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音質

第四世代はいずれも特定帯域の味付けが強く、上に行けば間違いないというものではない、というのが評価の分かれている要因でしょうか。ボーカルを浮き出させたいならSR15、素材の性質を全面的に享受したいならSP1000系統、尖ったクールサウンドが好きならSE100というように、全てがリスニング系で調整されているのが特徴で、第三世代のAK380のようなエースポジションが不在であると個人的には思っています。

"VE5×LeonidasAresII"で聴いてみる

全ての沼はここから始まった…!VE5は私が初めてオーダーしたカスタムIEMです。3年前にカスタムIEMというジャンルを検討し始めて、あれよあれよとイヤホンが増殖することに。

"VE6XC"→"Samba"→"Dream"→"RE2000"→"MAVERICK II Re;"→"ATLAS"→"ANDROMEDA S"→"MH335DWSR"という流れで今に至ります。「カスタムIEMを入手すればユニバーサルに戻れなくなる」というのは嘘と言いたくなるのは私の意志の弱さを如実に表している証拠です。ハイエンドダイナミックというジャンルに染まってしまったら沼に逆戻りすることになるので、スパイラルを終わらせたいからカスタムにいくという安直な検討理由は極めて危険…!

これだけ選択肢があると特定のモデルを集中して使うっていう場面が少なくなるのも必然でして、AK380GMをメインに使用していた時期、VE5は最前線から離れて防湿庫の管理主任に任命されてしまう有様。

AK380SSを入手してからはVision Ears特有の空気感がステンレスDAPと合致したこともあって一応鞄に忍ばせてはいたものの、使用頻度の高いモデルはVE6XC、Dream、ATLASで7割方ってところ。折角作った最初のカスタムIEMが機材数が増えてきたから使われないというのはなんとも悲しい話ではあったのですが、"SE100 fripSide Edition"という救世主が登場して返り咲きます。

まずデザインの親和性。青とオレンジは補完色の関係にあり、差し色に使う分には非常に相性に優れるカラーリングです。後にオレンジ色のプレイヤーが出ることを予見していたかのような鮮やかなミラープレートは写真映えを気にしない私もついついフレーム構図を意識したくなってしまいます。Dignisのケースももう片側のブルーに合わせられるようにネイビーカラーを用意してくれたので、"音質の嗜好性"や"完全なる装着感"以外に"ルックス"もバッチリというカスタムならではのメリットが偶然にも活かされていることに運命を感じざるを得ません。

ドライな質感を持ちながらも、強調すべきところは非常にスパーキーといった二面性を有しているのがVision Earsの音作りの特徴です。VE6XCはスイッチ上下共にボーカルの一つのパートと捉えて曲全体を見据える傾向が強く、VE5はボーカルとエレキギターが他の楽器パートをリードしていくような中域特化型として同メーカーの中で住み分けが成されています。DAPの中でも味付けの薄めな無印AK380と合わせた際は、「どんなジャンルも無難に仕上げてくれる万能性」のが仇となり、「低域の物足りなさ」「スピード感ゆえの空間表現の乏しさ」が目立ちがちでした。

SE100はこの特性を補ってくれるのがまず第一に感じたところでして、AK380CPのような低域の質を確保しつつ空間を厚くする傾向は見られませんが、VE5の強みである中高域のブライト感をそのまま活かしつつも苦手な部分をカバーできるという点で極めて相性が良いです。耳に近いイヤホンを変えた方が違いが明確で使い分けもしやすいという認識を強く持っていたのですが、プレイヤーの違いでここまで劇的に変化するとは思っておりませんでした。

IRIVER第四世代は比較的リスニング系のチューニングが施されており、SE100も例外ではありません。試聴段階では唯一味付けが薄いモニター系か?と感じておりましたが、VE5の化けっぷりと各種イヤホンを取っ替え引っ替え試してみた所感としては、現行モデルの中では非常に硬質でくっきりはっきり音像を映す超高解像サウンドと言うのがしっくりきます。

低域は音粒のバラし具合が絶妙で空間を支配するふくよかな低音と言うよりキレ味鋭い迫力重視の、高域はストリングスや鍵盤全般の余韻感は控えめですが、ヴァイオリンのスピッカートやギターのピックの動きが視えてくるような分離感の強さが売りで、中域はイヤホンの特性を受けやすいと思います。イヤホン側の帯域バランスによってめちゃくちゃ合致する機種もあれば、良い部分を互いに打ち消してしまうような機種もあるため、その辺りの相性の良し悪し試聴時に把握できれば一番良いのではないかと思います。

折角なので手持ちイヤホンが多数あるのでいくつかピックアップしてみましょう。これまでのレビューとは少し趣向を変えて各イヤホン毎の印象を分けて書きたいと思います。リケーブルしたものは一応明記しておきますが、ケーブルの違いについてはキリがないのでここでは触れません。

"VE6XC-AresII+"で聴いてみる

受け取って以降フル活用中のカスタムIEM。AK380系統と合うのはVE5よりVE6XCなので使用頻度はVE5より高めでした。先述した通りVision Earsは解像感の高いドライサウンドである傾向が強く、分離感の強いメリハリのあるSE100とは全体的の相性がいいものと思います。

