Unique Melodyのチタン筐体モデル"MAVEN"、"MIRAGE"が先日から発売となりました。
主な特色としては
- アクリル筐体ではなく積層チタン筐体を採用していること
- いずれもハイブリッドではなくマルチBAであること
が挙げられますが、それぞれ特許出願中の新技術が盛り込まれています。上位モデルの"MAVEN"には「Targeting Frequency Adjustment Technology(T.F.A.T)」、廉価モデルの"MIRAGE"には「Zero-Resonance Directional Transmission (Z.R.D.T) 」が採用されています。(詳細は後述)
音質レビューは以前参考出展中のMAVENだけに留まったので、製品版を改めて試聴した所感をまとめたいと思います。
目次
仕様
ジュエリーのようなデザインと質感
パッと見イヤホンか疑いたくなる見た目のインパクトが強烈で、耳に嵌めるアクセサリーのようなデザインは賛否両論有りますが、人間工学に基づいた形状でただ見た目重視というわけではないのがUnique Melodyの拘りの強さを感じさせます。
いずれのモデルも全面チタンで製造されていますが、フェイスプレート側はほぼ共通、カナル側のデザインが異なります。 "MAVEN"がフェイスプレート側と同じく網状となっているのに対して、"MIRAGE"は金属感丸出しの無骨なデザインとなっています。(左:MAVEN、右:MIRAGE)
医療用チタンを採用
筐体の製造工程では最新の金属プリンターを活用し、1200層にも及ぶレーザー積層により形成されます。筐体の厚みは0.2mm(アクリル筐体の1/6)でありながらも強度はアクリル筐体の15倍を誇っているため、堅牢性と軽量性は十分、更にステンレスやアルミニウム合金と比較して熱伝導率も低く、気候に関係なく快適に使用できるのが特徴です。
長時間肌に触れるため、金属アレルギーに対する懸念と対策についても十分検討されており、耐腐食性・耐アレルギー性に優れた医療用チタン素材を採用しています。金属アレルギーの方にも安心して使えるように、という配慮ですが、必ずしも安全と断言できるものではないので、不安のある方は医師の診断を仰いだ上で使用すると良いでしょう。
ハンドメイド・スモールバッチ
3Dプリンターを活用しているとは言え製造工程に時間とコストが掛かっており、1週間で最大わずか12ペアしか生産できません。工程最適化によっては作れる本数が増えるでしょうが、筐体製造においてレーザー積層工程に12時間、テンパリング工程に12時間とこの2工程だけで24時間を要します。その後、切削加工、研磨加工、アセンブリー工程を経て、やっと1ペアが完成するため、廉価版のMIRAGEの価格がかなり割高と感じるのもこの複雑で時間のかかる工程が大きく影響しているものと思われます。
"MAVEN"に採用されているT.F.A.T
ドライバーはBA11基、Low*4-Mid*2-High*4+Custom Semi-open BA For T.F.A.T*1という構成。
T.F.A.Tは「Targeting Frequency Adjustment Technology」の略称で、不要なピークノイズを消音する新技術として特許出願中です。大手BAメーカー"Knowles社"と共同開発した独自設計のセミオープン型BAドライバーをイヤホン筐体内に設置し、意図していない「ピークノイズ」に対する特定の逆位相信号を発生させ、音質設計上で不要なピークノイズだけを打ち消す技術です。
"MIRAGE"に採用されているZ.R.D.T
ドライバーはBA3基、Low*1-Mid*1(Custom Full Opened BA)-High*1
こちらもKnowles社が絡んでおり、共同開発の独自ドライバーが採用されています。改良を加えたフルオープン型BAドライバーを活用する前提で自社設計のチタン筐体を組み合わることでシンプルながらも最良のサウンドクオリティの実現を図りました。「Zero-Resonance Directional Transmission (Z.R.D.T)」はチタン筐体とフルオープン独自ドライバーを組み合わせた設計技術方式を指しており、今後のモデルにも活用されることが予想されます。