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今年最後のレビューです。先日フジヤへ伺った際に話題のFAudio "Passion"を聴いてきました。

地味に製品版を聴くのは初めてで、最後に試聴したのは7月のポタフェスだったと記憶しております。ユニバーサルダイナミックモデルを一通り聴かせてもらったところ"Major"と"Passion"が好印象でした。(中間の"Minor"はあまり覚えておりません)

製品版の"Major"のサウンドクオリティも高く、同価格帯のライバル機と上手く住み分けができていると感じます。

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Passionの仕様概要

色々特色のあるモデルなのでさらっと箇条書きでまとめておきます。

  • 9mm径のメディカルファイバーダイナミックドライバー
  • トリプルアコースティックチャンバー
  • アルミニウム筐体と無酸素銅チューブ
  • Black Jacket Silver Plated Litz Cable付属
  • 独自のシリコンイヤーチップ

ダブルレイヤーダイナミックドライバー

独自に開発した9mm径のメディカルファイバーを使用したダイナミックドライバーを採用。

メディカルファイバーとは人間の肌の質感に近づけた人工繊維素材。本来は医療系素材でオーディオ機器に応用した製品は他にないとCEOが語っています。入力信号に対してリニアで鋭いレスポンスが得られ、かつ安価に入手できるのも見逃せません。この技術は"Major"や"Minor"でも採用されています。とりわけ Majorではメディカルファイバー素材の振動版とチタニウム振動版の2種類を張り合わせたダブルレイヤー構造となっており、「高剛性」「高減衰性」「軽量性」などのバランスを絶妙に調整した専用ドライバーが搭載されています。

アコースティックチャンバー

"Major"と同じく"Passion"には3つのアコースティックチャンバーが搭載されています。この内2つのチャンバーは、ハウジング容積を最適化し筐体内の空気の流れをコントロールすることで、ドライバーのポテンシャルを最大限引き出すよう配置されています。もう1つのチャンバーはサウンドチューブに採用されており、鼓膜へかかる空気圧を軽減し、低域解像感を向上させる上で欠かせないそう。

7月時点ではPassionにはサウンドチューブ内のチャンバーが設けられないダブルチャンバー方式だったのですが、設計変更が掛かった模様。中間レンジの"Minor"も3つのチャンバーが内蔵されているとのことです。

アルミニウム筐体とステンレス製サウンドチューブ

筐体材質はアルミニウム。

アルミニウム・ブロックからCNCマシンにより精密加工された堅牢なアルミニウム筐体を採用。

サウンドチューブには無酸素銅を採用し高い剛性を確保しています。上位のMajorで無酸素銅が使用されているのが相違点です。

Black Jacket Silver Plated Litz Cable

付属ケーブルは「Black Jacket Silver Plated Litz Cable」。

4本の銀メッキ銅導体から作られ、ジャケット(被覆)には優れた耐久性、耐酸化性をもつ医療用グレードのPVCジャケットが採用されしなやかで柔軟性のあるケーブルとなっています。

イヤホン側の端子は金メッキが施されたベリリウム銅製カスタム2pin。

独自のシリコンイヤーチップ

さらにイヤーチップも自社開発しており、単体販売も予定中。

ボーカルラインを強調するFA Vocalと楽器の音にフォーカスしたFA Instrumentの2種類が存在。

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装着感

  1. 筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
  2. 装着していてストレスフリー、かつ遮音性もそれなりに確保できている。
  3. 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
  4. 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
  5. 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。

フィット感は良好で筐体形状は"Major"とほぼ同じ。どんなモデルでもそうですがイヤーピースが合っていないと持ち前の迫力を発揮できません。以前"Major"を聴いた時は遮音性は悪くないと思いましたが、周囲の環境によって感じ方が変わってしまうため、多分地下鉄とか喧しいカフェ等では満足な遮音性は得られなさそうな気がします。こればかりは購入して実際使ってみなければ確かなことは言えないので推測にすぎませんが。イヤーピースはフォームタイプよりシリコンタイプの方が使いやすそうです。

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音質

使用DAPは無印AK380。

落ち着いたサウンドというより特定帯域のレスポンスに優れています。特筆すべきは中高域がシャープでクリア。シンバルやヴァイオリンの響き方や吹奏楽全般は伸びやかで正確です。

以前イベントで聴いた時は構造的に音抜けが良すぎるのか低域のパワーは相対的に抑えられているという所感を抱きました。

改めて製品版を聴いてみると、言われているほど低域が全く出ないというものではなく、無印AK380単騎では曲全体が軽くなりすぎて拍子抜けしましたが、専用AMP込だと若干低域が増してバランスが良くなりました。エージングでふくよかになったり、上流機器による味付け次第ではガラッと傾向を変えられる可能性すらあり、期待値がますます上がってしまったというのが率直なところです。ただし低音をそれほど求めない私でも若干の物足りなさを感じたので、レビューだけ見て購入する方は要注意かも。

また店内を彷徨っている時に、「Majorが良すぎてPassionはイマイチだった」という声が聞こえてきました。価格帯の全く違う同社のフラグシップ機と比べてもそりゃあ開発費をふんだんに使用した"Major"の方がいいに決まっているという話なので、どうせ比較するなら同じ価格帯の他メーカーのモデルにするとPassionの良さが見えてくるんじゃないかと私は思いましたね。

価格など

定価で¥39,000。

これを安いと捉えるかどうかは人それぞれですが、3万円前後という価格帯はハイエンドと比較すると手に取ってもらえる可能性が高く、最初に10万超のフラグシップから出して、次にエントリーモデルという流れは売り出し方としてはお上手です。

上記の通り、音質面では好みの分かれるタイプと判断したので無条件に勧められるものではないものの、一度聴いたらドハマりする可能性のあるピーキーなイヤホンです。試聴できる環境にあるならば一度聴いてみてほしい。

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