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SONY最新ウォークマン ZX300の音質レビュー -オーディオビギナーからマニアまでオススメできる良機種-

10月8日(土)発売確定となった新型ウォークマンZX300。先の記事では全体的な仕様や使用感に焦点を当てたが、肝心な音質傾向の話をしなかった。今回改めてソニーストアにてがっつりと試聴してきたので、当記事では音質傾向についてレビューしたい。

イヤホンはDITA Dreamを使用した。消去法でこれしか残らなかったからだ。他の手持ち機種はVE5(VisionEars)、VE6XC(同左)、Samba(JomoAudio)、Brass(DITA)、いずれも一癖も二癖もあるリスニングモデルなので、上流側の特徴を捉えられるリファレンス的要素を持ち合わせているDreamが適していると感じた。

Dreamは感度が低いが70/120程度で十分な音量を取れる。どんな音楽プレイヤーも音量を上げれば音自体の出力は上がるのだが、音量を上げる前と同等の帯域バランスで音を拡大できるかどうかは別問題。出力の弱いプレイヤーだと音量を高く取ると歪みが発生する箇所が出てくるものである。その点WMシリーズやZX300は破綻なく相似的に出力強化できている。イヤホンに関して言えば音量を取れないという心配は無用。ヘッドホンならば密閉型は問題ないだろうが、beyerdynamicやSENNHEISERのようなインピーダンスの高い開放型ヘッドホンは素直にアンプを挟むべきだ。

まずは3.5mmアンバランスから。ソニーらしいと言えばそれまでであるが、カッチリクリアなサウンドと言うよりかは暖かみのあるサウンド。ベースラインやエレキギター、ボーカルといった線の太い音は近い位置ではっきり聴かせてくれるものの、シンバルを軽くタッチしたような儚い音やピアノやヴァイオリンの余韻など線の細い音は拾いきれない。私がそう感じるのはモニター系で味付けが少ないAK380を普段使いしている弊害であり、価格帯を考えればZX300のアンバランスが悪いと言えるものではないだろう。普段iPhoneiPod、ウォークマン初級モデルを使用していてのステップアップであれば、確実に音質を向上できるのは間違いない。

特筆すべきは4.4mmバランス。アンバランスで感じた暖かみのある音はそのままに情報量がブワッと増える。ギミチョコ(BABYMETAL)だとメタル系の音の切れ味が増す。ピアノやハイハットなどアコースティックな楽器を多用するジャズ調の音はベールを剥がしたかのように澄み渡り広く見通せる空間を持ち合わせる。ロック系”ホログラム(NICO Touches the Walls)”だと、野太いベースラインが際立ち、かつボワつきも抑えられている。”残酷な天使のテーゼ(高橋洋子)”ではボーカル帯を際立たせるようにバックミュージックが下支えし気持ちの良い中高域を楽しめる。

全体通して柔らかくボーカル帯に艶感があり麗しい。WMシリーズだと1Aよりも1Zの特徴を踏襲している。1Aは深みのある低域、ボーカル域はパワフルで高域も含めてパンチ力がある。音のリリースが速く、スッと消え行くので1Zと比べて硬質なサウンドに聴こえる。1Zは1Aの上位グレードであるが筐体と一部内部パーツが異なる。無酸素銅を使用するだけでこうも音が変わるのかと驚きを隠せないのだが、1Aに比べて空間表現に優れ、余韻を残す方向性で1Aと差別化が図られている。日常的によく聴くジャンルがクラシックやジャズであれば、1Zがマッチするだろうし、ポッスプやロック、メタル、EDMといった勢いを重要視するようなジャンルであれば1Aの方が向いているだろう。価格的には1Zは1Aの約3倍もの開きがあるが、1Zを買うことができたとしてもあえて1Aを取る人がいても全然おかしくないし、逆に空間表現に特化させることを第一に考えるなら迷わず1Zを選択するだろう。

