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街中を歩いていても9割はAPPLEのEarPadsか独立型のワイヤレスイヤホン。最近のスマホも音質が良くなってきており、かつストリーミング再生が主流のご時世、有線イヤホンを使用してかつ音質にもこだわる層がどれだけ存在するかなんとも言えないところですが、ここ数年で3万円前後のモデルでおすすめできる機種がかなり増えてきました。少し前までは3万のイヤホンは普通にフラグシップ級だったのですが、あれよあれよと相場が高騰。今や上限は何十万という世界になりポータブルオーディオに嫌気が指しているマニアも多くいますが、毎週のように何かしらのモデルが新発売し群雄割拠しているおかげか下の価格レンジも間違いなくレベルが上がっています。

新しけりゃ良いとは断じて言えませんが、一オーオタが予算3万でオススメできる機種をレビュー付で一挙紹介したいと思います。人それぞれ好みの音があるように、イヤホンもモデルによって性格が全く異なります。ランキング形式にすると荒れるため、今回は全て横並びに紹介し、気になるモデルがあれば実際に試聴して聴き比べてご判断されるとよいでしょう。

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チャートについて

各モデルに付けているチャートは、その機種の特徴を視覚化するためのものです。例えば「AとBという2つのモデルを重ねてみたらチャート上はAの方が上なのに実際聴くとBの方がええやんけ」となる可能性もなきにしもあらず。評価項目は10要素を並べてみました。100%、私の独断と偏見による評価になるため参考の中の参考にして頂ければ。

  • 高域:高音の伸びやかさ、刺さり具合で加点。(我慢ならない刺さりなら減点)
  • 中域:ボーカルの近さ、ミドルレンジ帯の楽器の音圧が高ければ加点。
  • 低域:低音の質、量、深さを総合的に。バスドラム、ベースの鳴り方に特徴があれば加点。
  • 解像感:トータルの情報量の高さ。よく言われる解像度と同義ですが、こちらはカメラでの指標と思っているので解像感と表現しています。
  • 分離感:各パートを分解できる能力。解像感が高くても音がほぐされているタイプもあれば、分離感が気にならないタイプもあるので別項目とします。
  • 音場:サウンドステージ、コンサートホールで聴いているような臨場感があるか、またはライブのような迫力があるか、一長一短ですがここでは音場が広い方を加点します。
  • 繊細さ:ボーカルの息遣い、弦楽器や鍵盤のタッチ、指遣いが見てとれるか否か。直感。
  • 鮮やかさ:曲全体通した鮮明度。全域のっぺりしたサウンドは低くなりますし、特定の帯域に特化している場合でもクリアに聴こえるならポイントは高くなります。直感。
  • 装着感:装着してストレスを感じなければ高ポイント、10はカスタムIEM相当。
  • 遮音性:外音のシャットアウトレベルが高いほど高ポイント。装着感とある程度連動します。
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評価に関して

  • 各種ポイントは中間の5を基準。そこから良い部分を見出せれば加点、ずば抜けた特徴があるなら8〜9あたりを他のモデルの評価との兼ね合いで付けていきます。この価格帯だと7~8の「普通に良いね」くらいの評価がどうしても多くなってしまいます。どうしても限界はありますからこれ以上を求めるならばもっと上の予算を取らざるを得ません。
  • 最低1最大10ですが、よほどのことがない限り10という点数は付けません。上には上がいるので、10を付けてしまったらそれより良いものが出てきたらどうするのか悩ましいからです。実質9.5が最高レベル。
  • 音にもいろいろ性格があるため、万人にとってオール10やオール9.5になるような機種は絶対に存在しません。私が5~6程度の評価を付けたとしても、「さして特筆すべきポイントがない」と感じただけなので決してマイナス評価ではありません。
  • 我慢ならぬほど気になるようだったら5からマイナスしていきます。基本的に1~4.9がネガティブ評価。
  • 0.5刻みで付けますが、同じ点数でもこっちのモデルの方が優れていると感じる場合があります。そうした際は0.1刻みにして、重ねてみた時にどちらが優れているかが分かるようにします。(直感なので参考になる要素は少ないと思いますが。)
  • 複数のモデルを比較して同じポイントとなる項目が多くても類似する音になるとは限りません。音の画一化による評価は相当難しいため、その機種に魅力ある特色があれば中間5から加点していく方式を取ります。好みの音の基準は持ち合わせておりますが、ドストライクに入らなくとも良い音を奏でてくれる機種はたくさんありますので、プラスに働く特徴に関しては素直にポジティブな評価をしたいところ。
  • 試聴環境はAK380SS+SSAMPを採用。DAPで音も変化しますから、私がつけた評価と異なることがあって当たり前です。参考程度にとどめて下さい。それでは一挙見ていきましょう!
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定価が3万円以下のモデル

