新製品ラッシュですがqdcからミドルレンジ価格帯で3機種同時に新モデルが登場しました。
最近は3万円前後のモデルが激熱で、お値段以上のモデルはそれほど多くはなくとも普段使いには十分だったり、装着感が良すぎて中途半端に音だけ良い機種よりも評価が高くなったり、とにかく店に行くたびに新製品が出てきているので飽きがこない美味しいレンジです。
それ以上の価格帯となると10万以上のハイエンドダイナミックや目新しい技術を搭載したフラグシップモデルに目が移ってしまうので、どうしても5桁万円の後半の機種って手に取るタイミングを逃すんですよね。
4~10万くらいのモデルであれば、AKG N5005が拡張性が高そうで最も気になりますが、それ以外にこれぞ!っていう機種があり新規発掘のためにまずはqdcから手に取ってみた次第です。
ちょうど新製品が3機種出てきたタイミングだったので、まずは今回登場した3SH SE/4SS SE/5SH SEについて比較したいと思います。
3SH SE/4SS SE/5SH SEの特長
もともと3SH/4SSというSEが付かないモデルは2016年秋頃から存在していました。5SHは初物なので3SH SEや4SS SEのように末尾にSEが付きません。
SEの意味するところは謎ですが、仕様も同等みたいですし、おそらくフェイスプレートが雲母に変わっただけと思われます。
qdcのモデルってNEPTUNEやANOLE V6、GEMINIみたいに固有名詞のモデルは分かりやすいのですが
数字とアルファベットの組合せで表記されるモデルはイマイチ印象に残らず、どれがどのモデルだったっけとなりがちなのが難点です。
一応数字がドライバー数、その後につくSHがリスニングモデルでSSがリファレンスモデルであることを示しているのですが
聴いてみてこれ本当にモニター系?と言いたくなるようなモデルもあるのであまりあてになりません。
装着感
- カスタムIEM相当、筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
- カスタムレベルとまでいかないが装着していてストレスフリー、かつ遮音性も確保できている。
- 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
- 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
- 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。
さすがqdcとも言うべきフィット感で個人的にはユニバーサルならば最高レベルのビルドクオリティと思っています。いずれも似たような形状で3SH SEと4SS SEはほぼ同等、サイズもNEPTUNEと変わりません。
5SH SEだけドライバー数の兼ね合いで一回り大きくなっていますが、ノズルが長いので装着感としては下のモデルと大差ありません。
音質
3SH SE
Low*1-Mid/High*2の3BA2Way構成。
中高域がクリアーで低域は抑えめ。シングルBAのNeptuneと似ており更に解像感を高めたような印象。
今回登場した3機種の中で最もインピーダンスが高い82Ω、ヘッドホン並みですがAK第三世代AMPのハイゲインならば55/150くらいの音量で楽勝です。これより下げると低域が全然出ませんし、上げすぎると大して綺麗でもない低域が主張してくるので、好みの帯域バランスを見つけるところから始める必要があるかもしれません。そういう意味では少し扱いにくいかも。
4SS SE
Low/Low-Mid*1- Mid*1-Mid-High/High*2の4BA3Way構成。
リファレンスモデルと謳われておりこちらも中域以上が非常にクリアー。3SH SEと比較するとインピーダンスが16Ωに下がるため、少しの音量変化で帯域バランスが大きく崩れるなどの苦労はなさそうです。
ベースやキックは全く存在感が出ておらず、代わりにハイハットとギター(エレキ、アコギ問わず)がシャリシャリしするため、ダメな人は本当にダメかもしれません。私も低域が少なすぎて物足りませんでした。低域の量感とボーカルのエネルギッシュさは3SH SEが勝りますが、音場はこちらの方が広いためボーカルは遠のく代わりに各パートの分離感は強調されますね。高域が強いモデルって全体的に音がブライトになる傾向にありますが、今回聴いた3機種の中では最もその色が強く、モニター系に位置付けられてはいますが、これも他2機種と同じくリスニングモデルっぽい雰囲気が醸し出されています。
5SH SE
Low/Low-Mid*2-Mid*1-Mid-High/High*2の5BA3Way構成、4SS SEに低域担当のBAドライバーを1つ追加しております。
3SH SEと同じくリスニングモデルですがドライバーが2基増えました。3モデルの中ではドライバー構成通りドンシャリ感強め。ベースが心地いいのは5SHですが、同時にシンバルのシャキシャキは4SS譲り、ボーカルのキレの良さは3SH譲りの万能モデルです。3つ横並びで聴いたらこのモデルが一番と判断する人が多いのも納得です。
イヤーピースが合っていなかったので詳細なレビューは"マイイヤピ"を持参の上じっくり聴いてから書かせて頂きますが、今回聴いた3つのモデルの中では一番好印象でした。次いで3SH SE、合わなかったのは4SS SE。
いずれもクール系のサウンドで、低域がボワつくモデルに飽きたならば試聴してみる価値ありと思います。性質の異なる硬質サウンドが3種類もあればどれか一つくらい気に入るモデルが見つかるでしょう。
価格
3SH SEは¥67,000、SEが付かない旧モデルは¥64,000
4SS SEは¥100,000、SEが付かない旧モデルは¥97,000
5SHは¥118,000、こちらは旧モデルが存在しないためSEが型番に含まれておりませんが他2モデルと同じくフェイスプレートに雲母が使用されています。
一番上の5SHならばRE800JやXELENTO、Twinsなどのシングルダイナミック、Oriolus RebornやN5005などのハイブリッド、マルチBAならばW60やWitch Girl Sなども選択肢に入ってきます。全体的にやや高めなのは否めませんが、ライバル機種がひしめき合っている群雄割拠なプライスレンジでも十分やっていけるモデルと感じました。