また魅力的なイヤホンが出てきました。
国内でリリースされる前から個人輸入している方の中で話題になった機種で、中国のqdcのシングルBA型NEPTUNE(ネプチューン)です。
私も2万半ばくらいで入手できるなら試そうかと思いましたが、めちゃくちゃ安いわけでもないし様子見していたら国内で取り扱うようになってラッキーでした。とりあえず周りの購入後レビューは一切見ず、事前情報なしで聴いてきたのでレビューします。
身近なところに試聴機があるのは本当にありがたい限り。
qdcとは
中国深圳市市に拠点を持つイヤモニメーカーです。軍や警察向けのアプリケーションやオーディオデバイスの研究を行うこと10年以上、中国本土ではプロ向けIEMのシェア率は70%を誇っています。昨年より同社のBA8ドライバーカスタムIEM-8CH/8CS/8CLを皮切りに、下位モデルも含めたラインナップが増えてきており日本国内での認知度が上がり調子。
輸入代理店はMixwaveが担当しています。が、タオパオや他海外代理店を通して購入することのできますので、少しでも英語の読み書きができるのであれば別ルートを試してみるのも面白いと思います。
メーカーホームページはこちら→http://music.qdc.com/
デフォルトでは中国語ですが英語に切り替え可能です。
NEPTUNE スペック
BA1基を搭載したシンプル設計
多数のBAドライバーを搭載することで再生周波数ごとに担当を切り分けられる、というのがマルチBAの特徴なんですが、複数のドライバーを積んでしまうと互いに周波数干渉をしてしまいます。その影響を小さくするために時間を掛けて研究するしかないのですが、複数ドライバーを積むためのコストと研究費用が膨大にかかってしまうために完成したとしても高額になる傾向にあります。
ここ数年でユニバーサルイヤホンの価格はメキメキと高騰していったのは、新規参入もしやすさと各メーカーのマルチBA志向が主要因なんですが、qdcはより多くの人に楽しんでもらうよう、原材料費を抑えたシングルBAドライバーをずっと開発していたのです。
採用されているドライバーは自社製造ではありませんが、ドライバーメーカーによるqdc特注仕様。1基で全帯域を担当するので、ボヤけた音になりがちという懸念事項を払拭させたドライバーをqdcのために作ってもらったそうです。
数値的なスペックは、再生周波数帯域は20〜20000Hz、入力感度は106dB、インピーダンスは10ΩとどんなDAPでも比較的鳴らしやすい方です。フィット感が良く音が抜けることなくダイレクトに鼓膜に伝わるので音量をそれほど上げなくても十分でした。
ケーブル端子は2pinですが、qdc独自規格でリケーブルの際は要注意です。
価格
本国価格で1280元、日本円換算で22,000円程度。
国内定価は30,000円ジャストで、値段だけならば送料を加えても並行輸入の方が安くなります。
やや割高だけど安心を買うか、自己責任だけど数千円安く輸入するかの選択でしょうか。
装着感と遮音性
もともとqdcはカスタムIEMメーカーで、1000 種類以上の異なる耳型を統計解析しqdc オリジナルの筐体形状を採用しています。NEPTUNEは筐体の形がユニバーサルイヤホンとして形が決まっている事を除けば、カスタムIEM とほぼ同じ製造工程で作られ、カスタムIEM を製造している高い技術力を持った職人によって作り出されます。
個人差はありますけど、少なくとも私の耳にはカスタムIEM並みの遮音性と装着感でした。イヤーチップで内側から栓をするので遮音性に関してはカスタム以上かも。
普段使っているVision Ears VE6XCやJomo Audio SambaよりNEPTUNEの方が遮音性が良かったので、やっぱりカスタム=高遮音性にはならんよな〜と改めて思いました。
音質など
試聴環境はAK380+AMP、曲はTHE BACK HORN、チャットモンチー、水樹奈々、DAFT PANK、Portar Robinson、zedd、Skrillexなどなどロック、EDMをメインで聴いています。
低域は重々しい。ベースの主張が激しめだが中域が埋もれることは少ない。めちゃくちゃ強い低音ではないけど十分。Campfire Audio VEGAやHeir Audio HeirIEM8.0など攻撃的な低域ではないので、あくまで中高域を際立たせる役割程度でしょうか。
ボーカルは綺麗目近め。能率高め、装着感が良いので、出力を求められるDreamやRE2000等と比べて音量比75%くらいの出力で十分。アンプいらずで音量取れるのは特大メリットでDAPを選ばず使えます。
良い意味でシングルBAとは思えない。が、10万クラスの機種と比べると流石に音場は狭め。
ボーカルものは男性女性、マルチソロ関係なく、臨場感あふれる歌声を聴かせてくれ、リズミカルに唸るベースやバスドラを多用する曲との相性が良いように感じる。
味付けは強めに感じた。中域強め、ロック、ポップス向き。音場は狭め、小規模箱のライブハウスでアグレッシッブに聴かせてくれる。
1BAにしては筐体が大きいので中身がスカスカ、特に詰め物もなくドライバーがどのように固定されているかが気になりました。
まとめ-買いか否か-
買いです。5万以下の価格帯で、一回目の試聴時点で欲しいと思ったのはOriolus Forsteni以来です。
一つとして同じ文様のものがないフェイスプレートも所有欲を掻き立てられますね。
音質以上に装着感と遮音性が気に入りましたので、耳栓代わりに一つあれば何かと使えそう。これほどまでに装着感の良さ、遮音性の高さを満たしているものは少ないので、音の好みは各々あるでしょうが、イヤーチップの調整次第でかなり多くの人の耳に合うのは間違いないと思います。
国内正規品は12月発売分の初回入荷分が完売となっていますが、今の時期、本国から直購入してもそれなりに時間が掛かることが想定されます。まぁ完売といっても数絞っての品薄商法である可能性の方が高いくらいですから、販売店の「品薄!大人気!急げ!」アピールに踊らされすぎないように気をつけます。