今月は東京遠征が多かったので、これまで気になっていた高級バスとやらに一通り乗ってみました。
もともと夜行バス移動に慣れており、価格の安さから多用しているのですが、新幹線と比べても快適性に重きを置いたハイグレードなシートはアリなんじゃないの?っていう結論に至りました。
私は大阪-東京間500km程度の移動であれば夜行バスでオッケーと言い切る人種なんですが、あえての高級路線ドリームスリーパー、ドリームルリエ、ラクシア(通常シート及びエコノミー)に実際に乗りましたので、シートの特徴、車内設備、価格、予約方法、用途などの観点から比較したいと思います。
目次
ドリームスリーパー
特徴
片道2万円で物議を醸した夜行バスです。移動するホテルとまでは言えませんが、完全個室でプライベート範囲が他のバスや新幹線以上の広さを有し、ゼログラビティシートによる安定性もグッド、一度乗れば価格に納得できます。
車内設備として特筆すべきは「完全個室」という点がまず挙げられるでしょうか。土足厳禁で車内に入ると一見「これはバスなんだよな?」と錯覚に陥ります。完全個室なので左右前後を気にする必要がありませんし、前後2mくらいスペースがあるので狭い思いをすることもありません。
シートはゼログラビティを謳ったもので人間工学的に最も快眠となる姿勢似なるような角度で設計されています。実際運営会社推奨の角度で一夜を過ごしたわけですが、翌朝の疲れがほぼなかったのが驚きでした。
価格帯
大阪-東京間で通常¥20,000、割引でも¥18,000。
広島-東京間では常時¥23,500です。
予約方法
「発車オ〜ライネット」で予約できます。
大阪発着はこちら→https://secure.j-bus.co.jp/hon/Route/Highway?gpcd=130075&rocd=0001
広島発着はこちら→https://secure.j-bus.co.jp/hon/Route/Highway?gpcd=340005&rocd=0002
用途
大阪-東京間で通常片道2万円。これは新幹線グリーン席を上回る運賃設定です。早得を利用すればもう少し安くなりますが、新幹線も安くなるので価格差は縮まりません。同じ価格を出すなら新幹線を、という人も多いでしょうが、夜行バスが優位に立てるのは、「早朝から目的地で活動できる」という点。新幹線移動なら8時発の便に乗っても東京駅に着くのが10時半となんとも中途半端な時間です。まぁ始発に乗ればかなり早く現地入りできるのですが、早朝起きたら目的地に着いているってのは大きなメリットです。ドリームスリーパーのシートは新幹線のシートなど比較にならないほど良くできていますから長時間の乗車でも苦にはなりません。
乗車記
簡易評価(★5段評価)
- 運賃 ★☆☆☆☆
- シートの質感 ★★★★★
- 車内設備 ★★★★★
- 快眠度 ★★★★★
- プライバシー ★★★★★
ドリームルリエ
特徴
JRバスが運営する高級夜行バス。
ホームページではそれほどPRされていないのですが、「全席仕切付き」です。プレシャスクラスだと1席で完結しているのでドリームスリーパーとほぼ同じで1-1の個室スタイル、アドバンスクラスの2列側の席でも隣同士が木製の板で仕切られているのでプライバシーが守られています。そもそもこのクラスのバスに乗る人は互いに干渉しない、多少高くてもいいから安心を買いたい思考であることが多いので、物を盗まれる心配をする事自体が杞憂なのですが、自分だけの空間を確保できるバスはそう多くはありません。
特筆すべきは全席iPad miniが設置されています。アクセス制限が掛かっているのでネットの閲覧はできませんが、AmebaTVが見放題というのが売りです。映画、ドラマ、時事、バラエティなど、好みの番組を視聴できます。このご時世、何かしらの携帯デバイスを持ち歩く人がほとんどだと思いますが、バスでテレビを見られるのは珍しく、目が冴えて眠れない方への顧客満足を確保しようとする姿勢が見受けられますね。
価格
大阪-東京間で、前方4席のプレシャスクラスが¥13,000、後方のアドバンスクラスが¥9,000前後です。
あとは繁忙期、閑散期、予約タイミングによって変動しますが、ドリームスリーパーより高くなることはありませんし、プレシャスクラスが1万円前後まで落ちることも稀にあります。
予約方法
JR高速バスの予約ページより。
京阪神→東京・新宿 http://www.kakuyasubus.jp/search/?url=search&pk_id=16&updown=1
東京・新宿→京阪神 http://www.kakuyasubus.jp/search/?url=search&pk_id=16&updown=1
用途
通常の新幹線指定席より安く乗れるため、バス移動が苦ではなく夜間移動ができるタイミングであればコストパフォーマンスはすこぶる良いです。
私が乗ったことのあるシートはアドバンスクラスのみでしたが、前後はカーテン、隣は仕切が付いているので半分個室のような感覚で、ストレスなく寝ることができました。
シートも¥5,000前後のJAMJAMライナーやサクラ観光のものと比べると天と地ほどの差で、新幹線よりも安く、格安バスより快適に移動するならまず選択肢に入ると思います。プレシャスクラスを狙えれば、リクライニング角度156度、シート幅60cmの席に座れるので、快眠レベルがグッと上がることでしょう。
乗車記
簡易評価(★5段評価)
- 運賃(アドバンスド) ★★★☆☆
- 運賃(プレシャス) ★★☆☆☆
- シートの質感(アドバンスド) ★★★★☆
