昨年末に無事到着したAK380CP+銅AMPの受取直後のレビューをまとめます。
主な比較対象は通常のジュラルミン版AK380+AMPです。
まだまだじっくり聴き比べている段階ですが、とりあえず今時点でここがこう違うと感じたことを簡潔に記載できれば、と思います。
目次
スペックやら
通常AK380(ジュラルミン)の材質違い、というだけです。純度99.9%の銅塊から削り出しで筐体が作られています。
銅の金属重量はジュラルミンの3.2倍以上。AK380のボディシャーシを1台製造するために、ジュラルミンは55gを削りだすために530gのブロックが必要なのに対し、銅は175gを削りだすために 1.7kgものブロックが必要となります。
スペックについては今更語るまでもないので、代理店の当該ページURLでも貼っておきます。
http://www.iriver.jp/products/product_119.php#2
重量
非常に重量があるので、ウールのジャケットのポケットに入れようもんなら穴が開くかもしれません。貫通せずとも変形は免れないレベル。
通常版も所持しているので料理用秤で計測してみます。自転車オタでもあるので機材購入後の重量測定はもはや儀式です。
Cupper本体+AMP+ケース 712g
Cupper本体 360g
Cupper AMP
通常版本体+AMP+ケース 464g
通常版本体 244g
通常版AMP 161g
重量比較
本体重量は通常版が244g、Cupper版が360g
AMP重量は通常版が161g、Cupper版が295g
本体+AMPドッキングさせた状態で、通常版が464g、Cupper版が712g となりました。
若干の個体差があるので公称重量とイコールにはなりませんが、Cupper版の重さは通常版の1.5倍程度となります。
実際に持ち上げてみると数値で見る以上に重く感じるのは密度の違いでしょうか。
音質
さて高純度の銅筐体から繰り出される音はどうか。同一音源で比較するために、通常版に入れている音源約3000曲をCupper版の方にもぶち込んでみました。
使用イヤホンは愛用しているDream、RE2000、VE5、VE6XCの4本。これで悪いと感じるようならDAP側が悪いと自信を持って最強と言える布陣。試聴曲は女性ボーカル曲とラルクと気持ち程度のエレクトロです。
"I'll be there(林原めぐみ)"、"Exterminate(水樹奈々)"、"READY STEADY GO(L'Arc-en-Ciel)"、"flower(L'Arc-en-Ciel)"、"栄光の架け橋Orchestra .ver(ゆず)"、"ラピスラズリ(藍井エイル)"、"満天(Kalafina)"、"三日月(絢香)"、"Survivors(Phil Collins)"、"Lionhearted(Portar Robbinson)" など好き勝手にチョイス。楽曲ごとにどうなるという話はめちゃくちゃ長くなるので割愛しますが、イヤホンごとの特徴・相性について簡潔にまとめます。
Dream(標準ケーブル)
私の所持しているイヤホンは何かしらに特化しているものが多く、フラットかリスニングかで言えば後者のタイプの機種を好む傾向にあるのですが、Dreamは手持ちの中で最もクセの少ないモニター寄りでDAPの性格の違いを確認する際に用いています。解像度の高いイヤホンというのは数あれど、ダイナミック一発でここまで音を分解できるイヤホンはないかもしれません。
無印とどれほどの違いがあるかワクワクしながら試聴に挑むも、それほど大きな違いは感じられません。むしろ無印の方が味付けが少なくて好みかもしれません。 全体的な傾向は似通っているのですが、低域寄りに振れてしまうために音抜けが若干悪くなってしまいます。バランス接続に切り替えても無印版の方が好みに合うというのは変わらず、「うーん…」と唸るばかり。
RE2000 (Crystal Cable Next 3.5mm)
楽器の分離感に拘るDreamとは対照的に楽器とボーカル全ての音を融合させることに拘ったのがRE2000です。
ケーブルはクリケーのアンバランス。ファーストインプレッションはめちゃくちゃ良いとは思いませんでしたが、聴けば聴くほど病み付きになるスルメ系な組み合わせ。低域が活き活きとして、バンド系やライブ音源との相性がVery Good。もともと音場の広いイヤホンですが、無印のAK380と比べると、高域の伸びはそこまで変わらず中域の押し出しが強くなり左右空間が狭くなった感じです。女声より男声、スタジオマスタリングよりもライブ音源がとりわけ相性が良く、ジャンル問わず使えそうな組み合わせです。個人的にラルクはRE2000で聴きたい。
VE5 (Leonidas+AresⅡ 2.5mm)
手持ち4機種の中でもっともボーカルを近く聴けるのがこちら。VE5の特徴としては中域の押し出しが強い壺型の帯域バランスで、楽器の音色はその声を支えるが如く前へ前へ引っ張っていてくれます。
ケーブルはレオアレスのバランス。VE5は低音少なめの中域特化機種なので、楽器の低音を楽しむことには向いていないのですが、筐体銅、ケーブル銅のカッパー攻めにしている影響か、無印AK380よりも帯域バランスが異なります。感度も高いため、今回試した4機種の中で最も音色の変化を捉えられました。ボーカル最前面はそのままに、ギターやベースのサウンドをもう少しはっきり捉えたい場合は銅線にリケーブルするだけでも大きく変わることと思います。
VE6 XControl (Leonidas+Mars 2.5mm)
VE6はVE5と同じくボーカルは近めなのですが、一音一音のリリースが指折に速く余韻を残さない鳴り方をします。ライブハウス前列で激しく聴ける低域ブーストのX1と数歩後ろからアーティストの全体像を把握して分析的に聴けるX2に分かれます。巷ではX2が人気のようですが個人的にはX1をメインで使っています。
ケーブルはレオマーズのバランス。VE5が中域特化なのに対してVE6はトータル解像感に特化しており、テンポの速い楽曲でVE6より気持ち良く聴ける機種はないと思っています。そんなVE6ですが、元々低域が強めなのでAK380CPではちょっとクドい印象。解像感はそのままにベースの圧が高くなります。VE5は銅筐体の影響がプラスに働きますが、VE6は無印の方がスッキリ分析的に聴けるので、個人的にはこの組み合わせはイマイチ。
まとめ
中身が同じで筐体の材質を変えたら音質は変わるかと言われれば間違いなく変わります。劇的に変わるかどうかはさておき、イヤホンとの相性も大きく、プラスに働くものもあればマイナス方向に音が変わるものもあります。私のスタメンの中ではVE5とRE2000に関しては銅との相性が非常に良いと思えましたが、VE6XCとDreamは無印の方が好みで何とも言えない結果に…笑
今回無印版とCP版をじっくり比較してこのように感じたので、どんな音が好みかという音質の嗜好と普段使用しているイヤホンとの相性次第で評価の分かれる機種だと判断します。より高額なカッパーの方が良いと言えるものではありませんね。
あともう一つ、AK380にはステンレス.ver(SS版)があるのですが、こちらは店頭で試聴させてもらいました。CP版で相性がイマイチと感じたVE6XCやDreamはSS版ならばより硬質なサウンドに豹変させてくれるので、ゆくゆくはSS版も手にしたいですね。