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色んなメーカーを試してみたいという方が多いと思いますが、私は逆で一つ手に取ってみて気に入ったら別のものも試してみたくなります。

国産のコードバンタンナーである"The Warmthcrafts Manufacture"もその一つで、大学生の頃にこのメーカーを知り、今でも気に入ったカラーのものが出たら買い足してしまうほど。当記事では8年使い続けているユーザー目線で、このブランドの良さ悪さをまとめたいと思います。

"The Warmthcrafts Manufacture" 概要

コードバンとは

馬の尻の皮をまとめてコードバンと呼びます。革のダイヤモンドと呼ばれ、世界三大レザーの一角を成します。他二つはブライドルレザー(牛)、イタリアンレザー(ヌメ革)です。革と言っても色々ありますから、ブランド関係なく気に入ったものを好きなだけ愛でればOK。

コードバンであるメリットは極めて高い耐久性ときっちり手入れすれば永遠の輝きを放ってくれる一生物になるオリジナルの育て方できるところ。逆に弱点は水分・油分に弱すぎるところ。革自体が水に弱いですが、コードバンは水滴レベルの雫がつくだけで痕が残ってしまったりします。その成分が真皮に到達してしまったら落とすのはプロでも困難です。このデメリットがあるからこそ、雨にさらされる可能性の高い革靴やバッグではあまり採用されず、水気を回避しやすい財布やキーケース等の小物でよく使われています。

タンナーとは

タンナーとは、動物から取れる皮を”革”にする加工技術を持つ会社。馬の皮からコードバンを仕立てることのできるタンナーは世界で2社しか存在しません。"The Warmthcrafts Manufacture"擁する”新喜皮革”と革靴オールデンで有名なアメリカ”ホーウィン社”のみ。

"ホーウィン社"と比べると

"The Warmthcrafts Manufacture"はブランド名、つまり商標ですので正式な社名ではありません。タンナーとしての会社名は兵庫県姫路市に本社を構える"新喜皮革"。よくホーウィン社と比べられますが、最初からきめ細やかなのがホーウィン、エイジングの変化を楽しむなら新喜皮革と個人的に思っています。どちらを選んでも間違いのないタンナーで、いずれも高い技術力を有しています。

"The Warmthcrafts Manufacture"の良いところ

高品質なコードバン

加工品の品質はその業者次第ですが、素材は間違いなく一級品と断言できます。上記の通りコードバンを作れるタンナーは世界で二社しか存在しません。カーフのタンナーはもっとたくさんありますが、コードバンタンナーがここまで少ないのは高いなめし技術が求められるんですよね。他の革のなめし技術に精通しているからと言って簡単に参入できるものではありません。卸先からも高い品質を求められますし、シェアが大きすぎる寡占市場であることから、必然的に素材の品質レベルは最高峰となるわけです。

質に対するコストパフォーマンスの高さ

タンナー直営のブランドですので、なめし終わった革の中からとりわけ特に状態の良い素材を確保することが可能です。革製品を加工するメーカーは多数ありますが、こちらはタンナーから素材を仕入れるところから始まりますので、良い素材を取りそろえようと思ったら、タンナーが納得する価格を積む必要がありマス。

レアものが存在

コードバンの定番カラーといえばブラック、ヴァーガンディ(深いワインレッド)、ネイビーなどが主流。どれも濃い色ですが、淡い色はそれに適する皮でないとノイズが入ってしまうのです。例えばオレンジと肌色の中間くらいのナチュラルカラーやウイスキーカラーは傷や斑点が存在しない皮でないと浮き出てしまいます。そういう皮が取れなければそのようなレアカラーの小物は作れませんし、仮に製造できたとしても極小の限定販売となり、争奪戦になることは明白ですよね。希少価値と所有欲の面で、通常ラインとは異なる限定ラインが存在するのも、"The Warmthcrafts Manufacture"の特徴です。

多種多様なイベント

限定カラーを多数用意できたタイミングが多いのですが、年に数回、テーマに沿ったフェア、イベントを開催しています。青系のカラーラインナップを充実させたターコイズフェアからコードバンとお花を加工するフラワーアレンジメントなどなどクラフト系のイベントもやっています。お店に行ったら事前情報をもらえるので時々覗いてみるといいですよ!

メンテナンス相談

店員さんも同ブランドを愛用しているのでコードバンのメンテ知識は豊富です。財布やベルトを使っているスタッフが多い印象で、新品のロウ引き財布と数年使った状態の財布を実物で比較することができ購入前の参考になります。購入後店に持っていってチラつかせていると、簡単に汚れ落としした後スプレー掛けまで手短に行ってくれるフォローの良さが気に入っています。

"The Warmthcrafts Manufacture"の「うーん…」と思うところ

原価高騰による値上げの嵐

ここ数年、毎年のように値上がりしています。農耕馬が少なくなり素材が取れなくなってきているとのことですが、どこまで真か消費者の立場では何とも言えません。8年前は18,000くらいの財布が今では25,000くらいになっていますから、この間1.5倍くらいには値上がっている状況です。

それでも価格に対する質の高さは他のブランドと比較しても際立つものがありますし十分お得なのですが、今後も値上がり傾向は続いていくと思われます。

品質的には劣化したとか縫製が甘くなったとかそういうことはありません。むしろレベルが上がってきているので、値上がりもやむなし、ですね。ただ鞄に関しては昔の方がよかったと感じています。

在庫薄

年々コードバンという素材が注目されているので需要が供給を上回る状況が続いています。通常ラインはそれなりに作られていますが、一本もののベルトやレアカラーの財布や鞄は極端に在庫が少なく、年に数本しか入ってこないこともザラです。特にベルトは長さを確保する必要があります。通常は複数のパーツをジョイントする三本仕立のタイプはよく見かけますが、ジョイント面(継ぎ目)のない一本物は大きいコードバンが取れないことには製造できないので非常に貴重です。私は一本物ベルトを2本所持していますが、そのような大きいコードバンが原皮として取れた時点で次のベルトの入荷日を教えてもらいこっそり確保してもらいました。ある程度店員さんと仲良くなればそこらへんは融通が効くようになるのがヘビーユーザーとしてはありがたい限り。

際立って悪い部分は皆無!

値上がりと品薄という2点は需給的に仕方のないことなので、どんなブランドでもあり得ることだと思います。多少値上がりしても品質面で向上していたらいいんです。

コードバンの革小物なら断然Warmthcrafts一択!よく比較されるココ○イスターは革質はいいかもしれませんが個人的には縫製レベルはイマイチと感じましたね。

本社が兵庫県なので近畿エリアにショップが多いので、それ以外の地域にお住いの方は中々手に取って見る機会が少ないかもしれません。(東京・博多の阪急メンズ館にpop-up storeが常設されています)

規模的には中之島のフラグシップストアと阿倍野ハルカス店が大きいです。大阪を訪れた際にはぜひ覗いてみてくださいね!

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