Final

E4000

旧final Audio Design、現finalのダイナミック一発モデル。国産、ダイナミック一発です。
特定の帯域を強調しない設計ですが、どちらかといえば中高域寄りのクリアなタイプ。後述するE5000とはキャラが全く異なるので音質面でE4000の上位機種というわけではありません。あちらの方がよりニュートラルでしっとりしている感じ。E4000は尖った部分はありませんが、明るく飛び跳ねたくなるようなサウンドです。とりわけライブ音源と相性抜群で、ステージの空気感を体感できます。この価格帯のイヤホンにしては楽器の分離感が強く、加えてボーカルも近めです。歌詞の有無やボーカル性別に関係なく幅広く使えそうです音場は狭目でライブではないジャズ音源、クラシック、オーケストラ系のサントラは別にE4000である必要性は感じませんでした。
下から装着するタイプで、特筆するほどではない装着感です。どちらかといえば悪い部類。遮音性は明らかにイマイチ。地下鉄内だと轟音にかき消されてイヤホンとしての役割を果たせない可能性があります。アナウンスが聞こえなくなる程上げると音漏れするでしょう。実際騒がしい店内で隣で試聴しているサウンドが漏れてきました。音が良いだけにもったいない。
通常価格は¥14,000前後。

E5000

E4000と同時に発売したモデル。こちらもダイナミックドライバー一発で特定の帯域を強調しない設計ですが、あちらの方が全体的に歯切れのいいサウンドでエネルギッシュ。対するE5000は音場が広く解像度も高いため、ロック系のライブ音源よりもオーケストラ系・ジャズ系の余韻を楽しむ音源と相性が良さそうです。スピード感のある曲調よりもゆったりしっとりと譜面記号を丁寧に演じてくれるアーティストを聴きたいところ。
メーカーがエージング推奨と公言しており、試聴機出したての頃と比べて低域が少しだけ増えたような気がします。これはE4000でも感じたことですが、そもそもの音圧は低いので、エージングにより低域の音圧増加の効果はあるのかなと思います。 ボーカルは遠からず近からず。E4000と比べると若干後ろに下がりますが、それよりもヴァイオリンやピアノ、吹奏楽といった管弦楽団が織り成す何層にもまたがるメロディの完成度の高さは一聴すべき。じっくり集中して聴くことが求められるので、遮音性が低いのが残念です。E4000同様に尖った部分はなく流し聴きするだけならば聴き疲れする要素はありませんが、音場、余韻といったパッと聴いてもイマイチ分かりにくい部分を感じ取るためには静寂環境でじっくり耳をすませなければならないので別の意味で疲れるかもしれません。
E4000にも通ずることですが、長時間聴いていても聴き疲れません。それよりも装着感と遮音性がイマイチなのでその部分で苛立ってしまいます。ただ価格を考えると音質面では文句のつけようがありません。
MMCXによるリケーブル可能。
通常価格は¥27,000前後。E4000と比べると倍くらい違いますが付属ケーブルがE5000の方がリッチなためです。

