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1年半ほど前に購入したシンガポールのカスタムIEMブランド、Jomo Audioの旧フラグシップモデルSAMBAのフィット感がすこぶる悪くなってきました。このモデルは試聴機(ユニバ版)は金属ノズル、カスタム版はアクリルノズルなので、両者で音が全く違うということで有名だったんですが、現在ではカスタム版の音導管にチタンを採用しており、ユニバ版に近い材質で製造されています。逆にアクリル素材のSAMBAは二度と手に入らなくなってしまったので貴重といえば貴重なのですが。

最初に受け取った時も緩々で一度リフィット送りにしており、調整後もやや緩めのフィット感ながら心地の良い装着感だったのでOKしたのが間違いだったのかもしれません。もっとタイトにシェルを盛ってもらえばよかったと後悔。カスタムIEMなのに1年ちょいでフィットしなくなるとは思ってもいませんでした。

今更コストと時間を掛けてリフィットに出すのも面倒なので、自分でフィット感を高められないか試してみたいと思います。

手段は色々考えらえますが

  1. 自分でシェル割って作り直し
  2. 自分でUVレジンをシェルに盛って調整
  3. イヤーピースを付けられるようノズル付近を削る
  4. シェルにテープを貼り付けて厚み増し

とこんなところでしょうかね。

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1.自分でシェル割って作り直し

もはや自作です。趣味でやっている方もいらっしゃいますが作業レベルが高すぎるのとリスクが大きすぎるので私には到底無理。シェルを割った時点でメーカーによる修理は受けられなくなりますし、何より内部をいじることで元の音と同じになる保証もありません。

ちなみにJomo Audioでは自社モデルであれば3万円ほどでリシェルしてくれるので、コストと時間を掛けてもいいならこのサービスを使用します笑

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2.自分でUVレジンをシェルに盛って調整

DIYで世話になっている方も多いと思いますが、レジンアクセサリーを自作するのと同じ要領で、カスタムIEMの緩いポイントにレジンを塗り紫外線で固める手法。レジンキットは5000円以内で売っていますし、これなら私でもできそうです。リスクとしてはレジンの塗りすぎによって逆にキツくなってしまったり、レジンを盛るポイントを間違えれば削り取ることでしか調整できなくなることが挙げられますね。作業自体は簡単だと思いますが、「やらかした」時が怖い。

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3.イヤーピースを付けられるようノズル付近を削る

これに関してはカスタムIEMとして利用することを諦め、イヤーチップを取り付けられるようにノズル先端部分を削り取ってしまいます。レジンを盛って頑張って調整してもいずれ同じ問題は発生する可能性があることを考えると、最初からユニバ化してしまうというのは合理的のような気がします。リスクとして削りすぎによって修復不能レベルにまで陥る可能性がありますが、ノズル径の大きいイヤーピースが存在すれば削ることなくユニバ化できそうです。またカナルのカーブ具合によってはイヤーピースを装着することすらできない可能性もあります。

4.シェルにテープを貼り付けて厚み増し

もっとも作業レベルが低い方法は、簡単に剥がせるテープをシェルに貼り付けることでシェルの厚みを調整できます。レジン盛りの簡易版で、これなら盛るところを失敗しても本体側に不具合はありません。問題は見た目が悪くなるのとテープの粘着素材がシェルにへばりついてしまうことくらい。

結局どれでいくか

1は私の自作レベルでは不可能、4は見た目が気に食わない、2もレジンを盛ることで見た目に影響する可能性大、となると消去法で3になります。まずは装着可能なイヤーピースを探してみましょうか。

カスタムIEMのノズル径

メーカーによってノズル径は異なるので一概には言えませんが、そもそもイヤーピースを取り付けることを前提としていないので6~7mmくらいで作っているメーカーが多いと思います。今回対象のJomo SAMBAは計測してみるとだいたい7mmくらい。ユニバーサルイヤホンでこのノズル径のものを作っているメーカーは存在しないと思います。また私の耳型はカナル部がストレート気味なので、径が合えさえすれば取り付けられそうです。

イヤーチップメーカーも世に出回っているユニバーサルイヤホンに合う規格でしか作りませんから、「各社用意している最大径のものを無理やり装着してみる」方針でいってみましょう。

