DM200Hのファーストインプレッションです。
先のヘッドホン祭りのDynamic Motionブースで引いた抽選でA賞が出まして、無償で同社のフラグシップ機であるDM200Hを頂く運びとなったのですが、想像以上に好みの音を発してくれ、我がスタメンイヤホンの仲間入りすることは必至。箱出しから50時間ほど鳴らし込んだので、簡単にレビューさせて頂きます。
Dynamic Motionとは
まずはメーカーのお話から。Dynamic Motionというメーカーは、イヤホンに使用されるドライバーを製造しているメーカーです。イヤホン作りが本業ではなくイヤホンのパーツに特化しているメーカー。ドライバーは2種類あって、バランスド・アーマチュア(通称:BA)とダイナミック・ドライバー(通称:DD)があり、Dynamic Motionはその名の通りDDに特化しています。
近年ドライバーメーカーがイヤホンを開発したということで一躍話題に上り、「DMイヤホン値段の割にイイよ」と口コミで広がっていった流れ。フラグシップのDM200Hでもお値段は3万程と、昨今のハイエンドブームとは裏腹に、頑張れば手の出る価格帯で抑えてくれている良心的なメーカです。
DM200Hの特徴
DM200HはBAとDDをそれぞれ1基ずつ搭載したハイブリッド型イヤホンです。特筆すべきは世界初の同軸ハイブリッドで、最近だとAZLAが話題になりましたね。国内取扱いの代理店はサエクコマース、DM200HのPRはこのようになっています。
DM200HはB/Aドライバーとダイナミックドライバーを同軸上に配置する世界初同軸一体型2wayハイブリッド・ドライバーユニット「Bulls Eye Driver(TM)」を搭載。同軸ドライバーの特長である“点音源”再生が優れた音場再現性と音像定位を実現します。また、同軸上に両ドライバーを配置することで、B/Aドライバーとダイナミックドライバーが干渉せず、位相特性の優れたシームレスで自然な音調表現と繊細で高い解像度を高い次元で両立しました。
パッと見でイメージできるのは、DDのど真ん中に孔を開けて、そこにBAドライバーを設置していることが伺えます。DDはDDのゾーン、BAはBAのゾーンと切り分けているハイブリッド型が多いのに対して、DM200Hのドライバーは両ドライバーが一体になっている極めて珍しいタイプのイヤホンです。音調表現や解像度は聴いてみないことには判断できませんが、構造からして只者ではありません。
本体の特性としては、インピーダンス24Ω、周波数特性5Hz~40kHz。私は気にしませんが、定義上ハイレゾ再生対応ということでパッケージに例のシールが貼ってあります。
リケーブルは不可です。ケーブルぶった切って改造することはできそうですが、換装用端子はありません。
2016年6月末の発売時点では定価¥29,500でリリースされています。実売価格も大きく値下がりしているということもありません。
開封の儀
この価格帯のイヤホンを久しぶりに入手するのですが、パッケージがなかなか豪華で驚きました。
マグネット式の蓋が付いた化粧ボックスに収められており、箱の上部に筐体が鎮座しています。
イヤーチップも規則正しく並べられており、シリコンチップS/M/L、COMPLY(Mサイズのみ)2種類が付属するのは嬉しいです。
付属するケースはちょっと使いづらそう…
音質
何気にハイブリッド型を手にするのは初めてです。3万足らずでハイブリッドも選べる時代か〜と感嘆としています。
使用DAPはAK240。 低域-中域-高域のつながりが自然で、特に中域にピークを持ってきており、迫力のある生々しい声が届きます。箱出し直後は「ちょっと中域引っ込んでる?」と感じましたが50時間ほどエージングして粗が取れ音数の多い帯域がググッと前へ出てきた印象。ボーカルは男性より女性の方がマッチしているように思える。高域は、エレキギター、ピアノ、ヴァイオリン、鉄琴などなど、性格の異なる楽器が多数混在していても上手く分解して、伸びやかに聴かせてくれます。低域では、ベースやキックの存在感は十分、クドさはありません。低音好きには物足りないかもしれませんが、うなり響く重低音は出ません。
インピーダンスが中途半端に高いのですが、鳴らしにくいということもなく、駆動力に優れないAK240でもVol.70程度で十分な音量を得られました。試しにiPhone6s+に直挿ししてみると、こちらも音量的に不自由することはなさそうで、音楽再生用のプレイヤーを所持していない方に対して自信を持ってオススメできる良機種です。付属イヤホンや数千円クラスの物からのステップアップに3万円という価格はやや高額かもしれませんが、試聴してみて納得の音質だと思います。
AZLAとの比較
まとめ
不満がないわけではありません。まずリケーブル不可という点。この価格帯なら仕方ないかな〜とも思うのですが、1万円台の中華系イヤホンが軒並みリケーブル可能であることを考えると2pinでもMMCXでも付けてほしいというのが本心。一般的な感覚で、3万払って断線オジャンってのはありえない。修理できないこともないんでしょうが、元からケーブル交換できるに越したことはありませんね。
またShure掛けできそうな筐体に見えてShure掛けは想定されていません。R-Lが反対ならShure掛けできますがちょっと違和感のある聴こえ方になるので下から装着するしかなさそうです。
とこのような不満はあれど音には満足しています。改めて「音って値段じゃないんだよなぁ」と思い知らされ、ハイエンドの沼地にズブズブ沈みかけている方にも聴いてみてほしい逸品です。