AZLA

HORIZON

AZLAは韓国の新興メーカー。悪名高きIRIVER社を抜けたエンジニアが手がけるブランドです。
HORIZONはAZLAの中では2作目で完成度としては初代より上です。いろいろ賛否はありますが、個人的にHORIZONは結構完成度は高いと思っています。
ドライバーはダイナミック一発。音質傾向としては高域控えめ、中低域寄り、音場は比較的広めです。低中域では分離感強く立体的に表現することができクラシック以外のどんなジャンルにも使えそうです。音単体で捉えるならば連続して音を出し続ける弦楽器やアコーディオンやオルガンに代表される鍵盤楽器は伸びやかではないけどロスなく力強く聴かせてくれるという点で面白い響き方をすると感じました。
逆に手数で攻めるパーカッション系は余韻を醸し出してくれないと凡庸になるのでドラムやコントラバスの音は特筆するものがありません。 装着感・遮音性については個人差はあれどユニバーサルイヤホンの中ではかなり高い水準。今回紹介するモデルの中では最高レベルです。
MMCXによるリケーブル可能。
通常価格は¥29,980。1年もすれば2万を切るか切らんかというところまで下がると思われますが、発売2ヶ月後のポタフェス特価では¥25,000で販売されていました。

qdc

NEPTUNE

中国深圳のプロミュージシャン向けのイヤモニを手がけるメーカーqdcのエントリーモデル。
ドライバーはシングルBA。 複数のBAドライバーを搭載したモデルも多数登場している中、あえてのシングルBAの設計です。というのも多数のBAドライバーを搭載することで再生周波数ごとに担当を切り分けられる、というのがマルチBAの特徴なんですが、複数のドライバーを積んでしまうと互いに周波数干渉をしてしまいます。その影響を小さくするために時間を掛けて研究するしかないのですが、複数ドライバーの直材費と研究費用が膨大にかかってしまうために完成したとしても高額になる傾向にあります。
採用されているドライバーは自社開発ではありませんが、ドライバーメーカーによるqdc特注仕様。1基で全帯域を担当するので、ボヤけた音になりがちという懸念事項を払拭させたドライバーをqdcのために作ってもらったそうです。
音質傾向は中高域寄りのクリアー系。能率高いのでアンプなども必要ありません。 低域はベースの主張が激しめですが中高域の邪魔することはありません。めちゃくちゃ強い低音ではありませんが必要十分、攻撃的な低域ではないので、あくまで中高域を際立たせる役割程度でしょうか。ボーカルは男性女性、マルチソロ関係なく、臨場感あふれる歌声を聴かせてくれ、リズミカルに唸るベースやバスドラを多用する曲との相性が良いように感じます。音源ジャンルとしてはロック、ポップス向き。音場は狭い方なので、小規模箱のライブハウスにいるようにアグレッシッブに聴かせてくれます。
通常価格は¥30,000。シングルBAにしては比較的高めですが、製造に手が込んでいるためです。もともとqdcはカスタムIEMメーカーで、1000 種類以上の異なる耳型を統計解析しqdc オリジナルの筐体形状を採用しています。NEPTUNEは筐体の形がユニバーサルイヤホンとして形が決まっている事を除けば、カスタムIEMとほぼ同じ製造工程で作られ、カスタムIEM を製造している高い技術力を持った職人によって作り出されているのです。
ちなみに国内500台限定でブラックエディションが販売されましたが、中古市場に溢れんばかりの在庫の山となっています。みんなが騒ぎ立てるから無試聴突撃したユーザーが多かったものと思われますが、あくまでこの価格帯のシングルBAにしては悪くない程度なので試聴は必須です。装着感は文句なしに良かったので2万を切ったら考えたいところ。

Ar:tio

RK01

Ar:tioは日本のブランドですが色々と謎に包まれています。手がけるモデルもこのRK01とCU-1の2種類しかない若いブランドです。知名度はまだまだ低いのですが、実力は十分ですので紹介します。
帯域バランス的には中高域が澄んでいるタイプ。特に高域が強く、金属筐体らしくシャープな音になるので、曲によっては刺さるものもあるでしょう。高域がキンキン鳴ってもいいという方に非常にオススメです。元々量の少ない低音は装着感が悪いのも相まって抜けていってしまっている感が否めませんが、うまくフィットされることができれば、クリアーな中高域と共に深みある低音を楽しめるものを思われます。
音場はさほど広くなく、余韻も少ないです。中高域が強く、音のリリースが速いためロック系にはもってこいですね。特にドラムのスピード感は一聴の価値アリ。
装着感はイマイチ、というか筐体の角が痛いです。筐体形状的には耳掛けを想定しているっぽいのですが、耳掛けでも下から装着しても私の耳には収まりませんでした。final Eシリーズ以上にフィット感がイマイチなので、かなり耳型を選ぶタイプと思います。
通常価格は¥29,000前後。ケーブル3本、Ar:tioの売りの半永久保証付きでこのお値段です。「半永久保証」とは、生産終了に至るまで自然故障限定の無償保証対応を回数に限りなく行う、というもの。通常使用において不具合が発生しても生産期間内であれば無償対応してくれますが、どのタイミングで生産終了を仕掛けるメーカーなのか不明なので過信は禁物。

