完全ワイヤレスレビュー第三弾はMASTER&DYNAMICの"MW07"。
このモデル自体は昨年11月末に登場し、最近ルイ・ヴィトンとコラボした"HORIZON Earphones"で世間的にも話題になったモデルです。まぁヴィトンの方がロゴが加わっただけで9万くらい上乗せされちゃっていますが…
MW07が出た当初は完全ワイヤレスに興味がなかったので特に試聴することもなかったのですが、 しっかり聴き込んでみるとそのデザイン性の高さも相まってラグジュアリー感の高い仕上がりになっていることを実感できました。
価格的にはMOMENTUM True Wireless以上なので両方手に取ることはできませんが、その魅力を紐解いていきたいと思います。
MW07の仕様
- φ10mmカスタムベリリウムドライバー採用
- NFMI (Near-Field Magnetic Induction /近距離磁界誘導)ペアリング技術を搭載
- 防水規格IPX4
- Bluetooth® 4.2対応
- 対応コーデック AAC, Apt-X
- 最大再生時間3.5時間、付属ステンレスケースと合わせて9時間再生可能
- デザインは"Tortoise Shell"、"Steel Blue "、"Matte Black"の三色展開
- 特許出願中のシリコンFit Wingsによる高い装着性能を実現
- 通常保証2年
デザイン
ファッションアクセサリーでしばしば用いられるアセテート素材を採用して仕上げているのが特徴。
アセテートは高級メガネのフレームの材質として使われている素材で、1点1点に模様に違いが出るので同じ形状に仕上げたとしてもその文様は木材のように様々です。
オーディオ機器で使用される素材ではないものの、Woodデザインやカーボンファイバーなど一つとして同じデザインが存在しない素材が好まれる傾向にあるので、カスタムIEMのフェイスプレートオプションに採用するメーカーが出てくるかもしれませんね。
操作性
ペアリングは至ってシンプル。
- 右側のマルチファンクションボタン長押しで右イヤホン下にあるLEDランプが点滅します。
- この後手元デバイスのBluetooth設定から「MW07」を選択すればペアリング完了。
ペアリング接続後の操作は下記の通り。
- 右側1回クリックで再生/停止
- 右側2回クリックで曲送り
- 右側3回クリックで曲戻し
- 右側長押しでボイスアシスタント呼び出し
- 左側はボリューム+/-のみ
更にMW07は耳への付け外しを検知する光センサーを内蔵しており、筐体自身が「今装着しているな?外したな?」というのを判断します。イヤホンを外すと自動で音楽を停止、装着すると自動でリスタートするので、デバイス上で操作せずとも勝手に付いたり止めたりしてくれます。試聴時ではこのありがたみを享受できませんでしたが日常使いでは痒いところに手が届く機能として重宝することになりそう。
装着感
- 筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
- 装着していてストレスフリー、かつ遮音性も確保できている。
- 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
- 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
- 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。
見た目以上に装着感が良いです。完全ワイヤレスでは筐体を覆うシリコンカバーとイヤーピースによる二重のフィッティング調整が可能なモデルが多く、MW07でも"Fit Wings"と呼ばれるカバーが付属します。サイズは2段階しかないのでどちらも合わない可能性があるものの、小さい方がユニバーサルに対応しやすいかと思います。イヤーピースは好みですが、ウレタンならクリスタルチップス、シリコンならSednaEarFitが相性良好です。
音質
完全ワイヤレスに音質は求めないとは言ったものの、デザインだけで選択肢に入るほど甘い界隈ではありません。それなりに高額なので期待してしまうのがオーオタというもの。
早速聴いてみると完全ワイヤレスとしては及第点。ベリリウムダイナミックドライバーの効力はなんとも言い難いですが、比較的中高域寄りで弦楽器全般を聴くには悪くありません。
低域については曲の地盤を固めるベースの存在感が光ります。音圧が強いタイプなので、低音量でも質感の高い低域と共に歯切れの良いクリアーなボーカルを聴かせてくれるのはこのモデルならではと思います。量を求めるならば"TWZ-1000"や"MOMENTUM True Wireless"に及びませんが、スパーキーな高音を完全ワイヤレスで一番楽しめるのは"MW07"と感じました。
価格
定価で約4万円。これは"MOMENTUM True Wireless"より高く、ヴィトンモデルを除いて完全ワイヤレスとしては最も高額という位置付け。
"MW07"のテーマはラグジュアリー。アセテート素材を採用した筐体デザインはイヤホンのそれとは思えない完成度の高さです。完全ワイヤレスイヤホンとしての性能は当然クリアしているので、外観だけ良いというネガティブインプレッションが少ないのもその実力の高さの表れでしょう。