そして今回のZX300は付けられている型番的にWMシリーズではなくZX100の後継機種という立ち位置であるが、サイドボタンの配置を見てもWMシリーズの設計思想を受け継いでいることが伺える。1Aよりも1Zの空間表現力と余韻を残すところが似通っており、1Zは手が出ないけど近い音が欲しいなと思われるのであれば非常にオススメできるモデルである。単純に音質だけで比較するなら1Zが上手であるが、サイズ感と重量では圧倒的にZX300が優位に立つので、ポータブルオーディオとは何ぞやと考えるならば3倍も軽いZX300の方が使いやすい。ちなみに4.4mmバランスを使用しないのであればこの機種を手にする意味はほとんどない。UIがWMシリーズ同等のタッチパネルで使いやすいが、恩恵に与するとすればそれだけだ。バランス接続に興味がないならば旧モデルのZX100やZX2を選んだ方が良い。将来的にバランス接続試してみるかも…という方は思い切ってZX300を検討することを推奨するし、予算によってはWMシリーズや他メーカーの同価格帯の機種と合わせて比較すると良い。

そもそもの話、iPhoneやAndroid等スマホで音楽環境を整えている層からすれば、音楽プレイヤーやイヤホンに何十万も投じるのは金銭感覚が吹っ飛んでいると思うだろうし、「バランス接続って何?意味あるの?」という実直な声も聞こえてきそうだ。少なくともこれまで音楽鑑賞の環境に拘ってこなかった層に「バランス接続にすると情報量が増えて見通しよく聞けるから!」とオススメしたところで、WM1A→10万、WM1Z→30万と知った瞬間に解散することは明白である。

これまでもZX300以下の価格でバランス端子を搭載した機種は、”Cayin N5″だったり”IRIVER AK70″だったり、選択肢としては存在していたのだが、一般知名度は極僅かで広く浸透するものではなかった。そうした中、国内で圧倒的な知名度を誇るSONYがバランス端子を搭載した機種を”頑張れば手が出そうな価格で”市場に投じたことは大きな意味のあることで、バランス接続という言葉がどこまで広がるのかが見ものである。

またZX300が発売する同タイミングでIRIVER社から”AK70 MKⅡ”なるモデルが登場することが決まっている。こちらは旧モデル同様2.5mmバランス端子を備えており第二世代のフラグシップAK240と同じDACチップを搭載していることで話題になっている。価格帯はZX300より1万強高いが、ミドルレンジプレイヤーでの直接的なライバルとなることは間違いないだろう。まだ発売が決まったとの告知だけで試聴は一部のイベントに限られているが、近いうちに全国の量販店で試聴機が設置されるので、どちらがどうなのかといった比較は改めて行いたい。

SONYの音作りは確かに原曲そのままのモニター系ではなく、中低音にフォーカスを当てた設計が成されている。この部分がどうしてもダメな人もいるだろうが、音の好みは千差万別、たまたまSONYの設計思想に合わなかっただけの話なのだから気にすることはない。逆も然りなのだから、やれSONYの音がどうだIRIVERの音がどうだと突っかかるのではなく好みの範疇で済ませればいい。

ZX300に話を戻すと、正直言って6万ちょいでこの使い勝手の良さならばサブ機として入手したい。欲を言えばZX100同様128GBにしてほしかったところだが、そこは目を瞑ろう。 先述した通り、私は現在AK380+AMP(450g弱)を普段使いしている。家でじっくり腰を据えて鑑賞を楽しむならば問題ないのだが、重量感のある機種を持ち歩くのは身体的にも精神的にも疲れてしまう。いっそのこと持ち出しは控えて携帯性に優れたものをメインに使うということを考えると、10万も20万も掛けて重いプレイヤーを持ち歩く意味とは?というところから考えさせられるし悩ましいところだ。AK380の音が気に入っているので手放すことはないのだが、自身の生活スタイルに合った機器環境を整えるのもオーディオという趣味の楽しみ方の一つなので、ZX300の様にトータルバランスに優れた機種が出てくるのはとても喜ばしく思っている。

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