カスタムIEMを検討する時に毎回FitEarのモデルが最終選考まで残るんですが、これじゃなきゃならないオンリーワン性能ってイマイチなくないですか?強いて言えば「シェルが綺麗」とか「ビルドクオリティが高い」とかイヤモニ本体の出来が素晴らしいくらいで(めちゃくちゃ重要なファクターではありますが!)、音質面では他と比べて突き抜けた要素が少ないと思うのです。
2ヶ月前くらいから新規カスタムIEMのオーダーを考えており、こちらの記事で最終候補生をまとめました。
この3機種の内、最初にセールにかかったどれかになるんだろうなぁと思っていましたが、ここにきてMH335DWSRが天秤に乗っかることに。
正直MH334/335系列のモデルは今更感しかないのですが、よ〜く考えてみると現在の手持ち機種の穴を埋めるのに最適なのではないかと思い至ったわけです。逆に上記で挙げた候補生3機種が手持ち機種と被る部分が多く、役割的に似通ってしまうのが懸念されます。それでもオーダーする価値アリと踏んでおりますが、私が持っていない音を優先した方が当面はいいかなと考え直すことになりました。
そんなわけでFitEarの中で一番気に入ったMH335DWSRの良さと手持ち機種(VE5,VE6XC,Samba,RE2000,Dream)との差別化についてざっくり考えたいと思います。当たり前ですがオーダー前なので試聴機ベースです。実機にしたら変わる可能性大なのでチラシの裏のメモ書き程度に留めて頂けると幸いです。
MH335DWSRのスペック
今更まとめるまでもありませんが簡単に。
BAドライバー5基、構成はLow*2-Lowmid*2-High*1の3Way。ワンランク下のMH334に低域担当のドライバーを追加しております。さらにSRが付くモデルはSRとはStadio Reference(スタジオリファレンス)型で周波数レンジを拡大し中低域の解像度を向上させています。外観上は大きく違う点はありませんが、3つあるボアの内の一つをチタン製になっています。
音質レビュー
実機レビューがネットの海に大量に転がっていますし、試聴機レベルと実機では音の感じ方が異なるのでこれからMH335DWSRを検討される方にとってはあまり参考にならないかもしれません。本腰を入れて書くのは実機オーダー後になるため、とりあえず試聴機で判断できることと手持ち機種との比較を主としてまとめたいと思います。
試聴環境はAK380SS+SSAmp。音源はKalafina、UVERworld、ラルク、GLAY、Perfume、fripSideなど。最近AK380SSの稼働率が90%を突破しているのでCPも使ってあげたいんですが、気に入ってしまったものは仕方ありません。
じっくり試聴を繰り返して分かったことなのですが、FitEarの音作りは押さえるところはキチンと押さえつつ、さらにモニターとしての極限まで無駄を削ぎ切ったモデルが多い印象を受けますね。最近登場したESTの完成度も極めて完成度が高く、最初のカスタムIEMにFitEarを選んどきゃあ間違いなしと言われる理由が何となく理解できました。
MH334よりも中域の濃密さと楽器同士の分離感が高まっています。以前試聴した時は全体的にもっとのっぺりした味付けの薄いつまらない音と一蹴したのですが、改めて聴くと「癖がなさすぎて永遠に聴いていられるんじゃね?」と打って変わっての好印象です。もっと良く言うなら粗という粗が見当たらず、減点ポイントがほとんどありません。ボーカルの艶やかさはMH334やESTの方がエロスを感じられます。低域ドライバーの増加、チタンボアによる高域改善でトータルバランスに関しては向かうところ敵なしと言ったところで、正直めちゃくちゃ欲しい。
強いて言うなればA12tのような高域の伸びが足りないのと、NemesisやN8のようなベースで全体を支えてまっせ!っていう音場の広がりが薄いのが気がかりではありますが、モニターサウンドとしては最高峰と思っております。
VE5との差別化
VE5は私が初めてオーダーしたカスタムIEM。当時VE5かMH334かどちらをチョイスするかで1ヶ月以上悩んだものです笑
その時はボーカル偏重の万能モデルが欲しかったのと予算に縛りがあったため、後々オーダーすることになるVE6XCや今回のMH335DWSRは候補外でした。MH334も同じようにボーカルを前面に押し出す万能機になりますが、国産よりもドイツ製に憧れていた時期だったのでVE5をチョイスしました。
VE5は良くも悪くも中域特化のリスニングモデルでVision Earsらしいカッチリしたクールサウンドが売りですが、MH335DWSRとは丸っきし傾向が異なります。
VE6XCとの差別化
結局予算ができVE6XCもオーダーすることになります。Vision Earsの疾走感はそのままに低域の質と火力をアップさせており、2年近くメインモデルとして活躍しています。正直先にVE6XCをオーダーしていたらVE5を手に取ることはなかったかも。
低域が重いX1と一歩引いた硬質モニターX2を切り替えることができますが、いずれも低域と分離感のバランスはピカイチです。MH335DWSRの音はここまで低域に特化させておらず、切れ味を抑えて中域にみずみずしさを加えたようなサウンドになっているため、DAPの性能を測るためにはMH335DWSRの方が向いていそう。
数多のイヤホンの中でVE6XCが一番好きなのでこれを上回ることはできませんが、音質傾向としては似通っている部分も少ないのでお役御免ということにはなさらなそうです。
Sambaとの差別化
Sambaはゴリゴリのリスニングモデル。中低域の濃密感がハンパじゃなく似たようなモデルが存在しません。MH335DWSRはおろかFitEar全体で比べてみてもSambaは似ても似つかないのが率直な感想。
RE2000との差別化
ほぼ対極に位置するので役割としては全く別物です。MH335DWSRに目をつける前の筆頭候補だったLegend XがRE2000と若干被る部分が多いです。もしLegend Xにするならば装着感の悪いRE2000は生贄の祭壇に奉ることになるのですが、MH335DWSRならば手元に残しておきたいですね。