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台湾のHUM(ハム)と言えば香港のカスタムIEMメーカーで、2016年頃から日本では注目されるようになりました。コンデンサーを採用した世界初のイヤホンPristine-Referenceに魅了された人も多いのではないでしょうか。かなり独特な音を奏でるので好き嫌いが分かれやすいですが、私はこのメーカーの音作りの姿勢と音質傾向は大好きです。

さてそんなHUMから新作が登場しました。名をDolores(ドロレス)といいまして、発売自体は昨年12月からカスタム版をオーダーできましたが、ユニバ版が先月七夕に発売したばかりです。(七夕と言えばFitear ESTも同じタイミングでしたね)

個人的にPristine-Referenceが安くなったらオーダーしようと各種セールをスタンバっていたのですが、ヘッドホン祭特価では先手を打てず、eイヤ特価ではアクセスできずで無念の敗退、結局熱が冷めてしまい、今はいいかなといった状況です笑

そんなHUMの新作Doroles、じっくり試聴してきたのでレビューしたいと思います。

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Dorolesのスペック

BA3基2way構成で、Pristine-Referenceで採用されたコンデンサーは使用されておりません。eイヤホンのサイトページには2BA2Wayと記載されていますが、実物を確認したら1+2で3基搭載されていることを確認。内部配線がかなりごつくて、ドライバーの他にも銅線ボイスコイルみたいなユニットも内蔵されています。正確には銅線を巻いたインダクターと思いますが、この辺りの説明がないのでよく分かりません笑

この価格帯になるとマルチBAが当たり前、それもドライバーを8つ以上積むのも当然みたいな風潮がありますが、

回路設計に拘り、少ないドライバーでも歪みのない位相バランスを調整することでBA3基でも他メーカーの多ドラモデルの情報量に負けないサウンドを作り出すことに成功したとのことです。

付属ケーブルとしてHUM自社開発のTara(MMCX/3.5mm)が付属します。普通に買うと1万円くらいで、Effect Audio AresIIのような取り回し良好な銅線ケーブルが最初から付いているのはありがたいところ。他には純正のペリカンケースと各種イヤーピースが付いてきますが、この価格帯の機種としては標準的なセット内容ですね。

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装着感

  1. カスタムIEM相当、筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
  2. カスタムレベルとまでいかないが装着していてストレスフリー、かつ遮音性も確保できている。
  3. 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
  4. 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
  5. 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。

このファクターに関してはPristine-Reference譲りというか、シェルの形状をよく研究されており良好なフィット感です。シェルが厚めでそれなりに大きいので耳に合わない人も多いかもしれませんが、個人的にはストレスフリー、Aランク寄りのBってところですね。

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音質

試聴環境はAK380SS+SSAMP、音源はfripSide、UVERworld、KOTOKO、Kalafina、ラルク、ゼルダの伝説サントラなど。

帯域バランスとしては、中域に寄せたカマボコ型でボーカルも近め。エレキギターがギュルルンと濃密なサウンドは光るものがあります。このDoloresはコンデンサーを使用していませんが、Pristine-Referenceにも通ずる濃密さが感じられます。あちらの方が癖が強いと言うか、万人受けしそうなのは断然Dorolesの方ですね。

ギター演者の指遣いが目に映りそうな表現力は唯一無二とも言うことができそうです。分離感はさほど強くはありませんが、情報量は非常に多く、シンプルに解像感が高くDAP側のスペックに関係なく分かりやすく音質向上を図れそうな感じ。

低域はあっさりしているものの量は出ており不満はありませんでした。ベースの主張は控えめで、低域の下支えはあまり感じられません。同期のESTほどクリアさはなく、弦楽器の音を太くした感じ。ピアノみたいな繊細で線の細い音はあんまり印象に残りません。同じく繊細さが求められるアコースティックギターのアルペジオやヴァイオリンのスカタートやフラジオレットなど弦楽器全般は得意でその奏法を際立たせる表現力を有していると思います。

価格

定価で19万円ジャストです。

カスタム版だと20万になるのでユニバーサルで装着感が問題ないならば少しでも安い方を取りたくなりますね。

納期も標準で3~4ヶ月掛かるので極力HUMのカスタムは避けたいところです。

スペックで価格は決まらないとは言ってもBA3基で20万は高すぎると言わざるを得ません。音質的にも20万出せるならばLegend Xや直販A12t、N8などに手が届きますし、ユニバでもCampfire Audioの各モデル、JH AudioのRoxanne以下モデル、RE2000、Dream、XELENTOなどのハイエンドダイナミックが買えてしまう価格帯でライバルが多すぎます。これがせめて10万前半ならばFitear ESTとの対比で結構評判になったと思うのですがちょっとやりすぎな感は否めません。音は悪くはありませんが、比較対象が多すぎるため損をしそうですね。

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