現状候補のカスタムIEMは、EMPIRE EARS Legend X/Nemesis、Vision Ears VE8、64 Audio A12t、Fitear EST、そしてULTIMATE EARS UE LIVE。カスタムIEMの検討レビューとしてはこれで最後の機種になるはず(多分…)
LIVEは試聴してみるまでは「独自のケーブル端子をコロコロ変えやがって、、、」くらいにしか思っていませんでしたが、聴いてみてビックリ。
「音めっちゃええやん…」
端子がどうとかそんなんどうでもよくなりました。音が好みでなければテキトーにまとめるつもりだったのに、Legend X、A12tに並ぶレベルで好きな音を醸し出してくれたので真面目にレビューします。
UE LIVE 概要
- UE LIVEは、2018年5月に登場した新しいフラグシップモデル。
- BA*6基、DD*1基、TTPドライバー*1基の計8ドライバーのハイブリッドモデル。TTPドライバーとはUltimate EarsのTrue Tone DriverをアップグレードしたTrue Tone Plusと呼ばれる独自ドライバー。低域、中低域、中高域、高域の4Wayクロスオーバー。
- 再生周波数帯域 5Hz〜22kHz、入力感度 105dB/1kHz、インピーダンス 10Ω/1kHz、音量は取りやすいタイプ。
- ケーブル端子はEstronと共同開発したIPXコネクションシステム。
- 付属するケーブルもEstronと共同開発したUE SuperBax。
- 音質傾向はその名の通りLIVE音源との相性が極めてヤバい。一度聴いたら病みつきになります。
- 当初はカスタムモデルオンリーでしたが、2018年9月21日にユニバーサルモデルが登場。
IPXコネクションシステムとUE SuperBax
ケーブル端子はメーカーによって様々ですが、汎用2pin、MMCXを採用しているメーカーが大半で、独自コネクタを採用しているFitearやWESTONも2pin、MMCXを少し弄っているいる程度のもの。あまり規格が増えると煩雑になるので個人的には埋め込み2pinで統一してほしいのですが、そもそもカスタムIEMの本来の用途、メーカーの本業は「プロミュージシャン向け」です。ステージでガンガン動き回るアーティストの耳を保護することが目的なので、音質はもとより耐久性が重要になってきます。
そこでIPXコネクションシステム。音質向上は当然として、「防水性と耐ツアー性に優れたケーブルシステム」を搭載することがUEの至上命題だったそうです。ケーブルメーカーのEstronとの共同開発で実現したコネクションシステムで、従来の2pinやMMCXと比べて耐汗性、耐候性を兼ね備え、アーティストの厳しいライブ環境に耐え得ることができます。我々一般用途ではここまで強力なコネクションシステムは不要ですが、ケーブル自体の耐久性を極めて高いので多少なりともその恩恵に与れることでしょう。
付属するケーブルはUE SuperBax。低インピーダンスの銀メッキ銅リッツ線ケーブルで、4kgのバーベルを持ち上げられる強度を誇ります。IP67の防水防塵規格に対応している上、細くて軽量なので装着時の煩わしさはあまり感じません。
音質
試聴環境、DAPはAK380SS+SSAMP、音楽のジャンルはロック、エレクトロ、ポップス、ゲームサントラです。
めちゃくちゃ好みだったので評価点はかなり高めにつけました。その名の通りLIVE音源との相性が良すぎる他、ライブ音源でなくともロックバンド系の収録音源も問題ありません。
全帯域クッキリハッキリのモニター型ですが、抑揚のないのっぺらぼうのようなサウンドはなく聴いてて楽しくなるタイプ。64 Audio A12tとほんの少し傾向が似ていますが、UE LIVEの方が低域寄り、ボーカル域が前面に来ています。A12tの方が低域控えめで中高域の分離感が高いため、クリアさで言えばA12tに譲るものの、中域に限った情報量はUE LIVEの方が濃密です。
低域はHEIR AUDIO 8.0.AIやFender FXA11のような重低音とは比較になりませんが、UE LIVEも十分低音のパンチ力は強めです。この手のモニターイヤホンにしては珍しく、ベースの主張が激しく心地よい低域のうねりを感じさせてくれます。他に際立つ楽器はエレキとハイハット。ベース含めたこの3つのパートは存在感が前面に出てきて、ロック形態のサウンドは聴いていてよだれが出てきそう。電子音楽も良いのですが、ズッシリした低域に高域にキレが加わるので音量に注意が必要です。音の波に溺れるとはまさにUE LIVEにぴったりの広告文句です。
音場はLegend Xほどではありませんが広め、さすがはステージモニターといったところ。各パートの音がきめ細かくそれでいて迫力も兼ね備えており、Jomo Audio Sambaを全方向に濃縮したような感じ。もしUE LIVEを入手することになったらSambaの出番が激減してしまいそうになるのが考えものです。
価格
国内代理店はeイヤホンですが通常のオーダー価格は¥279,800。Legend XやA12tよりも高額なので、それらより優先して欲しいかと言われると何とも言えません。ぶっちゃけ高すぎますが、私の耳はLIVEに犯されてしまっているので値段など関係ないと断言します。ちなみに現地価格は$2199と国内よりも若干安め。直販したら諸々の経費でトントンになる絶妙な価格設定ですね。
ULTIMATE EARSもブラックフライデー対象になるはずなので、11月下旬は10~15%ほど安くなります。10%OFFで25万ちょい、あと一息!
まとめ 96/100
- 低域よりも中高域重視、低域は量より質、スピード感高めにカッチリ固めに鳴らしてほしい。
- ボーカルも楽器の一部、全楽器の音をバラして聴きたい、解像感高めは正義。
- クラシックやジャズを聴くわけではないので音場も重要ではないが余韻は欲しい、ライブ音源を気持ちよく聴きたい。
Aに関しては迫力十分ですが、硬質感は抑えめで音の性質としてはウェット。みずみずしいサウンドで音粒の残影がはっきりします。この項目はVE6XC基準なので少しだけ減点(-4) B,Cに関しては文句のつけようがありません。LIVE音源を聴くために生まれたような機種で情報量が多く、躍動感があるのが素晴らしいです。
私の好みの音にマッチする機種でいずれは我が物にしたいと思っていますが、懸念事項としては手持ちのSambaとかぶる部分が多く、Legend XやA12tのような唯一無二感がありません。一本に絞るなら確実に優先順位が落ちてしまいます。またケーブル端子はやっぱり埋め込み2pinが良く、手持ちのEffect Audioケーブル5種類を試せないのも悔やまれます。UE LIVEだけのためにケーブル側の端子を変えるわけにもいきませんし、その辺りの互換性が取れないのが痛手ですね。
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