ダイナミックイヤホンに定評のあるシンガポールのDITA Audioからも新作が登場しました。前作Dreamで良くも悪くも話題を呼び、オーディオ機器にしては珍しくプレミアが付いてしまっています。新品、未開封品が滅多に出てこず、中古の美品が新品価格を上回っていた時期がありました。悲しくもそれを利用した詐欺師がヤフオクで現れてしまいましたが捕まったのでしょうかね。悪には裁きを、未だにのうのうと生きてるなら許せないことです。
Twinsの誕生
さて本題。もともとメーカーとしてはDreamを限定にする意図はなかったようで、チタン筐体の製造が非常に難しく、委託先から一方的に取引中止を申し入れられたと聞きます。Dreamの開発に長い年月を掛けていただけにDITAとしては泣く泣く生産中止をせざるを得なく、そこで培った技術を新モデルに注ぐ形で方針転換、「チタンがダメなら別の金属を利用すれば良いじゃん」ってことで出来上がったのがTwinsです。Twinsは2つのモデルの総称で、Fealty(ヒューティ)とFidelity(フィデリティ)の2種類のダイナミックイヤホンを指します。
すでにe☆イヤホンに試聴機が上がってきていますので早速試聴しに行きました。エージングもまだまだのおろし立てという印象でしたが、個人的にかなり気に入ったのでファーストインプレッションという形でまとめたいと思います。
外観仕様など
Fealtyはシルバーチックな筐体、Fidelityはブラック色の筐体で、外観上は色以外の違いは見当たりません。写真だと手前がFealty、奥がFidelity。
仕様的には航空宇宙グレードの"6061-T6アルミニウム・ボディ・シャーシ"と"PET"と"PEN"の混合素材を採用した振動版に、新開発のダイナミックドライバー"デュアル・マテリアル・コンポジット・ドライバー"を搭載。Fealty/Fidelity共に基本設計は同じですが、素材の混合比率を変更し、ドライバーのチューニングも手を加えることで2種類のサウンドを生み出すことに成功しました。
周波数特性は18–25,000Hz、インピーダンス16Ω、音圧レベル95dB。
技術的なことはややこしいので割愛しますが、両方ともアルミニウム筐体でチューニングも全く異なるシングルダイナミックと覚えておけばよいかと思います。
音質など
試聴環境はAK380CP+CPAMP、AK380SS+SSAMPの2種類。
一言でまとめると、Fealtyは低音控えめのすっきり目、FidelityはFealtyの低音増し.ver(それでも控えめ)
Fealtyは一聴した限りではかなりおとなしく、他のDドラ機種と比べても線が細く、中高域のクリアさは随一。低域ゴリゴリを好むオーディオクラスターには物足りないと思います。正直それだけだとDreamに勝るところがないのでとりあえず様子見。低域がもう少し増えればDreamの後継機種として注目されそうな感じ。プレイヤーがCPでもSSでも似たような印象でした。多分鳴らし込みで相当化けると思う。
FifelityはFealtyの後に聴いたのでわかりやすく低音が増しました。解像感はそのままに中低域がウォーミーになり、リスニング用途ならコチラ。プレイヤーCPだとベースがポンポンと弾け私好みの低音を楽しめ、SSだとそれが抑えられる代わりにハイハットが突き抜けるように見通しが良くなります。
コレ、スイッチ式なら間違いなく即購入していたところですが、真の実力は100〜200時間程鳴らしこまないと分かりません。エージング前の時点でどちらも印象が良かったので今後どう変化するかが楽しみです。
価格・発売日など
すでに公式発表されており5月25日発売、価格は両方とも定価で¥139,900a、e☆イヤホン価格で¥125,000が初動です。この日はAZLAの"HORIZON"やJH Audioの"Billie Jean"も発売するので代理店的には慌ただしいですね。
元となったDreamが20万弱だったことを考えるとまぁ納得できる定価ではあります。競合としてはbeyerdynamicの"XELENTO"、Campfire AudioのVEGA/ATLASあたりが同じ価格帯における選択肢になりそうですね。ただ最近ではFinalのE4000/E5000やNOBLEのEDC Velvetといったアンダー3万でかなり頑張っている機種が出てきているので、10万越えのユニバ機は下火傾向。
とはいえ欲しいもんは欲しいのが趣味なので、エージングによる試聴機を定点観測して判断したいと思います。
今回は加工に優れるアルミニウムを使用しているのでDreamのように突然生産中止、なんてことにはならないハズ。Answerもガツンと値下がりしていますから、秋のヘッドホン祭りあたりで結構良い特価品が投入されることを期待!