中途半端と感じたのでSE100の方が好みです。30万積むならCayin N8とかWM1Zみたいに凄みを感じられるモデルを優先したい。

初値は約28万。値下がったSP1000SS/CPと4~5万しか変わらなくて「これで廉価版?」と思ってしまったのが正直なところ。最初から下げ過ぎるとSE100とかち合う上にフラグシップとはなんだったのか、という状況になりますから止むを得ずってところでしょうか。

SP1000SS/CPと交互に下げていく戦略を取ることで値下げの時間稼ぎをしつつSP1000SS/CPをお得に見せられるので、そのあたりは流石だなぁと思いました。

フラグシップラインの比較

第二世代のフラグシップAK240と第三世代以降のフラグシップAK380/SP1000ではあまりに価格差がありますが、価格推移的な傾向は全く同じです。もうイベントを重ねるごとに3~4万の値引きは当たり前といった感じで、最終的には初値の4割程度まで落ち込んだところで生産終了となっています。実際は生産終了発表後の店頭在庫(主にeイ○ホン、フ○ヤ)がさらにもう一段安値で解放されるケースが多いのですが、 現行SP1000に関しては廉価版の存在から値下がりの速度が遅くなる可能性大です。両方思うように売れず共倒れになるケースも考えられますが、これまでのAK240/AK380の前例とは違った動きになりそう。

またこの価格帯のモデルが他にLotoo PAW GOLD、SONY WM1Zしかなかったという事情も要因としては大きいかもしれません。ここ最近立て続けにPAW GOLD TOUCH、N8、R2R2000、PLENUE Lといった各社ハイエンドモデルを刷新してきたので、競合が激化して落ち込みの速度が上がるか、これらのメーカーも上記のような大崩壊が見られたらIRIVERに限った話でもなくなるので、その時は改めてゴメンナサイするしかありませんね。

セカンドラインの比較

第二世代のAK120IIも一応セカンドグレードではありますが、価格推移のデータが手元にないためグラフに落とせておりません。最終的に半値以下になっていたことは覚えているので大方AK320と同じと思ってもらえれば。

こちらも見事な崩壊っぷりで下落の角度はフラグシップ以上かもしれません。現行のSE100はジワジワ下がっていくと思われますが、製品としての完成度は高いと思いますので、は人それぞれ設定しているこの値段だったら買い!というラインで納得できれば「欲しい時が買い時」でよいでしょう。私は14万くらいになったら手持ちのAK380が健在でも追加購入してもいいかなと考えております。

スタンダードラインの比較

上記の二つのラインと比べると比較的手に取りやすいスタンダードグレードもスパーンと下がっているのが見て取れます。

この価格帯に関しては他のメーカーでも多少なりとも下がっているのが事実ではありますが、ここまで落ちるメーカーはそう多くはありません。近しいと思っているのはQUESTYLEくらいで、あとはジワジワ緩やかに下がっている中、IRIVERのスタンダードラインは上位モデルと同じような割引率で各種イベントをクリアしていっています。

まとめ

もちろんモデルが違うので全く同じペースで下がると言い切れるものではありませんが、IRIVERのイメージがもはや"そう"なってしまっている現状、第四世代でもこれまでとニアリーな動きとなりそう。それまで散々ふっかけておいて、今更「もう下げませんから買って」と言われたとしても、私みたいなどうせ下がると思っているケチな人間は見向きもしませんからね。言ってしまえば値下げこそが信用なわけで、いろんな選択肢がある中でそれがなくなってしまえば必ずしもIRIVERを選ばなきゃならん道理もなくなるというもの。

大手だから中小だから、企業規模が違うとかそんなことは他の中小メーカーにも言えることで企業側の怠慢としか思えません。IRIVERが咎められるのは全ての価格帯における下落率が凄まじいからで、WM1ZやPAW GOLDみたいに特定価格帯のモデルだけでも大きな変動がなければ、ここまでマーケティングに対して悪いイメージを抱くこともなかったと思います。

他メーカーと比べてみてもえげつないことが見て取れ、IRIVERが戦略的に一人で値下げ値下げしているだけではありますが、フラグシップ級が増えたことでIRIVERのような価格崩壊が他メーカーにも伝播することも考えられます。そうなったら改めてDAP市場全体の傾向として記事を書くつもりです。

ちなみに私がこういった記事を書くのは定期的に問題提起がしたいだけで、感情的にIRIVERを叩きたいわけでも、今の価格で購入を決めている人に対して「ストップ」を仕掛けるものでもありません。私自身IRIVERの製品自体は好きなので落ちに落ちたタイミングでSE100を入手したいと思っております。もちろん「今欲しいんだ、価格は関係ないんだ」という方はそのまま自身の正義と信念を持って突っ走るとよいでしょう。購入した価格で納得したならば、それ以降落ちようが関係ありませんからね。

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