スポンサーリンク

この秋、ミックスウェーブの犬になってしまった管理人です。FAudioのダイナミックシリーズは発売以前から「早く出てくレ〜」と楽しみにしてた割に、ここ数ヶ月の間に立て続けに出てきたMAVERICK II Re;やらANDROMEDA Sといった無印を改良、もしくは魔改造したモデルに心奪われてしまい、Majorさんに対しては「あぁ…もう出たの?」と冷めたような感情を抱いてしまうあたり勝手な消費者だな〜と我ながらに思っています。おそらくマベかドロメダのどちらかを入手していなかったらMajorを買っていたと考えられますが、今は資金難のため見送らざるを得ません。

デモ機が置かれてしばらく立ったので多少エージングもされているだろうと期待して3ヶ月ぶりにMajorを聴いてきました。イベント時に複数モデルまとめて試聴するのとそれ単体を目的に試聴するのでは印象も多少異なりますから、改めて聴き直すと新たな発見は出てきますよね。

そんなわけでMajorのレビューに移りたいと思います。

スポンサーリンク

Majorの仕様概要

色々特色のあるモデルなのでさらっと箇条書きでまとめておきます。

  • 10.5mm径のダブルレイヤーダイナミックドライバー
  • アコースティックチャンバー
  • アルミニウム筐体と無酸素銅チューブ
  • 軍需用クリスタル銅ケーブル
  • 独自のシリコンイヤーチップ

ダブルレイヤーダイナミックドライバー

独自に開発した10.5mm径のダブルレイヤーダイナミックドライバーを採用。 このダブルレイヤー構造はメディカルファイバー素材の振動版と、チタニウム振動版の2種類を張り合わせた構造をしており、「高剛性」「高減衰性」「軽量性」などのバランスを絶妙に調整した専用ドライバーが搭載されています。

メディカルファイバーとは人間の肌の質感に近づけた人工繊維素材。本来は医療系素材でオーディオ機器に応用した製品は他にないとCEOが語っています。入力信号に対してリニアで鋭いレスポンスが得られ、かつ安価に入手できるのも見逃せない。この技術はMajorの他にPassionやMinorでも採用されています。(それらのモデルにはチタニウム振動板は組み込まれていませんが)

アコースティックチャンバー

Majorには3つのアコースティックチャンバーが搭載されています。この内2つのチャンバーは、ハウジング容積を最適化し筐体内の空気の流れをコントロールすることで、ドライバーのポテンシャルを最大限引き出すよう配置されています。もう1つのチャンバーはサウンドチューブに採用されており、鼓膜へかかる空気圧を軽減し、低域解像感を向上させる上で欠かせないそう。

ちなみに中間レンジのMinorも同じく3つのチャンバー、一番下のPassionにはサウンドチューブ内のチャンバーは設けられていません。

アルミニウム筐体と無酸素銅チューブ

筐体材質はアルミニウム、アルミニウム・ブロックからCNCマシンにより精密加工された堅牢なアルミニウム筐体を採用。

サウンドチューブには無酸素銅を採用し、素材特有の音鳴りを防ぎ、低歪で原音に近いサウンドをつくりだします。

人間工学に基づき、長時間装着しても疲れにくい形状となっています。

軍需用クリスタル銅ケーブル

純正イヤホンケーブルには、  軍需用のクリスタル銅ケーブル(高純度銅ケーブル)を標準付属。やや太い線材を使用しているので、保管には大きめのケースを使用するとよいでしょう。タッチノイズも少なく取り回しも良好でリケーブル必要性を感じさせません。

独自のシリコンイヤーチップ

さらにイヤーチップも自社開発しており、単体販売も予定中。

ボーカルラインを強調するFA Vocalと楽器の音にフォーカスしたFA Instrumentの2種類が存在。

スポンサーリンク

装着感

  1. 筐体が耳にマッチしており収まりも完璧。遮音性も高く、騒がしい店内でも大きくシャットアウトしてくれる。
  2. 装着していてストレスフリー、かつ遮音性もそれなりに確保できている。
  3. 装着感は良好だが遮音性が伴っていない。イヤピによる調整必須、屋外用途でギリギリ使えるレベル。
  4. 装着できなくはないが、装着感もいまいちで遮音性も低い。
  5. 痛みを伴うレベルで筐体が合わず、装着できない。極めて絶望的。

フィット感は良好。私の耳ではMAVERICK II Re;より劣るのでA寄りのBランクってところ。DITAの各種モデルがうまくフィットするならばMajorもマッチする可能性が高そうです。どんなモデルでもそうですがイヤーピースが合っていないと持ち前の迫力を発揮できません。もともと遮音性も悪くはないので、フォームタイプよりシリコンタイプの方が使いやすそう。個人的にはSednaEarFitで高域を伸ばすかスパイラルドットで分離感を高めるか、この2つが特に気に入りました。

スポンサーリンク

音質

試聴DAPはAK380SS+SSAMP。

以前音フェスで聴いた時は一番下のPassionの完成度が高くMajorじゃなくても十分すぎじゃね?って感じたのですが、実際Majorが発売すると当時よりもクオリティが上がってて驚きました。

低域寄りの高解像サウンドで、ATLASほど情報量は多くないとしても相当聴きやすいモデルに仕上がっています。低音自体の量感はあるのにどっしりと響かせてくれるバランスの良さは3つ設置されたアコースティックチャンバーによるものでしょうか。

空気室を複数設けることで内部の気流をドライバーの振動に合わせてコントロールしている感覚はいまいちピンと来ませんが、キックやベースなどメジャーな低音楽器はもちろん、コントラバスやバスクラリネットが強烈に光る吹奏楽あたりを聴いている時にはこのままお持ち帰りしたくなるほど心地良かったです。この傾向はPassionにも共通して言える特徴ですね。

Passionと異なるのは中高域の滑らかさと繊細さ。クラシックギター、エレキ、ヴァイオリンなどの弦楽器は鋭さを保ちつつもサ行が刺さる、ハイハットが刺さる、ホワイトノイズが刺さる、そんな事象は一切なく、スーッと伸びよく抜けていくので気持ち良いです。上手く制動された低域と相乗効果で互いに引き立ててくれる印象が強く、どちらかが欠けてもダメだし、両者のバランスが崩れていたらここまで丁寧に鳴らすことはできないでしょう。

ダイナミックとして比較すると高域に強みのあるDreamやRE2000や全体的にエネルギッシュなATLASやTwins(Fealty/Fedelity)などとは音質傾向が全く異なります。余韻感よりもパワフルさ、スピード感を求めるならば向きませんが、他のハイエンドモデルでは聴かれない深みのある低域とクリアで残響感のくすぶる高域が奏でるハーモニーは一聴する価値アリと言えるでしょう。

Majorは試作品より量産型の方が圧倒的に好みではありますが、これと同レベルのサウンドクオリティを持つPassionの発売も非常に楽しみです。

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう