兵庫県姫路市に本社を置く"新喜皮革"をご存知ですか?
新喜皮革は、財布・名刺入れ・キーケース等の小物から鞄・靴を一貫して製造している国内唯一のタンナーです。
タンナーとは、動物から取れる皮を"革"にする加工技術を持つ会社で、
とりわけ馬の皮からコードバンを仕立てることのできるタンナーは世界で2社しか存在しません。
今回紹介する"新喜皮革"と、革靴オールデンで有名な"ホーウィン社"のみ。
The Warmthcrafts-Manufactureは、新喜皮革のブランドで
馬から取れるコードバン・ホースハイドのみを用いたレザー製品を扱っています。
読み方は"ウォームスクラフツマニュファクチャー"、長いのでTWMと略されます。
スモールレザーグッズの主たるモデルは製革工場と同敷地内にあるアトリエで素材から一気通貫で制作されたコードバンを用いた財布類です。また、バッグラインでは、内装に至るまでホースハイドを用いた、贅沢ながらも軽さが魅力のコレクションを展開し、ビジネスからカジュアルまで幅広いシーンにご提案しています。全てのモデルは兵庫県姫路の新喜皮革で生産されたコードバン・ホースハイドをメイン素材に、製品製造は全て日本国内で行われている、純国産レザーブランドです。「鞣し」から「デザイニング」そして「マニュファクチャー」まで一貫性を有するクリエイションとプロダクションを行い店舗を展開しているレザーブランドは世界に類を見ません。
(The Warmthcrafts-Manufactureホームページより)
このメーカーの名刺入れ・財布・鞄を多数所持し、愛用しておりますが、一度コードバンに手を出すとその独特な艶感の虜になってしまいます。
熟練の職人が丁寧さと思いやりを持って製作しており、国内ならば間違いなく最強のコードバンブランドでしょう。
名指しはしませんがポッと出のブランドとは年季が違いすぎます。
そもそもコードバンとは
こちら馬の原皮を一面に広げた形を表しています。
"コードバン"は馬の臀部にある緻密な繊維層を指し、一頭あたりわずか2枚しか取れません。
この繊維層は皮断面のほぼ中央部にあり、裏側から丁寧に面を削り取ることで初めて空気に触れさせられる特殊な皮です。
難しく書きましたが、馬の尻の皮とだけ知っておけばよいです。
新喜皮革では植物の渋(タンニン)を用いた古式のなめし製法を施し、貯蔵期間含め10ヶ月以上の年月を掛けて、用途に応じた革を製造しています。
表面のなめらかな肌触りと、優しさを含んだ光沢感が特徴で、希少価値と相まって 「革のダイヤモンド」と呼ばれています。
また同じ原皮から"ホースハイド"も取ることができます。
ホースハイドは馬の胴体部分を指し、しなやかで柔らかいことから強度の求められる靴や鞄に使われることが多いです。
取れる量がコードバンより多いので、馬革の中では安価です。
コードバンのタンニンなめしに加え、クロム化合物と反応させ伸縮性を強化するクロムなめしも使われます。
タンニンを含んでいないことからエイジングに期待できず、クロム=金属であることから金属アレルギーの方に反応してしまう恐れもあります。
ここから代表的な商品を一挙ご紹介します。
コードバンは染色が難しいため、メインとなるカラー(黒・紺...etc)と限定色(赤・ウイスキー...etc)に分かれます。
その時々のロットによっては赤色がなかったり、黒だらけだったり、目当てのカラーが常に在庫されているわけではないので、レアカラーは本当に早い者勝ちです。
迷っているうちに無くなってしまうので早めの決断をお勧めしますよ。
価格は2017年夏の参考価格で、年々需給バランスがおかしくなってきています。
過去7年間見てきた限り、毎年のように値上がりすることはあって安くなることは99%ありません。
財布
ロング(ファスナー付) ¥48,000
長財布でお札とコインを一まとめに管理されたい方はこちら。
写真は黒の蝋引きです。
ロング(ファスナー無) ¥48,000
私が現在使っているものです。購入直後は表面に蝋引き処理(上記ファスナー付参照)がなされていましたが、2週間ほど使っていくと掌の油で落ちていきます。
2年前に購入してからほぼ毎日触っています。
落としたり擦り付けたりで傷が目立ちますが、数ヶ月に一回、メンテナンスをしているので輝きを保てています。
いちいちATMに行くのも面倒なので、後述するカードサイズのコンパクトな財布がメインとなってしまい、こちらは手元に置いておく用のお札入れと化しています。
ちなみに表面黒の内側赤の組合せはレアカラーで、期間限定のフェアで勝ち取らないと入手できません。
三つ折り型 ¥58,000
長財布よりも高価格です。
縫製箇所が多く、製造に時間がかかるためでしょうか。
ホースハイド型(ファスナー付) ¥22,000〜
私が大学時代に初めて触れたTWM製品です。4年くらいハードに使っていました。
コードバンよりも安価とはいえ、高い縫製技術を持つ職人さんが一つ一つ仕上げているという点は変わりません。
丁寧で均一なスティッチが美しく、それなりに容量もあって、安くて、デザイン性も求める欲張りなメンズにぴったりの一品でしょう。
写真を見るとバレるのですが、メンテを一切していませんでした。