Campfire Audio

COMET

少しイヤホンにこだわっている人ならば知っていると思われるメーカー、米国のCampfire Audioの最廉価モデル。
ドライバーはシングルBA、ステンレス筐体が採用されています。 耳掛けではなく素直に下から装着させる設計で、フィット感の良し悪しは個人差が大きいタイプ。個人的にはカナルがストレートなのでイヤーチップ次第では高い装着感と遮音性を得られましたが、カーブがキツい人は装着感も遮音性も悪いかもしれません。
音質は中低域はドライバーで調整し、高域はチューブレスにすることで伸びやかになっている印象を受けます。同メーカーのマルチBAのANDROMEDAのような煌びやかさがあるわけでも、ダイナミック型のVEGAのようなパワフルな低音を醸し出せるわけでもないので一聴しただけで分かる凄みはないかもしれませんが、BAでありながらベントを開けているおかげでダイナミックに近い低音を実現しているところが特徴で、それでいて中高域はBA特有のクリアな音色でハイブリッド型に近い音質だと感じました。
他のCampfireモデル同様MMCXにてリケーブル可能、通常価格は¥25,000前後です。

NOBLE AUDIO

EDC Velvet

米国NOBLE AUDIOのダイナミック一発モデル。このメーカーはカスタムIEMがメインで、ウィザードデザインと呼ばれるシェルオプションが美しいことで有名です。
音質は分かりやすくピラミッド型で低域>中域>高域です。めちゃくちゃ低域が多いという訳でもありませんが、ダイナミックのハイエンド帯のような質重視で量控えめっていうものではありません。ボーカルを主とする中域帯は一歩後ろに下がる印象ですが、量の多い低域に重ならず、分離感と一体感のバランス調整が上手。中低域をメインに捉えた帯域バランスであるのにボーカルと重ならずリズミカルに聴かせてくれ、苦手な楽器が少ないのが特徴。Velvetはジャズやクラシック等コンサートホールで聴くような広い音場は持っていませんが、ロックやメタル等の激しめな低音はもちろん、フォークギターやパーカッションといったアコースティックなローサウンドも気持ちよく分解して聴かせてくれるのがこの機種ならではで、ジャンルを選ばず使用できる優秀なモデルと思います。
こちらも耳掛けではなく下から装着するタイプ。遮音性は高めですが、リケーブルできないのでケーブルにテンションがかからないように工夫する必要があります。
通常価格は¥18,000前後。

Dynamic Motion

DM200H

Dynamic Motionは韓国のブランド。その名の通りダイナミック型が有名なブランド。
DM200HはダイナミックドライバーとBAドライバーを同軸でつなぎ込んだハイブリッドモデル。低域-中域-高域のつながりが自然で、特に中域にピークを持ってきており、迫力のある生々しい声が届きます。
ボーカルは男性より女性の方がマッチしており、高域はエレキギター、ピアノ、ヴァイオリン、鉄琴などなど、性格の異なる楽器が多数混在していても上手く分解して、伸びやかに聴かせてくれます。低域では、ベースやキックの存在感は十分、クドさはありません。低音好きには物足りないかもしれませんが、うなり響く重低音は出ません。
インピーダンスが中途半端に高いのですが、鳴らしにくいということもなくiPhone直挿しでも音量的に不自由することはなさそうで、音楽再生用のプレイヤーを所持していない方に対して自信を持ってオススメできる良機種です。
装着感は可もなく不可もなしのレベル。EDC Velvetと同じくリケーブル不可なので取り扱いには注意しましょう。
通常価格は¥30,000前後。定価は3万中盤ですが徐々に下がっています。

