地味にまだ聴いたことのなかったRHAの新作フラグシップ、CL2 Planar。
あんまりレビューが出てこない上にTwitterでも不評が目立つのでどんなものかと思って試聴してきました。
いい部分、イマイチな部分両方捉えることができたので簡単にまとめます。
CL2 Planarの仕様
Planarとは"平面"の意。オーディオで平面と言えば"平面駆動"
このモデルの最大の特徴は文字通り平面磁気駆動ドライバーを採用している点。平面駆動と言えば筐体の体積にゆとりのあるヘッドホンでしばしば使われる技術なのですが、近年ではイヤホンでも平面駆動型というジャンルが確立しつつあります。イヤホンだと他にはAudezeが有名ですね。
平面振動板にコイルを引き2つの磁石で挟む構造となっており、振動板全体に向けて均一に力が加わり、音楽信号に対してより正確により歪の少ない再生が可能となります。もちろんただ磁石と磁石で挟み込んだだけでは到底売り物にはならないので、高精度な調整が必要になってきますが、CL2は4年もの歳月を掛けて16マイクロメートルのφ10mm振動板の磁界調整に成功したそうです。
ハウジングは二酸化ジルコニウム製。ジェットエンジンを保護するために使用される壊すことが不可能なほどの硬度を誇っています。筐体サイズも非常にコンパクトでマルチドライバーの多くのモデルと比べると耳への収まりは良好です。
ネックバンド型のBluetoothワイヤレスにも対応。従来のRHA社ワイヤレス製品のネックバンドの品質をさらに向上させ、肌触りが良く、首に沿うように設計されています。最大12時間再生が可能なバッテリーとユニバーサルリモコンを搭載。ボタンを押すだけで音楽、電話、ボイスアシスタント機能を切り替えることが可能。
装着感
- 筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
- 装着していてストレスフリー、かつ遮音性もそれなりに確保できている。
- 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
- 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
- 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。
私基準ではBランク相当。SHUREをもう少し荒削りにしたような形状でイヤーピースによる調整次第では遮音性もさらに高めることができそう。標準のケーブルは耳掛けワイヤー部分に若干癖があるのでこの部分が合わないと装着感にも影響しそうです。
音質
使用 DAPはAK380GM単騎。
不評だったので正直あまり期待していなかったのですが、逆にそれが功を成したと言いますか、言われている程悪いものでもなかったです。確かにボーカルが不自然なほど前に出てくる印象はぬぐえませんけど、どハマりする人もいて当然だな〜って思います。
私はヘッドホンはほとんど使用していないので、平面駆動の音ってイマイチピンと来ないのですが、ボーカルは近くて息遣いまで聴こえてきそうな程丁寧で近いです。ハイハット、バスドラの主張は抑えめ。ベースは比較的強めではありますが、低域自体パンチ力があるわけでもないので必要最低限って感じ。楽器の音の再現性は高いんでしょうが、中域が強すぎて、低域、高域が霞んでしまっている印象を受けました。
インピーダンス15Ωに対して感度は89dBもあるため、試聴する前はかなり鳴らしづらいのではないかと思っておりましたが、実際はAK第三世代AMPを必要としない範囲で十分なレベル。前作CL1が150Ωだったことを考えると、駆動力が低いプレイヤーでも音量は取れると思われます。
価格
価格は12万前後とややお高め。
標準で3年保証が付いているのはかなり有難いポイント。ケーブルも3.5mmアンバランス、2.5mmバランス、Wirelessネックバンドの3種類が付属しているのは嬉しいですね。
同じ予算で比べるならば、オールラウンダーにいくならXELENTO、ボーカルメインならEST、煌びやかさを求めるならANDROMEDAの方がオススメしやすいかな〜って感じました。