今回はVE6XControlの実機レビューです。
2016年12月に購入し、1年半以上以上メインで使用しています。
オーダーしたのは11月中旬、受け取ったのはクリスマス直後だったので
納期は1.5ヶ月以内とVision Earsにしては早かったことを覚えています。
通常納期の3ヶ月は特価による注文増加時で、通常は2ヶ月以内かもしれません。
外観
VE5はミラープレートを付けましたが、XCは構造的にミラー不可です。
味のあるウッドプレートとも迷いましたが、いい機会なのでアートワークオプションを試してみました。
アートワークはシングルカラーかマルチカラーの2種類があります。
シングルカラーは文字通り一色のみで、ロゴとか線形のイラストを入れてもらうのに適します。
ミラープレートやウッドプレートと合わせるのが綺麗です。
マルチカラーはイラストを忠実に落とし込むことができます。
事前に送る画像の解像度が悪いと残念な出来になるので注意が必要です。
私はマルチカラーを選択しました。
ギターが燃えているイラストで、店員さんの提案で色彩反転させてオーダー。
解像度は良いとは言えませんが、これくらいなら大丈夫と事前に確認しました。
背景はシンプルにブラックプレート、筐体はプレートに赤が入る方をオーシャンブルー、黄色が入る方をパープルトランスとしました。
手元に届くまではどんな外観になるか想像できませんでしたが、細部まで上手く落とし込まれており満足感は高いです。
筐体内部にはアクリルが充填され、汚れ・濁りは見当たりません。
(もともとが濃いめの色なので気にならないだけかもしれませんが)
装着感
キツすぎずユルすぎず良好なフィット感です。
今回も運良くリフィットする必要はありませんでした。
VE5で感じた奥に押し込むとノズルの先端が当たるということもありません。
横並びにすれば分かるのですが、シェル形状が違います。
VE5の方がカナルが長くずんぐりしておりノズル長さも異なります。
同じメーカー同じ耳型で形状が違うのは驚きました。
音質
スイッチを下げると低域を増強したX1、スイッチを上げるとX1時と比べてフラットなX2となります。
受け取りたての頃はスイッチによる変化が分かりにくく故障しているんじゃないかと思いましたが、時間の経過でイキイキと異なる音を出してくれるようになりました。
BAのエージングは懐疑的ですが、耳が馴染んだのでしょうか。
VE5にも共通して言えることで、Vision Earsの音作りは硬質で解像度が高いです。
ボワつくことがなく、不要なところを極限まで削り取ったようなサウンドが特徴的です。
X1はX2の解像度をそのままに、ベース・バスドラを主とした低域を強調してくれます。
X2はX1と比べると低域量が減りますが、その代わり楽器ごとの分離感が強まります。
スイッチダウンで低域がブワッと増して、スイッチアップで全体を見通せるサウンドに変わります。
何番煎じか分かりませんけども、ライブ会場の最前列で激しく聴くか、中列以後で全体の輪郭を捉えてじっくり聴くかといった違いです。
試聴機との比較
VE6XCの試聴機は「分かりにくい」というのが率直な感想です。
試聴機だけの出来ならVE5の方が完成度が高いです。
装着感によりますが「スイッチを下げたらほんの少し低域が増す 」程度しか感じられません。
逆にスイッチを上げると「変化した?低域減った?変わってなくない?」って思ってしまいます。
実機も確かにスイッチダウンで低域が増すだけなのですが、その違いは試聴機よりもはっきりと捉えることができます。
試聴機で「この程度の変化か」と思われていても、実機では完全なる別物になるのでご安心を。
VE5との比較
番手的には一つ違いですが、上位互換・下位互換の関係ではなく
メーカーとして目指す音作りの共通エッセンスを含んだ別物です。
どちらもリスニング機として最高峰で、他メーカーで似たような型番は存在しないと思います。
VE5は中高域に、VE6は中低域に焦点を当てており、
ボーカルを気持ちよく聞くなら中高域に焦点を当てたVE5を、
それに加えて楽器の分離感・ライブ感を求めるなら中低域に焦点を当てたVE6を選ばれるのが良いと思います。
傾向は同じですが、ボーカルを楽器の一部と捉えるか前面に出すかといった違いと言えるでしょうか。
リケーブル
標準ケーブルは、VE5の時と同じくブラックを選択しました。
1週間ほどしてEffect AudioのErosⅡ+に換装してこれまで使ってきました。
銅・銀のハイブリッドで全体強化系。
比較的お求め易い価格で、取り回しも良いので気に入っています。
他だと、同じくEffect AudioのThor SilverⅡとLeonidasが良さそう。
Thor SilverⅡは、限定のVE6 Limited Silver Editionで8Wireを試聴した際に
高域を増強しキラキラ感が増すと感じました。
通常の4Wireでもその傾向は変わりません。
Leonidasは音粒がキメ細やかで元々高い解像度を最大レベルまで持っていけそうな気がします。
私はリケーブルを検討する時、5万以上のモデルは存在しないものとして選択肢に入れていませんが
一度聴いてしまうと欲しくなります。
余力が持てればこれらも購入して試してみたいですね。
VE5の時と同じく、初期状態のコネクタは素手で外すのが困難な程ガチガチでした。
下手したらピンが折れて修理送りになり兼ねないほどで、最初の取り外しは要注意です。
総評
VE6XCは私の所持するオーディオ機器で最も高額なものです。
ロードバイクだとフレームやホイール単体で20万なんてザラですが、イヤホンで20万超えというのはさすがに勇気が要りました。
しかしながらスイッチモデルということは
「各13万で6ドラの異なる2機種をまとめ買いするのと同じで別に高くないんじゃね?」
と高額商品を購入する時にありがちな、自分を納得させる都合のいい理論を掲げてインプレッションを取り、オーダーに至るのでした。
非常に高額な買い物でしたが、これを買ってから他のカスタムIEM及びBAユニバ機に目移りしなくなった点に鑑みるとVE6こそが最良の選択だったと思っています。カスタムの中であれでもないこれでもないと沼に陥ってしまうといくら金があっても足りませんからね。据え置きも検討したのですが、置き場の問題、住環境の制約、金額が青天井と拘りしたらキリがないので、そこは割り切ってポータブル型に絞っています。
【追記】
他のモデルに目移りしなくなったと言いながらイヤホンが増え続けている現象に陥っています。
VE6XC入手後1年間は特に物欲も湧いてこなかったのですが、沼の深淵ここに極まれりって感じで気に入ったモデルがあれば買うし、そうじゃなかったら無理せず手持ちモデルで回していくスタンスでオーオタを続けていくのが健全ですよね。(全く健全じゃない)