Ultimate Ears

UE900s

米国ULTIMATE EARSはおそらくプロ向けのイヤモニを最も多く製造している世界一の規模を誇るオーディオメーカー。
UE900sが初登場したのは2013年頃ですが、今でも愛用者が多いロングセラーモデル。
ドライバー構成はBAドライバーを4基搭載したマルチBA型。各ドライバーに帯域を割り振ることで情報量・解像感を高めているのが特徴。音自体の癖もなく比較的フラット、高域が刺さったり、低域がうるさいという場面が少ない扱いやすいモデルです。ボーカル域が近く、どんなジャンルでも鳴らしこめる万能さが売りで、このモデルでイヤホンスパイラルが完結した人も非常に多いです。
耳掛けタイプで筐体も小ぶりなので装着感は良好です。遮音性はイヤーピース次第ですが、屋外用途で問題のない水準は確保できています。
MMCXでリケーブル可能ですが、ULTIMATE EARSは同じモデルでも年度によって規格が変わるので注意が必要。汎用的なMMCXは使えませんのでケーブルを購入する際はよくチェックしましょう。
通常価格は¥28,000前後。

Klipsch

X10 Rev.1.2

米国Klipschの最も有名なモデルといえばX10。私が音質にこだわり始めて最初に購入したモデルです。後継機がX11、X12ときていますが、X10で十分すぎるほどで、今でもX10を愛用している人も多いでしょう。
音質としては中域に寄せたかまぼこタイプ。シングルBAながら解像感は高く、弦楽器のタッチを繊細に鳴らせます。低域は控えめなので、とにかくフラットでクリアな音を手軽に求めるならば間違いのない一品。
一昔前ならば自信を持っておすすめできたのですが、今は同じ価格帯に競合が多すぎるので一強ではなくなってしまったのが残念です。final E4000と若干似ているので聴き比べてみるとよいでしょう。
X10も下から装着するタイプですが、筐体が小さく奥まで押し込む必要があるので遮音性は高いです。
通常価格は¥20,000前後。(昔は1万円中盤くらいで売っていましたが復刻に伴い値上がりしています)

Oriolus

Finschi

Oriolusのハイブリッドイヤホン、3BA1DDのOriolus(初代、2nd、Reborn)、2BA1DDのForsteniの弟的モデルで1BA1DDというハイブリッドとしては最小ロッドの構成です。
音質傾向は兄貴分のOriolus各種やForsteniのダークなしっとりした高域が失われた代わりに低域の量感が増大し、ギターの音が気持ち良いチューニング。ジャンルとしてはポップス、ロックバンドがマッチします。ボーカルは一歩引いてしまいますが、装着感が非常に良いためストレスフリーで聴けるのがこの機種の素晴らしい部分です。
通常価格は2万円(+消費税)で、ボーカルよりも楽器の音を重視するリスニングチューンを求める方にぴったり。Oriolusはセールでも大きく安くはならないので、欲しい時が買い時でOK!

セール時に3万前後になるモデル

通常は3万円をオーバーしていますが、各量販店や専門店で開催されるセール、ポタフェスやヘッドホン祭りなどのイベント特価で割引がかかってお求め安くなるモデルも多数存在します。3万円代〜4万円くらいのモデルが手に取りやすくなるので、この価格帯でのオススメも紹介しましょう。

JH AUDIO

Billie Jean

米国JH AUDIOの最廉価モデル。ここのCEOは昔ULTIMATE EARSにいたんですが、価値観の相違から抜け出して自分のブランドを立ち上げたのは有名です。
通常JH AUDIOではBA8基やBA12基で20万以上が当たり前のモデルをいくつも手がけているのですが、このモデルは通常価格¥35,000前後とかなり抑えてきました。
Billie JeanはBA2基、低域と中高域をそれぞれ担当させ、全帯域の音に厚みを持たせつつも音導孔を広くすることで軽快なサウンドに仕上げています。音場は狭目なのですが、中域が明るくボーカル域+エレキギター+鍵盤の音が特に気持ち良いですね。低域も手を抜かず、中高域に寄せたモデルにありがちなシャリつき感が少なくあっさりしています。DD単機やハイブリッド型のような低音はエージング込でも期待できませんが、ノリ良く聴かせてくれるのが特徴。解像感もそれほど高いとは思いませんでしたが、良い意味でごまかして音の粗を感じ取りにくしています。ドライバーが少ないので横に広がる感覚は薄め。マストはきっちり押さえてベター(聴こえづらいところ)は余力があれば、という姿勢が見受けられ、最小設計で最大効果を発揮させることに成功していると感じました。
装着感は良好、ノズルがやや長いので個人差も大きいと思われます。筐体も小さくイヤーピースを押し込んでホールドさせるので遮音性も確保できています。JH AUDIOのユニバーサルイヤホンは装着感さえ合えば間違いないので試聴してみてご判断下さい。
また通常JH AUDIOでは独自の4pin端子を採用しているのですが、このモデルに関しては汎用2pinでリケーブル可能。
通常価格は¥35,000前後と若干予算オーバーです、個人的にかなりオススメです!

