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RoxanneやLaylaなどのハイエンドモデルが鉄板と思われているJH AUDIOですが、5桁万円のモデルもROSIE(値下がり後)、Michelleに続く3作目Billie Jeanのレビューをまとめます。高けりゃいいというものではありませんし、一般的な感覚でこれらのモデルも高価な部類だと思いますので、少し音に拘ってみたいユーザーーを取り込むにはBillie Jeanくらいまで下げないと、そもそも試聴すらしてもらえないのかもしれません。(3万でも高いって言われるのはさておき)

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JH AUDIO × Astell&Kernとは

ここ5年くらいでポータブルオーディオ市場の価格をぶっ壊してきた凶悪なタッグです。主に後者が諸悪の根源ですが、市場全体の技術の底上げの一翼を担ってきた面もあるので、個人的には100%否定するつもりはありません。

JH AUDIOの創始者であるJerry Harvey氏がUltimate Earsを抜けて新たに立ち上げたブランドで主にプロユースのカスタムIEMを手がけています。一般オーダーを世界的に受け付けており、数少ない直販可能メーカーの一つ。

Astell&Kernは韓国のDAPメーカーIRIVERの商標で、JH AUDIOに限らず様々オーディオブランドとコラボしては価格をつり上げることで有名。DAP自体の性能及び音質、デザイン、操作性は高いレベルで兼ね備えているので、マーケティング面、保証面がクソでもなんやかんだで愛用者が多いメーカーです。

JH AUDIOではカスタムIEMを主に製造してしており、軒並み10万後半のモデルがメイン。IRIVERはそのカスタムIEMのユニバモデルを自社DAPと相性が良くなるように若干チューニングを変えたものがコラボモデルというわけです。

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Billie Jeanのスペック

独自開発のBA2基搭載、Low-Mid*1、High*1の2Way。上位モデル同様、freqphaseテクノロジーにより2ドライバー構成の時間軸と各帯域の位相を正確に制御。独自のチューブウェイブガイドにより各ドライバーの信号を0.01ミリ秒以内に到達させ、歪みのない音を耳に届けることが可能。カスタムIEMならばカナルに完全にフィットさせることでチューブの長さを調整することでドライバーごとの信号伝達速度を調整できそうですが、ユニバモデルでどこまで効果があるかは何とも言えないと思っています。実際音が良けりゃ何でもいいので、freqphaseの効果が感じられるかどうかは人それぞれ異なるでしょう。

これまでのJH AUDIOモデルと明確に異なるのは、イヤホン側のケーブル端子にカスタム2pin採用。独自4pinは使いにくくて仕方がないので、汎用性の高い2pinに変更された点は個人的にはポジティブ評価です。

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装着感・遮音性

  1. 筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
  2. 装着していてストレスフリー、かつ遮音性も確保できている。
  3. 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
  4. 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
  5. 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。

ステムが若干長いのが気になりますが、装着感は悪くありません。RoxanneやLayla、LOLAといった上位モデルは内蔵されているドライバーが10基以上のため筐体サイズが大きくなり、結果耳から出っ張ってしまうものが多かったのですが、このBillie JeanはBA2基と少ないので筐体サイズをコンパクトにまとめています。

装着感さえ問題なければ高い遮音性を確保できます。イヤーピースである程度調整できるタイプなので多少耳に合わずともなんとかなる可能性はあるでしょうが。ステムが長くカナルにノズルを押し込む必要があるため、その辺りで痛みを伴ったら使用は控えた方がいいかもしれません。

個人的には中高域の見通しが良くなるスピンフィットかSednaEarfitが装着感及び音質面でも相性が良かったです。付属ケーブルが柔らかく、耳掛けしてもケーブルが暴れないのでこの辺りはよく考えられていると感心。特にリケーブルする必要もなさそうです。

Michelleに比べて30%小さくなっており、カナル形状がストレート気味の耳ならばフィット感は良好と思います。カーブがキツいほど合わなくなる可能性大。私の耳もノズルが少し長いのが気になったくらいで収まり自体は悪くはありません。イヤーピースを耳奥へ押し込んでホールドさせる必要があるので遮音性は高めです。

音質

試聴DAPはAK380SS+SSAMP

JH AUDIOというと濃密な低音と有り余る情報量が売りな機種が多いイメージですが、Billie Jeanはそれらとは異なるキャラクターです。ドライバー数を大きく削り、BA2基にしては全帯域の音に厚みを持たせつつも音導孔を広くすることで軽快なサウンドに仕上がっています。

シャキッと明るい中域に加え、比較的伸びやかな高域も相まってボーカル域+エレキギター+鍵盤の音が特に気持ち良いですね。低域も手を抜かず、中高域に寄せたモデルにありがちなシャリつき感が少なくあっさりしています。DD単機やハイブリッド型のような低音は期待できませんが、ノリ良く聴かせてくれる不思議なバランスです。

解像感もそれほど高いとは思いませんでしたが、良い意味でごまかして音の粗を感じ取りにくしていますね。ドライバーが少ないので横に広がる感覚は薄め。音場は狭いのですが、目立つ部分を丁寧に押さえているので粗は感じられません。マストはきっちり押さえてベター(聴こえづらいところ)は余力があれば、という姿勢が見受けられ、最小設計で最大効果を発揮させることに成功していると感じました。

エレキとアコーディオンのサウンドはヨダレ物ですが、ヴァイオリンや吹奏楽のような繊細な音は苦手です。 ハイエンド級と比べるのは酷ですが、分離感・解像感ともに特筆する部分がありません。すでに複数の上位モデルを所持しているマニアが追加購入する意義は薄いかも。決して悪いモデルではありませんが、リスニング系として用いるならば手持ち機種と丸被りで、私の場合は仮に入手したとしても出番がなくなりそう。もちろん同じ価格帯のモデルと比較すると大きく劣っているわけではないので、これから音質に拘ろうとしている方は有力な選択肢になり得るのではないでしょうか。

価格

ファースト価格は¥35,980。

参考までに定価6万弱のMichelleは3万中盤、定価14万のRosieは7万を切って生産終了、定価24万のRoxanneも12万程度と半値程度まで落ちました。

欲しければ即買いでいいのですが、後々ガツンと下がると分かっているものはどうしても待ちの姿勢になってしまいます。ちなみに発売から半年経った今ではセールで3万ちょいってところ。当該コラボ品にしては比較的価格を維持していますね。

姉貴分のDianaについて

最近Billie Jeanに続く新しいコラボモデルが発表されました。

それがコチラのDiana(ダイアナ)。

https://www.phileweb.com/news/d-av/201811/28/45788.html

マイケル・ジャクソンの"Dirty Diana"が由来。

ドライバー構成は独自開発のBA3基。高域・中域・低域に各1基の3Way構成で他モデル同様"freqphase テクノロジー"を採用。筐体材質はアルミニウムでカスタムIEMのようなフィット感と遮音性を実現したらしい。

見た感じノズルが長めなのでカナルのカーブがキツいタイプの耳にはどう頑張っても収まらない気がしますが、Roxanneや Laylaなどのハイエンドに比べるとマシかも。

発売日は12月13日、価格は約95,000。スペックで決まるわけじゃないのですが、本国価格$699ですら高すぎるのに日本はさらに割高です。10万出すなら競合がワンサカいる中でかなり強気な設定と思いますが、聴く前から全否定するのもアレなんでデモ機をチェックしてからレビューしたいと思います。

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