低域のソリッド感はAK380SSの方が強く高速ビートを刻むような激しい曲調はAK380SSに譲る場面があるものの、X2にスイッチアップした時の見通しの良さはAK380系統にも引けを取りません。X1とX2どちらか選べと言われたら一歩後ろから分析的に眺められるX2の方が好みです。高域のシャキッと感はあまり感じませんが、低域でリズムを取ってボーカル含む中域帯が一斉に駆け抜けていくというVE6のアイデンティティを存分に発揮できるプレイヤーと思います。超高域は出ません。

"RE2000+Day for Night"で聴いてみる

装着感の良さを重視する私が珍しく音質だけで選んだ唯一のモデル。もう少しフィッティングが良ければ私の中では神になれたのに、というのが心残りではありますが、音楽的余韻を楽しませてくれるRE2000は本当に楽しくダイナミックの良さを感じられる素晴らしいモデルと思っております。

SE100との噛み合いは悪くなく、RE2000で賄えない中低域の分離感を少しだけ強化すると同時にベースのリードを浮き彫りにしてくれるのはAK380系統では感じにくかったポイントです。RE2000はVision Earsとはまるで毛色が異なるので高域の分離感を強めたり中途半端に疾走感を加えたりする方向は大体失敗します。どちらかと言うと弦楽器の残響感は吹奏楽や鍵盤の幽玄たる残響感を浮き彫りにしてくれるタイプがマッチする傾向にあるので、AK380系統ではCPが最も相性が良かったのですが、これではウォーム感が強すぎって時の中庸を取る手段としてSE100はアリだと思いました。

"ATLAS"で聴いてみる

昨年のヘッドホン祭で迎合したシングルダイナミック。ユニバーサルの中で一番気に入っているモデルで、数あるCampfireの中で最高傑作と思っています。巷で評価の高いSOLARISは装着感が合わないので真の実力を感じられないのが歯がゆいところです。

ATLASはAK380系統だと同じステンレス筐体のSSとの組み合わせが圧倒的に良くて、私のTwitterのトップツイートに設定しているくらい好きです。その音質傾向は暴力的とも言える低域が質/量共に高い次元でブーストされ、歯切れの良い乾いた低音を絶え間なく聴かせてくれるVE6XCとは余裕で使い分けできる面白いサウンドです。書いていて思ったのですがCP×RE2000のようにやりすぎとも言えるくらいそのモデルの強みを活かせる組み合わせがどうやら好みらしい。

SE100×ATLASは、 VE5のようなハマり具合はないものの低域のパンチ力の強さは健在で中高域との繋がりも良好。低域特化型となるAK380SSよりも万人ウケすると思われるのはSE100と合わせた方でしょうか。

"Dream×LeonidasMars"で聴いてみる

マスターピース。生産上の都合で発売数ヶ月で市場から消えてしまった名機です。個人的にDreamはイヤホンとしての完成度が最も高いモデルの筆頭と思っておりますが、ダイナミック型だと後述するATLASが一番好きです。嗜好に合うものと完成度の高さは別物ですよね。

DreamはRE2000のふくよかでウォーミーな帯域バランスではありませんし、ATLASのような暴力的ながらも心地の良いSっ気の強い低音をぶっ放してくれるわけでもありません。Dreamの良さは圧倒的解像感の高さと全域にまたがって発動される分離感の強さが唯一無二のファクターで、SE100の高解像サウンドと合わされば鬼に金棒。まさに無敵です。面白みはATLASやVE5/VE6XCですが、「良い音とは?」を突き詰めていくとこの組み合わせが私の手持ちの中では最善となりそう。

"ANDROMEDA S"で聴いてみる

「煌びやかなモデル」というテーマで真っ先に上がるのは"ANDROMEDA"でしょうか。そのステンレス版は賛否両論なのですが、個人的には無印よりもSの方が気に入っております。実はANDROMEDA SはATLASと同時期に入手したのですが、AK380系統との相性が良いのがATLASだったこともあって使用頻度は高くありませんでした。直挿しするにしてもAMPを経由するにしてもホワイトノイズがキツすぎた、というのが一番の要因です。

SE100と合わせると若干ホワイトノイズを感じにくくなり音質面というより機械の相性面が良くなったと思います。一般的には第四世代全般でもどの道"ANDROMEDA"のホワイトノイズはキツいという認識を強く持たれているかもしれませんが、SE100に関してはAK380系統と比べると若干マシになるというのが個人的見解です。

"MAVERICK II Re;"で聴いてみる

マベツリーです。私が所持する唯一のハイブリッドモデル。このモデルは手持ちのユニバーサルの中ではフィッティングがずば抜けて良いのがアイデンティティの一つです。デザインもブルーの筐体で SE100のネイビーカラーとマッチします。

比較的ボーカルが前に出てきてくれるタイプなので、AK380系統の中では無印と合わせるのが最もこのモデルを活かすことができます。声を聴くならマベツリーというのは今は昔。VE5という競合が復活してしまったものの、帯域バランスもソリッド感も全く異なるので余裕で使い分けが可能です。

SE100と合わせて良いポイントはボーカルの位置感覚はそのままに、低域の重心は低く荘厳に、高域全体の響き方が鋭くなり、軽快なサウンドだったAK380無印とは打って変わって別物になりました。

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