Oriolus

Forsteni

Oriolusは中国のiBassoというDAPメーカーのイヤホン部門。一作目のハイブリッドモデルOriolus(メーカー名と同じ)の廉価版として登場しました。
ドライバー構成はBA2基、DD1基の計3ドライバー。高域はシンバルの存在感に光るものがあり、ピアノやヴァイオリンなどの音をリリースした後のしんみりした余韻も感じられます。ボーカル域はライブハウスで目の前で歌ってくれるタイプというよりかは、コンサートホールの中列でゆったり聴かせてくれるタイプ。最前列ではないものの見通しよく音の余韻を楽しめます。機械的ではなく生々しいサウンドで、歌詞入りの曲を主として聴くのであれば無条件で推奨できます。 低域は量より質を重視するタイプ。沈み込むような良質な低音が気持ちよくくどさを感じません。唸るような音ではありませんが、そういうタイプのイヤホンは量でごまかしていることが多く長くは聴いていられません。
質の良い低音に定評のあるイヤホン全般に言えるのですが、低域が中高域に重ならずそれだけで音楽の輪郭を捉えさせてくれます。また他の音域の邪魔せず低域にフォーカスが当たると、どこかしら粗が目立ってしまうのですが、このForsteniでは粗と感じるような箇所はなく、そういう点で上手くチューニングされているなと思いました。
筐体はカスタムIEMもどきのアクリル筐体。サイズ感はありますが収まりは良好です。遮音性も高く、装着していてストレスは感じません。
通常価格は4万円代後半ですが、セール時に3万円代後半まで下がることもあります。中古でも3万円ちょいとリセールバリューもそこそこ高いのがGood。

SENNHEISER

E80S

ドイツのブランドSENNHEISERのミドルレンジイヤホン。IE80の後継機種でより万人受けするように設計されました。
低域はやや控えめに、中高域がふくよかになり、ドスドス響く低音を期待して試聴すると期待外れになるかもしれません。個人的には従来のIE80が低音過多だったのでこれくらいのバランスが非常に好み。癖の少ない音で、物足りなさがありますが、ダイヤルを回せば低域を増やせますのでその時の気分に応じて少し音を変えられるのが強みです。
装着感はまずまず、耳掛けタイプでイヤーピースによる調整次第では高い遮音性を確保できます。 通常価格は¥35,000前後、セールで¥30,000くらいまで下がる印象です。
またSENHEISERの偽物が多数出回っています。IE80、IE800は人気機種のため大量の偽物が出回っており、ヤフオクなどで販売されていて驚くほど安いものは十中八九贋物を疑うべきでしょう。IE80Sでも同じように見た目そっくりのものが出回るのは時間の問題なので、本物が欲しいのならば素直に正規販売店を通すのが確実です。無論、贋物覚悟で個人間取引する分には何も言いませんが、パッと見本物そっくりなので気づかずに贋物を本物と思って使い続けてしまうパターンも考えられます。店で試聴して、その音が気に入ったのなら素直に正規ルートで購入されることを推奨します。
ちなみに直輸入という手もありますが、現地価格でも£300を超えているので単純に円換算すると国内価格より数千円高くなります。わざわざ高い方を選ぶ必要性はありませんので欲しいならば国内正規品のセールを狙うとよいでしょう。