ボロボロになってしまったけど、私にとって思い出深い財布なので、一生取っておきたい。
カードケース型 ¥22,000
こちらも現在使っているもので、1年前に購入しました。
コンパクトでカードサイズの大きさ。カードだけだと15枚は入る程の幅です。
内部は真ん中で仕切られており、カード2枚分のポケットが両サイドに付いています。
もともとカードケースとして購入したのですが、メイン財布となりつつあります。
半分に使用頻度の高いカード、もう半分に現金(札数枚と小銭)を入れればちょっとしたお出かけに便利すぎます。
1000円札数枚忍ばせといたら日常生活は問題ありません。むしろ無駄遣いしなくていいかも。
ただまぁ私の場合は、かねてより欲しかったものが格安で見つかるとすぐに魔法のカードを出してしまうので、
衝動買いを確実に断つなら「カードは持ち歩かない」こうするしかないですね。
すいません、余談でした。
コインケース型 ¥20,000
こちらも現在使っているものです。本当にコインしか入りません。
容量的には40枚は入りそうなので、お札と小銭を完全に切り離して管理される方向けですね。
私は最初はそのような管理をしていたのですが、途中から面倒になって上記のカード・コイン兼用ケースを主として使っています。
カードケース
名刺入れにもなるサイズ感で、写真のような開いてすぐにとり出せる三角ポケット付の仕様もあります。
この三角が付いている方が珍しく、常に在庫は少ない状況です。
私もこのタイプのものを使っており、名刺交換の際は非常に重宝しています。
ベルト
在庫が特に少ないのはベルトです。
1m近くの原皮を直線で切る必要があるため
このサイズの皮が取れなければ製品として加工することができません。
85cm,90cmのサイズはよく見かけますが、財布やカードケース等の小物と比べると、生産数は限られてしまいます。
お値段はコードバン製¥32,000、ホースハイド製¥10,000です。
私は後者を使っています。コードバン製も目当てのカラーが入れば購入したいですね。
鞄
様々な鞄を取り揃えています。
iPadサイズのものから大型なボストンバックまで形状は色々。
ここでは私が使っているトートバッグとウエストバッグを紹介します。
トートバッグ ¥40,000〜
カラーはバーガンディ、コードバンの中でも定番色。
TWMではこの色はあまり出回らないようですが、限定フェアではよく見かけます。
容量は12L程度で普段使いにちょうどいい大きさです。一時期通勤に使っていました。
重量は650g強とこの大きさなら一般的でしょうか。
持った感じはもっと軽いように感じます。
内部はガチガチに縫製されているので、15インチサイズのパソコンも運べてしまいます。
ウエストバッグ ¥18,000〜
こちらはホースハイド製です。
ベルトの通し穴に引っ掛けてウエストポーチ風にしてもいいし、付属のライナーを取り付けてショルダーバッグとして運用してもいい一石二鳥なアイテムです。
容量は小さめですが、500mlペットボトルが横向きに入るサイズ感と言えば分かりやすいでしょうか。
財布・携帯・音楽プレイヤーは問題なく入るので、休日出かける時の必需品になっています。
靴
Make to Order(完全受注生産)で革靴も扱っていたりします。
最低でも10万以上、オーダーは中之島バンクス本店で受け付けています。
メンテナンス
コードバンの唯一の欠点は「水に弱い」ということです。
本当にめちゃくちゃ弱い。
小雨程度の掛かったかも分からない水分の付着でシミができてしまいます。
コードバンは革の中でも強度が高いので、裏を返せばメンテナンスさえ怠らなければ一生使えるということです。
ケア用品は各社出していますが、私はユニタスのレザーケアキットを愛用しています。
乾拭きして、ソフトクリームによる泡で汚れを浮かせ落として、プロテクションクリームを塗布して自然乾燥させるだけ。
ソフトクリームは水染みにも対応しており、根気強く泡立ててやれば復活できます。
プロテクションクリームは革の表面に薄い膜を作り、軽度な水滴・汗・油汚れから守ってくれます。
保護性は防水スプレーよりも高いので、この2本でメンテしておけば重度な裂傷でもない限り永遠に使用できます。
まとめ
自分がこんなにもTWM製品を持っているとは思いませんでした。
会社用として置いているのを含めると10点以上…
総額いくらか計算すると結構恐ろしいですね笑
所有する楽しみ、使う楽しみ、磨く楽しみ、コレクション性が高く様々な楽しみ方があります。
ネットでレビューを探してもあまり出てこないメーカーですので、
実物を手に取って「良い製品だな」と思ってもらえれば私も嬉しいです。
お店は、大阪中之島に旗艦店、阪急(梅田・東京・博多)、EMA(梅田)、大丸(京都)、あべのハルカスに分店があります。
お店ごとに置いている商品のカラーが異なるのと、お店ごとに随時イベント・フェアを行うので、
一箇所だけではなく各店巡ってみるとお目当てのものが見つかりやすいと思いますよ。
以上、私が愛して止まないThe Warmthcrafts-Manufactureでした。
【180520更新】
こちらではもう少し詳しくTWMの良いポイント、悪いポイントをまとめました。