今更感がありますが昨年発売したBGVP "DMG"の実機レビューです。
販売はL.S.オーディオさん等が取り扱っており、amazon経由で購入することができます。
パッケージ構成
付属品は以下の通り。
- 筐体本体
- 銀メッキケーブル
- イヤーピース計10ペア(シリコンS/M/L各3つずつ計9組、ウレタン1組)
- ケーブルクリップ
- 交換用フィルター金、銀 ※標準で黒ノズルが付けられています
- 保証書
仕様
- 計6ドライバー、DD*2-BA*4という構成。(ドライバー構成はAROMA Witch Girl Pro等と同様)
- ダイナミックドライバーにグラフェンとチタン振動版を採用
- 筐体材質はアルミニウムマグネシウム合金を採用
- 特許取得済みの人間工学に基づいたハウジングデザイン
- 交換用フィルターを計3種類付属
- 汎用MMCXプラグを採用
- 付属ケーブルは5N単結晶銅線+銀メッキの混合線
- 防水防塵性にも優れておりIPXレベル5確保
- 国内価格¥15,000
ドライバー数で音質は決まらないと言っても、この価格帯で計6ドライバーを搭載しているのは驚きです。ノズル部分が取り替えられる構造となっており、ユーザーの好みに応じて3段階音を変化させられるギミックが設けてあるのも一つで三度美味しいモデルに仕上がっていると思います。
私が今回入手したものは筐体カラーがブラックですが、レッドとブルーの筐体も用意されており、またマイク付きのケーブルが付属するパッケージも用意されており、この辺りは好みで選択できるようになっています。一聴した感じだと、このクラスのモデルに付属しているケーブルとしてはクオリティがかなり高く、取り回しも柔らかくケーブルノイズが殆どないのが好印象でした。MMCXコネクター周りも頑丈で、それゆえコネクターの脱着がめちゃくちゃ硬いのでリケーブルの際は慎重に抜き差しすべきです。
装着感・遮音性
- 筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
- 装着していてストレスフリー、かつ遮音性もそれなりに確保できている。
- 装着感は我慢できるが遮音性が伴っていない。屋外用途でギリギリ使える。
- 装着感もいまいちで遮音性も低い。ストレスフル。
- 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。
搭載されているドライバー数に対して筐体のサイズ感が小ぶりなのが良いですね。一応ベント孔は開けられていますが外音が容赦無く入り込んでくる感じはなく、イヤーピースのサイズさえ合わせることができれば遮音性も確保できると思います。ステムの長さがやや短めなので、私の耳にはSednaEarFitで軸を少し高めてあげるのがちょうどフィットしました。
音質
使用DAPはSE100。フィルターは金→黒→銀の順に高域強調型となる傾向があり、個人的には全色試した上で標準の黒が嗜好にあったのでフィルター黒をメインにレビューしたい。
音圧レベルは比較的高く、ボーカルはずんずん前に出てきます。ハイハットが刺さることもなくロック系のジャンルでは非常に聴きやすく安っぽさを感じません。グラフェンと言うと一聴した時のインパクトが強く、エレキなどの電気楽器がギュルギュルと金属的な鳴り方をするイメージを持っているのですが、よくよく聴いてみると勢いだけで品の良さを感じないってパターンがよくありますが、DMGはそんなことはありませんでした。
情報量としてはローからハイまで満遍なく出ており、ややベースの主張が強いタイプ。全体的にフラットで元気良く、その中でも低域の出力が強いかな、という印象。黒フィルターでも十分なので金フィルターでさらに低域を増強させる必要性を感じませんでしたが、金フィルターで中低域を固める方向にしても良いと思いました。
高域のクリアさ・キラキラ感は金→黒→銀の順に強くなっていきますが、個人的には銀はギラつきすぎで金・黒以上に好みが分かれます。主張の強い煌びやかな高音は5分10分聴くだけならば刺激があって楽しいのですが、長時間の音楽鑑賞には向かないと感じました。
総じて「低音楽器の情報量とボーカルとの距離感のバランスが絶妙なモデル」であると言えます。中華イヤホンの進歩に驚いたとともに¥15,000という価格帯でこれほどまでに低域の質感が良いものは多くありません。難点としては「試聴できる機会が限られる」という点でしょうか。現状Amazonでしか取り扱っていませんが、各種イベントでの露出が増えればもっと注目されるのでは、と思います。