Jomo Audio

HAKA

シンガポールのイヤモニメーカー、Jomo Audio。カスタムIEMブランドとしては下は6万、上は20万代と価格レンジが広いメーカーです。私もSambaというBA8基搭載した超濃密サウンドのIEMを愛用しています。
HAKAはqdc NEPTUNEやKlipsch X10と同じくシングルBA。抵抗値が低いのでiPhoneでも余裕で鳴らせます。 音質傾向としては中低域寄りでボーカルの聴きやすいサウンド。Jomo Audioの音作りは独特な音場で中域が非常に濃いモデルが多いのですが、そのエッセンスがぎゅっと凝縮されています。上位機種と比べると音場は狭目ながらもみっちり音を詰め込んだJomoらしいサウンド。めちゃくちゃ量が出ているわけでもありませんし、クリアでもない異質な音なので、Neptuneのように一聴して高音質!って評価されにくいかもしれません。
装着感は良好。Oriolus Forsteniと同じく3Dプリンターで製造されたカスタム型筐体で、どんな耳型でもフィット感高めに作られています。ノズル部の材質には真鍮を使用しており、定期的なメンテが必要と思われます。イヤーチップで塞ぐとはいえ真鍮の特性上経年変化してしまいますので、たま〜に磨いてやるとよいでしょう。
ケーブル端子はフラット2pinでリケーブルが可能。
通常価格は¥45,000。シングルBAとしてはかなり割高の部類ですが、こちらもセール対象になると3万円代まで下がります。

SONY

MDR-EX1000

SONYのイヤホンは街中を歩いていてもよく目にします。ULTIMATE EARS UE900sと同じく5年以上のロングセラーモデル。
発売したのは2010年で、モデルチェンジの高速化が図られているイヤホン市場ではかなりレアケース。
音質としては中庸、刺さる部分は少なく、低域はしっかり出ており、ボーカルは近め。面白みに欠けますが、この価格帯としては解像感も高いし音場も広めで粗が見つかりにくい丁寧なサウンド。
耳掛けタイプですが、耳掛け部分の形状が独特かつ筐体が耳から突き出てしまうので装着感はイマイチ。遮音性も低いのですが、痛みは伴わないのでイヤーピース調整でギリギリなんとかなる水準です。
定価価格は5万円ジャストくらい、ただし発売からかなり時間が経っているのでeイヤホンやヨドバシなどでは3万円後半まで下がっています。

Etimotic Research

ER4XR

3万円代の名機といえば米国Etymotic Research社は外せません。 ER4XRはロングセラーモデルER4Rの後継機種で、シングルBA。
フラットで解像感が高く、わかりやすく中高域がクリアーなのでER4XRで大満足という方が非常に多い優秀なモデルです。最近のイヤホンって他メーカーと差別化を図るために技術面にこだわり、音質でも特定の帯域にクセを持たせるパターンが多いのですが、このモデルは真っ向勝負で高音質を目指しています。
ノズルが長いので装着感は個人差が大きいのですが、イヤーピースに三段フランジを採用しており、遮音性が極めて高いのが特徴。耳孔を隙間なく塞いでしまうので、屋外で使用する際は周囲環境を常に意識する必要がある程。
通常価格は3万円後半ですが、並行輸入で3万をギリギリ切るか切らないかといったところ、国内のセールでも3万円に近いところまで下がるので予算3万前後であれば最初の一機として非常にオススメできるモデルです。

まとめ

まだまだ3万円前後で高音質のモデルはあるのですが、まずはこの17モデルは聴き比べして頂きたい。音の好みは千差万別で低音が多い方が好みの人もいれば、低域は最低限で中高域のクリアさを求める人もいます。私にも好きな音質傾向がありますし、イヤホンにもそれぞれ特徴があるので、幅広いニーズに応えられるようなモデルを並べてみました。ランキング形式にしてもよかったのですが、それだと私が好きなイヤホンランキングになってしまうので、どれが一番良いかは各人の判断に任せます。ここにないモデルが志向という人もいるはずですし、「自分が好きと言ったら好き」と自信を持って言えるならばそれでOKと考えます。

ここ1年くらいアンダー3万円のモデルでオススメできる機種が増えてきたので、今後も新機種で良いのが出てきたら随時追加していこうと思います。それでは良いイヤホンライフを!

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