イヤーチップの選択肢

クリスタルチップス

普段愛用しているイヤーチップはクリスタルチップス。ウレタンながら低域をスポイルして高域を増強するタイプで遮音性も高められます。低域だけ強化するコンプライは嫌いなのですが、こちらのクリスタルチップスは本当に優秀でRE2000やDreamで大活躍しております。難点を挙げるとすれば耐久性がクソですぐ破れてしまう点でしょうか。シリコンと比べて寿命が極端に短いのがいただけません。

SpinFit

多種多様なサイズが用意されており、カナルのカーブに合わせてカサの部分の角度を調整してくれるイヤーチップです。耳の形状は個人差がありますが、カナルの奥までイヤーチップ先端が挿入される事で各帯域の損失を抑えるとともに、深いところまでイヤーチップで塞いでいるので遮音性の向上にも一躍かってくれますね。

スパイラルドット

JVCが手がけるイヤーチップ。カサの内側にドットを設けることで音質劣化の原因となる反射音を吸収してくれるというもの。スピンフィットはカナルの奥まで挿入できるよう高さが確保されていますが、こちらは耳を蓋するようなコンセプトで作られているのでカサの高さが低くなっていますね。

Final Eタイプ

国産のオーディオブランドFinalが手がけるイヤーチップ。何種類かありますが密閉度の高いEタイプが最も人気。基本的に自社製品に合わせて製造されているのでノズル径が少ないのが難点。カサのサイズは5サイズ展開しているのではめ込むことができれば装着間の調整がしやすいんですけどね〜

AZLA Sedna Earfit

発売したばかりの新製品。AZLA HORIZONの純正付属品ですが評判がめちゃくちゃ良いですね。今回は正規用途ではないので見送りますが、試聴用のイヤーピースが置かれたら試してみようと思います。

SpinFit購入

そんなわけでノズル径に最も近いSpinFitの最大型番CT155 Sサイズを購入!カスタムIEMに取り付けるならば「径が大きくてカサが小さい」のが向いているので、この型番をチョイスしました。

SAMBA側が7mmに対してSpinFitが5mmなので、2mmほど拡張しなければ入りません。ウレタンならビリっと破れてしまうでしょうが、弾力性に優れるシリコンならばあるいは、と思い試してみます。

SAMBAのノズルはストレート気味とはいえカナルに合わせてデコボコしているので、SpinFitもそれに沿ってググッと押し込んでやると

付きました!ノズル径2mmほど拡張されたためカサの部分とノズルが密着しています。これは理想的な形でカナルの先端部分のみ一回り大きくなったことと同義です。

左右ともSpinFitを押し込んだらユニバ機のような外観になりました。カサの部分がカナルにぴったりくっついているので本来のイヤーピースの役割は果たせませんがノズルを一回り大きくすることに成功。

装着感と音質に関して

SpinFitをつけたことで装着感が大幅に改善しました。元々私の耳型に合わせてシェルを作っているので、外耳はぴったりフィットしますしカナル部分がキツいほどに内側から密閉されているので遮音性も上がりました。隙間がなくなったことで外のノイズも気にならなくなりました。もっと痛いかと思いましたが、SpinFitで一回り大きくしたカナル径でややキツめのフィット感なので、やっぱり最初に出来上がった時点で緩かったんだな〜

音質面では低域がめちゃくちゃ増強されこれまでのSAMBAとは別物です。SpinFitを付ける前の方が低域の音抜けは良かったですが、耳元でベースがバンバン鳴ってくれます。ロックや女性ボーカルにすこぶるマッチしており、今の手持ち機種(VE5/VE6XC/Dream/RE2000)の中では最もアグレッシヴな唯一無二の音を奏でてくれます。モニター系でもないのにDAPやケーブルによる音の変化が分かりやすいので、新作DAPなどの試聴でも重宝しそう。その分DAPや線材の相性をもろに受けるものと思いますが、今後はSAMBAと最も相性の良いプレイヤー探し、というテーマでポタオーディオを楽しむのも一興かもしれません。

まとめ

そんなわけで無理やりイヤーピースが刺さったのでカスタムIEM側に手を加えることなく装着感を高めることができました。カナルが太すぎで嵌らなかったら本格的にリューターで削って改造しようとも考えましたが、そこまでやる必要がなくて一安心です。

時間とお金をかけてリフィットに出しても、追々同じ問題に直面するわけですし、それならばイヤーチップで調整する方が楽だと思いませんか?カナルのカーブが急ならそもそもイヤーピースが取り付けられない可能性もありますが、数年前に購入したカスタムIEMの装着感が合わなくなりお蔵入りになってしまったという方は試してみる価値大アリですよ!

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