- シートの質感(プレシャス) ★★★★★
- 車内設備 ★★★★☆
- 快眠度 ★★★★★
- プライバシー ★★★★☆
ラクシア
特徴
個人的にひどい目にあったのがこのラクシアです。あろうことか前回エコノミークラスを取ってしまい、それが1万近く払う価値のないクソシートだったのでエコノミー込みで評価させてもらいます。(一応通常シートは半年ほど前に利用したことはあります)
このラクシアは「電動ゆりかご」という機能が備わっており、走行による振動を減衰してくれます。リクライニング角度は通常で135度、電動ゆりかごを使って145度まで傾けられるのですが、エコノミークラスには電動ゆりかごが付いていないので最大傾斜角度は135度です。新幹線のシートに毛が生えた程度の傾きです。ゆりかごがあっても145度とドリームルリエ同等で、個人的にはエコノミーでなくともドリームルリエの方がワンランク上だと思っています。
足置きとなるフットレストは付いていないので、足元が中に浮く形となります。個人的に長時間そのままで寝るのはかなり苦しかったので、膝面のレッグレストの角度をもう少し床面と平行寄りにするか、フットレストを付けてもらいたいと思いました。
車内トイレはありませんが、2時間毎にSA(サービスエリア)に寄ってくれます。緊急時はどうしようもないので事前の体調管理を怠らないように。
ラクシアの良い点は、終点が「ディズニーランド」ということ。そういう意味で20代の女性グループが他の夜行バスよりも多い印象でした。新幹線にせよ飛行機にせよ、遠方からディズニーに行くならば直行夜行便に乗って朝から楽しむのが最も時間効率が良いので、目的地が東京都内ではなくディズニーなら大いにアリだと思います。
価格
通常シートは¥11.000前後、電動ゆりかごのないエコノミーシートは¥9,000〜10,500前後。
エコノミーシートを取るくらいなら格安3列シートの方が良いので、ラクシアに乗るなら通常シートを選びましょう。
予約方法
運営がWILLER EXPRESSなので、専用ページ内の「運行路線」から予約できます。
http://travel.willer.co.jp/seat/luxia/
用途
上述した通りですが、都内へ行く目的ならドリームルリエの方が快適度は上です。電動ゆりかごがあってもフットレストなし、車内トイレなしですから、寝心地悪いし、緊急事態は大変なことになります。
ラクシアが輝くのはディズニーへ行く時。間違いなくこれです。大阪からディズニーに行こうと思ったら、新幹線だと終点東京駅から京葉線に舞浜、飛行機なら関空・伊丹→成田・羽田でそこからバスです。開園前に到着できる直行便でパーク内で使う体力を温存するためにシートのグレードを上げる、というのは賢いと思います。バイタリティ溢れる女子向けですかね。
乗車記
簡易評価(★5段評価)
- 運賃(ノーマル) ★★☆☆☆
- 運賃(エコノミー) ★★★☆☆
- シート(ノーマル) ★★★★☆
- シート(エコノミー) ★☆☆☆☆
- 車内設備 ★★☆☆☆
- 快眠度 ★★☆☆☆
- プライバシー ★★★☆☆
結局どれが良いか
夜行バスの中でも、高級帯のエコノミーシートから最高クラスのドリームスリーパーまで一通り乗っているわけですが、個人的にコスパが良いと感じているのは断然「ドリームルリエ」です。運賃、シートの質感、車内設備、プライバシーという観点で圧倒的にバランスが良いです。新幹線より安くてここまで快適に移動できるなら、と大阪-東京間の移動でリピートしまくっています。
ドリームスリーパーは確かに良かったんですが、片道2万は毎回出せないのが正直なところ。使ってみて納得はできるけどバスはバスなのでベッドでぐっすりというわけにはいかないのがちょっとなぁ。
ラクシアは電動ゆりかご付の通常シートでも快適度はドリームルリエより劣ります。目的地がディズニーなら使うかなぁという程度。
都内へ行くならちょっと奮発してドリームルリエか、値段重視で格安3列の使い分けが良さそうです。
またハイクラスのシートで引き合いに出るWILLERのコクーンですがあまり良い話を聞きません。予約が取れずに未だに乗ったことがないので機を見計らって乗車できればこちらに加えたいと思います。価格的にルリエのプレシャスと同レベルですのでその快適性を上回るなら使い分けできそうです。
新幹線との比較
よく夜行バスの高級路線は新幹線と引き合いに出されます。
そもそもバス移動が苦手な方はどんなにグレードの高い夜行バスを使ったところで所詮バスはバスなわけですから、バスNGの方は値段を抑えるために夜行バスを使っても苦痛なだけで素直に自分の乗れる乗り物をチョイスした方が良いと思います。
基本的に夜行バスの最大のメリットは「早朝から活動できる(でもコストは掛かる)」「新幹線の半額以下(でも多少寝苦しい)」
これに尽きるので、バスでの快適性が良いと感じれば、新幹線同額の¥14,000付近までなら夜行バス優位になります。
逆に新幹線と同等の金額(1万円以上)を出して快適性が悪ければ圧倒的に新幹線移動に軍配が上がるのですが、そのようなシートはラクシアのエコノミーくらいのもの。
また快適性を犠牲にして運賃を浮かすのも夜行バスを取る理由にもなります。¥5,000くらいのシートなら単純に1万円近く節約できたことになりますからね。
「多少寝苦しい思いをする代わりに1万円浮かせられる」「新幹線と同額程度出して快適に移動し早朝から活動できる」
夜行バスに苦なく乗れるタイプであればこの2択を選べるようになるので、日中移動でもなければ新幹線<夜行バスと、個人的には思っていますよ。